前世が見えちゃうんですけど…だから、みんなを守ります（本編完結・番外編更新）

この力を生かそう1

　  人は、前世と同じ年齢の時に似たような死に方をするのでは？という恐怖が湧き上がった。

　 初めて前世を見た乳母は、54歳で心筋梗塞で亡くなっていた。  

「ねぇ、ばあや 
　ばあやは今何歳なの？」

　こわごわ聞いてみた。 

「来月で54歳になります。ばあやも年をとりましたが、お嬢様の花嫁姿をみるまでは頑張りますよ。でも、お嬢様、いくらお嬢様でも女性に年は聞かないで下さいませね。」

　これはまずい。何とかしなくては！死因は心筋梗塞だから、優秀な医師か治癒師が直ぐ側にいれば何とかなるかもしれない。

　  乳母の誕生日からスーザンの、壮大な仮病大作戦が始まった。大切で大好きな乳母に病死の危機である。心配過ぎて、本当に具合も悪くなったのかもそれない。

　とにかく屋敷に、腕のいい医師か治癒師を常駐させればいいのである。さらに、乳母は、基本スーザンの部屋にいてもらう。皆に心配はかけるが仕方ない。

　 スーザンの努力は実った。ある日の午後、スーザンの着替えを手伝おうとした時、乳母は倒れた。朝から何だか調子が悪そうで、警戒していたところだった。屋敷にいた医師が飛んで来て、すぐ対応に当たり、治癒師も呼ばれた。
　 
　治癒師は能力が高ければ、ほぼ万能である。欠損や老衰や、死んでしまった場合は不可能だが、ほとんどの病気、怪我は治癒させることができる。

　  寿命は変えられた。死ななかった。そうか！このために私は能力を授かったのか。

　 この日からスーザンは元気を取り戻した。自分は光魔法が使えて、魔力量も父以上に多い。治癒師になろう。それも腕のいい。なんなら国一番の治癒師を目指そう。3歳にして将来の目的を決めたスーザンである。