前世が見えちゃうんですけど…だから、みんなを守ります（本編完結・番外編更新）

学園入学＆聖女ですって？

　 １４歳になると、貴族は何某かの学校に入学する。ほとんどの貴族は魔法が使えるので、試験を受けて、魔法学園に入学する。試験の成績次第で専攻する学科やクラスも変わってくる。
　また一緒に学ぶ中でつながりを深め、将来の社交の基礎となる場でもある。

　結婚はしたくないと言いながら、チャーリーと一緒に学べることが嬉しくて、彼と同じ特別選抜クラスを目指し、試験勉強を頑張るスーザンである。まあ中身は大卒、教員32歳であるから楽勝のはず。

　勝ち取った首席の座。なんとチャーリーと同点である。スーザンは中身大人のズルだけど、チャーリーは相当のものだ。 

　遂に入学式がやって来る。そして、ご多分に漏れず、やってきましたこの人も。
　ピンクブロンド、碧眼の、元平民の男爵家養女 メイリン。ここ数十年いなかった珍しい聖属性持ちで、聖女の認定も間近との噂である。
　  
　ええっ、マジで来るんだ。
　これって聖女が攻略対象を虜にして、婚約者とかは悪役令嬢になっちゃって、追放とかされるやつかな？そういうの読んだことあるし…
　攻略対象って皇太子と側近、チャーリーもイケメンだしなあ…でも私は婚約者とかじゃないし…
　一人ブツブツと焦るスーザンである。

　そして、やっぱりピンクはピンクの行動をするのであった。

　大体、皇太子と側近、婚約者、チャーリー、スーザンは特選クラスなので、普通クラスのピンクメイリンとは接点が無いはずなのだ。
　なのに、なのに、それなのに…

　そのうえ、皇太子は隣にピンクの聖女もいるのに、スーザンに絡んでくる。

「スーザン嬢、今日も麗しいねぇ。僕の命は君と繋がっているからね、僕はいつも君を見つけてしまうんだよ。」

　素早く手を後ろに隠すスーザンである。 
　キスされてはたまらない。こう見えて、新体力テストは高校まで、なんと、Sだったのだ！！小学校１年生でサッカーを始めるまでは、最底辺のE！母がEってあるんだと驚いていた。それが、男子に混じってサッカーを続けるうちに徐々に上がり、六年生の頃には学校でも数えるほどしかいないSに成り上がったのだ。運動神経には自信がある。

　チャーリーも何気に前に出て庇ってくれていた。そこでピンク聖女登場。

「あのお、私、この前、ロング男爵家の養女になったばっかりで、分からないことばっかりなんです。ディーンやクリスやアルバートが、最近親切にしてくれて、だんだん慣れてきたんですけど、よかったらチャーリーくんとも仲良くなれたら嬉しいなあって。」

　ぶりぶりのキュルンキュルンである。もはや名呼び？！ デレデレの皇太子達3人、バカじゃないの？

　そういえば、リリーは一緒じゃなかった。さすがにこのメンバーに加わる気にはならないのだろう。横を見ると、チャーリーがぶるぶると震えて…これは怒っているらしい…なんか、ヤバい…

「ロング男爵令嬢、俺はお前に話す許可も与えて無いし、名呼びを許した覚えも無い。殿下は何をお考えなのか分からないが、俺はスーザンと昼食に行くところだ。男爵令嬢の分際で二度と許可なく話かけないで貰いたい」

「スーザン、行くぞ」

　しっかり手を繋いでくるチャーリーに、びっくり。普段こんなことしないのに。

　 「えぇ…怖い。……学園は身分関係無いって習ったのに…うぇ～ん、くすん…くすん…」

　手厚く慰める皇太子と、側近達であった。