前世が見えちゃうんですけど…だから、みんなを守ります（本編完結・番外編更新）

浄化の旅1

　学園長の話は厄介だった。 
　部屋には、メイリン、皇太子、アルバート、クリスもいた。

　学園長によると、チャーリーのメルセデス侯爵領と、王家直轄領、我が家のレジェンド伯爵領、３領のちょうど接する辺りに、大きな瘴気溜まりが発生して、魔物が湧いて出てきているという。
　通常なら騎士団と聖女を派遣するところだが、トップレベルの闇魔法のチャーリーと治癒魔法のスーザンのいる領であり、公爵家から婚約破棄されそうな肉欲まみれの皇太子と、聖女（性女）の汚名を晴らしたい教会とメイリンの思惑も絡み、この６人プラス数人の近衛騎士で挑むと言う。

　ニコニコしながら、

「私、浄化頑張りますから、守ってくださいね。チャーリーくん。」

　完全スルーのチャーリーである。 

　なるべく早く！とのことで３日後の出発になる。前日は全員我が家に宿泊した。瘴気溜まりまでの距離が一番近かったのだ。

　玄関に出迎えにでた我が家の家族を見て、アルバートが固まった。

　残念だな。おまえには、もうアントニオは絶対にやらんよ。穢れたアルバートにはうちのアントニオは触らせない！

　そう思った私の一瞬の隙をついて、アルバートは、アントニオの前に跪いた。

「俺の剣を、一生あなたに捧げます」

　手を取って口づけた。どういうこと？剣は捧げても他のものは、もうお隣のピンクの方に捧げてしまってますが。

　戸惑うアントニオだったが、さすがうちのアントニオ

「ありがとう」

　と、鷹揚に頷いたのだった。内心きっと！？がいっぱいだったよね。
　でも、その時のメイリンの顔ったら。少し溜飲が下りた気がした。 

　だが、しかし、旅が始まると、アルバートはやっぱりミートアルバートだった。ほんとに残念。10代の肉欲の前には愛も負けるようだった。皇太子も、やっぱり肉欲まみれ皇太子。公爵家の後ろ盾のことも肉欲の前には忘れられてしまうらしい。

　でも、どっかわからない遠～～～～～いところに行って、やることはやってください。とても迷惑です。

　クリスはかろうじて耐えている。