前世が見えちゃうんですけど…だから、みんなを守ります(本編完結・番外編更新)

turarin

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嵐の前の静けさ1

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  日常の学校生活が戻ってきた。学園生達は進級試験に備えて必死に勉強に取り組む日々をおくっている。

  炭クッキーの効能については、チャーリーが確認し、王家に報告した。禁制品である。教会の聖女と王族、騎士団長子弟の問題であるから、王家も教会も知らぬ存ぜぬで通している。まんまと食べさせられる脇が甘い2人、犯罪まがいの行為をする聖女、どっちもどっちである 。キツくお灸を据えられたこと間違いなしの3人。反省するか、逆恨みするかが人生の分かれ道であった。

  「やあ、リリー、元気かい?君の紫の瞳はいつ見ても美しいね。
 美味しいお茶が手に入ったんだよ。お茶でも飲みながら、一緒に勉強しないかい?」

 必死なディーンである。

「おかげ様で元気に過ごしております。これから図書室に向かうつもりでおりますの。せっかくですがお茶は御遠慮いたしますわ。
 では、ご機嫌よう。」

  取り残されるディーンと、寄り添うアルバート。

  事情は理解出来ても、許せない女心である。許される日が来るのだろうか。取り敢えず、まだ2人は婚約中。
   
  図書室では、集中して教科書をのぞき込む4人の姿が。スーザン、チャーリー、リリー、クリス、学年トップ4である。

「ねぇ、クリスはさ、殿下のところにいなくていいの?」

 尋ねるスーザン。

「うーん、正直ちょっと2人には呆れてて…
 今だから言うけどさ、俺、殿下の部屋の前で、人が来ないように番させられたりしたんだぜ。
 あ!!リリー嬢………………ごめん。つい気が緩んで。………それに、ここで勉強したほうがはかどるしさ。亅

「大丈夫ですわ。全て知っておりますもの。
 そんなとこ、瘴気に包まれて炭化してしまえば良いのですわ!さ、魔法論理に移りましょう。 」

 誰も、何が?と聞けなかった…リリー怖いです。

 淑女の鑑のリリーとクールな眼鏡の知性派クリスが、こんなに普通に話してくれるなんて嬉しいなあ…とニマニマするスーザン。

 ディーン、お前大事な人無くすぞ!と危機感を抱くチャーリー。

  その頃、レジェンド伯爵邸の庭園の四阿で夫妻とお茶を楽しむ、目が潰れるほどのイケメンが…シルバーブロンドの長髪、切れ長の青灰色の瞳、薄紅の薄いくちびる……すらりと長い手足…全てが完璧。

「フェーン、ただいまあ!ええっ?」

 スーザンの帰宅。もっふりしたかったのにイケメン姿なので、がっかりを隠しきれないスーザンである。フェンリルのフェンは自分の好きな姿で、日がな1日自由に過ごしている。
  
「何だ、父上と母上よりも先にフェン殿にご挨拶かい?」

「我は神獣であるからな。」

「なるほど…」

「ところで、またあの地に瘴気が溜まり始めておるぞ。今はまだ地中深くに淀んでおるようだが、あの地は危険じゃ。ここ数年のうちには魔物の大発生(スタンピード)を引き起こしてしまうやも知れぬ。注意深く見ていかねばなるまいのう。」

 怖い預言が出てしまった。







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