前世が見えちゃうんですけど…だから、みんなを守ります(本編完結・番外編更新)

turarin

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スタンピード2

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 果てしなく思えた戦いも終わりが見えてきた。スーザンとクリスのピンポイント治癒魔法も上手く機能した。

 ほっと一息ついた頃、

「スーザン、反対側の方で、倒れてる弓兵がいるの。ちょっと来て!こっちよ。」

 とメイリン。

「わかった」

 城壁の反対側へとメイリンについていくスーザン。

「え?どこにいるの?」 

 どんっ!

 え?!なにこれ?押された?落ちてる!
 城壁の上からほくそ笑むメイリン。

「あんたのせいよ。あんたが悪いのよ」 

 自分で治癒魔法かけられるのかな?即死じゃなければいけるはず。瞬時に考えるスーザン。

 あれ?ふわっと身体が浮いてる?

「姉ちゃん!!もうやめてくれよ!!」

 大声で叫ぶクリス。

 これ、クリスの風魔法?。そして黒い影の腕が身体に巻きついて、さらに城壁にくっついている。チャーリーの闇魔法!

 助かった…城壁にぶら下がったまま果てしなく涙が流れる。

 どうやって来たのか、城壁の上にいるチャーリーに引き上げられ、抱きしめられた。体がぶるぶる震えて涙が止まらなかった。

 メイリンも立ち尽くしたまま、真っ青になって震えていた。その隣に立つクリス。
   
「姉ちゃんだろ。もうやめてくれよ、ほんとに。もうたくさんだよ。」

「龍二なの?」

「全部思い出したわ。殺すつもりなんて無かったのよ。ただ苦しくて苦しくて…もうどうしょうもなかったの。母さんみたいにならないように、幸せな結婚しなくちゃって。健太郎さんだって、姉ちゃんのこと、愛してるって言ってくれたのよ」

「健太郎さん?どういうこと?」
 スーザンはわけがわからない。

「言っていない。そんなこと一度も言ってない…」

 チャーリーが言う。え?あなた健太郎だったの?

「でも、あの夜、私のこと抱きしめてくれたじゃない。好きってことでしょ…私のこと。なのに、ずっと会ってくれなくて…電話もラインもつながらないし。私苦しくて、苦しくて…
 おうちにも行ったわ。そしたら居たのよ、あの智美って人が。おかしいわよね。私が健太郎さんと結婚しなくちゃいけないのに、何であの人が健太郎さんのおうちにいるわけ?」
  
「俺は智美しか愛していない。  
 お前が、俺の目の前で智美を殺した……落ちて行くのを見た…俺が、お前を抱いたから… 別に好きじゃなかった。ただ、なんとなく……お前が誘ってきたから。それだけだ。」


 もう聞きたくなかった。 ああ、気絶したい。
 健太郎、こういう人だった。知ってた。そっか、健太郎の浮気のせいで私、殺されちゃったんだね~。

 まさか龍二くんのお姉ちゃんだったとはね… 
 お姉ちゃん、殺人犯になったら、その後の人生大変だったろうなあ、龍二くん。 そんなことをぼんやり考えた。

 不毛な言い争いにうんざりして、スーザンは言った。
「もう、いいよ…
 だって、今のことじゃないでしょ……でも、また私を殺そうとしたことは許せない。罪を償ってもらいたいから…」

「スタンピード落ち着いたみたいだし、もう休ませてもらうね。クリス、チャーリー、助けてくれて、ありがとう。クタクタなの。さっき、もう少しで死ぬとこだったし…」

「待て、送ってくよ」

「ごめん、チャーリー、1人にしといて亅 

「俺、送ってくよ。俺ならいいでしょ?」

 と、クリス。クリスならいいかな。

「うん、お願い。」




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