前世が見えちゃうんですけど…だから、みんなを守ります(本編完結・番外編更新)

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番外編 クリスとメイリン2

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  メイリンは、ただうつむいて座っていた。腐っても聖女なので、普通の罪人の扱いではない。きちんと貴族牢に入り、衣食住は保証されている。

「姉ちゃん、俺、今日はクリスじゃなく龍二として話しに来た。姉ちゃんさ、前世で刑務所入ってすぐ死んだだろ?どうやって死んだのか俺、教えてもらえなかったけどさ。」

「…………………」

「俺らはさ、あの後大変だったよ。
 健太郎さんって言うんだっけ。あの人も。あの人、しばらく廃人みたいになってどっかに入院してたみたいだけど。あ、自分の大学の病院かな。大学の准教授だったもんね。」

「もう、マスコミがさ、不倫の果ての殺人事件って、大騒ぎ。テレビもネットも。
 うちにも、智美先生の高校にも、取材の人いっぱい来てさ、有名人だったよ、俺等。あの人、本書いてるぐらいの有名なイケメン准教授だったしさ。じいちゃん、ばあちゃんが、もう……さ。ホントに可愛いそうだった。」

「それはいっか。暫くしておさまったし。
 俺、一般企業はダメだったけど、1番なりたかった教員になれたし。時々思い返したように色々言ってくるヤツもいたけど、俺、もう思ったことは全部言うって決めたから負けなかったし。」

「…………………」

「で、一番伝えたかったのはさ、母さん元気になって、父さんと再婚したよ!俺、意外に早死にして親不孝だったけど、よぼよぼの夫婦2人、めっちゃベタベタして、見苦しいほどラブラブだった。」

「え?!」

「だって、あの人、他に家庭があったんじゃないの?」

「それがさ、母さんが思い込んだだけだったんだよ。」

「どういうこと?」

「じいちゃんもばあちゃんも俺等に言ってくれなかったんだよね。 あまりにも母さんの妄想が酷くって、受け入れられなかったんだって。
 追い込んだのは父さんだって思い込んでて、俺らにも全然合わせてくれなかった。父さん何度も何度も会おうとしてくれて、誕生日とかクリスマスも毎年色々送ってくれてたらしいよ。」

「全然知らなかったよね。
 母さんも俺らも、父さんにちゃんと愛されてたんだよ。」

「……………」

「それでさ、誰が母さんを壊したか。姉ちゃんが死んだ後だけど、やっと分かったんだ。」

「え?」

「母さん、父さんの病院にずっと入院してて、自傷行為とか色々あって、閉鎖病棟長くて、うちらもほとんど会えてなかったんだけど、父さんは、結構会ってたんだ。
 何でかっていうと、院長権限あるし、母さん担当の先生が真理子おばちゃんだったから……ほんとはダメだったけど融通きかせてもらってたらしいよ。

 俺が高校生の頃、何とかっていう新しい薬が出て、幻覚とか幻聴みたいのがすごく抑えられるようになって、やっと普通の病棟に移ったんだ。姉ちゃんのことは、ずっと伝えられなかったけど、俺が会ってもボーッとしてるけど落ち着いててすごく嬉しかった。」

「でも、父さんに他の家庭がある。父さんは他に愛する女性と子どもがいる、っていうのは事実としてとらえられていて、全然治らなかったんだ。」

「父さん、高校生の頃から、ずーっと母さんのこと好きで、浮気なんて全然して無いのに、ある時から急に母さんが狂ったように疑いだして、どんどんおかしくなっていったんだって。そのうち、私なんてもう死ぬって毎日言うから、これ以上苦しめちゃダメだって離れたんだって。」

「ずっと後悔してるって。その話した時、父さん泣いてた。でもどうにもならなかったって。

 だけど担当医が母さんの友達の真理子おばちゃんだったから、安心して任せたって…」

「なのに、幻覚消えても…よくならなくて…」

「そしたら、ある日、母さんが言ったんだって、泣きながら。

 だって、真理子がいつも言ってるもの。あなたは新しい奥さんと子供と幸せそうよって。嘘つかないで!」



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