【完結】ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

青依香伽

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第3章 侍女科

6 復習

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 昼休憩中、皆と別れたルイーズは、調理室に来ていた。
 目の前にある紅茶セットを前にして、紅茶の入れ方を復習している。
 この数週間で、お茶会の全体的な流れについては学び終えたものの、紅茶の淹れ方にだけ、どうしても納得していないようだ。

(紅茶が飲みたいときには、お願いすればさっと出してくれるのよね。お願いするのは簡単だけど、手間暇かかっているのね)

「いつもありがとう、ローラ。美味しい紅茶が入れられるようになったら、ローラにも飲んでもらいたいわ」

 ローラを思い出しているのだろう。ここにはいないローラに、お礼を伝えるルイーズ。

 お湯を沸かし、ティーポットとティーカップに少量のお湯を入れ温めてからお湯を捨てる。ティーポットにティースプーン一杯の紅茶の葉を入れて、沸騰直後のお湯をティーポットに注いで蓋をしたら数分蒸す。そして、茶漉しを使って紅茶を注ぐ。茶葉の分量的に、一人分の紅茶を入れているのだろうか。
 
 教わった手順通りに進めているのだろう。まだ不慣れな手つきだが、順調にこなしているのではないだろうか。

 そんな時、調理室のドアを開け、マノン先生が入ってきた。

「ルイーズさん、練習ですか」

「マノン先生……。はい、紅茶を淹れる練習をしていました。
宜しければ、今から新しいものを入れ直しますので、飲んで頂けますか?」

「はい。でも、入れ直さなくて結構ですよ。今淹れた、そちらの紅茶をいただきます」

 ソーサーの上にカップを乗せて、マノン先生の前に紅茶を差し出すルイーズ。
 そのソーサーを左手に持ち、右手でティーカップのハンドルをつまみながら、口元に近づけ香りを確認する。紅茶を口に含んだマノン先生が、ルイーズを見ながら質問した。

「上手に淹れられていると思います。強いて言うならば、大きい茶葉を使った場合は、細かい茶葉を使った時より、蒸らし時間を少しだけ長く置いた方が良いですね。ルイーズさんは、他に気になる点はありますか?」

「いつも、我が家の侍女が淹れてくれた紅茶は、とても美味しいのです。教えていただいた通りに、茶葉も湯量も量ってから入れているのですが……」

「その侍女の方は、ルイーズさんの事をよく見ていらっしゃるのですね。主人の体調や好みが分からないと、出来ることではありません。さじ加減がとてもお上手な方なのでしょう。
今すぐに、その方と同じ水準に達するのは難しいです。今は基本をしっかりと身につけて、慣れることが大切ですよ」

「はい、ありがとうございました」


 ♦


 その日の夜、ルイーズはローラに紅茶の淹れ方について尋ねていた。

「紅茶って奥が深いのね」

「そうですね。でもマノン先生のおっしゃる通り、今は基本が第一ですよ。貴族家によっては、ティーポットや茶葉の種類も違いますからね。今はしっかり練習して、基本をマスターして紅茶を淹れることに慣れてくれば、仕える方の好みに合ったものをお出しできるようになると思います」

「確かにそうよね。今は練習あるのみね」

「お嬢様なら大丈夫ですよ。紅茶の淹れ方に限らず、何事も丁寧に対応されていますから。」

「いつもありがとう、ローラ。私はローラの淹れてくれた紅茶が一番好きよ」

「ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。今度はお嬢様の淹れた紅茶を飲ませてくださいね」

「もちろん、約束するわ」


 淑女科上級生との合同授業まであと数日。ルイーズの復習は、毎日続くのだろう。



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