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第4章 修道院
7 修道院へ行く ⑤
しおりを挟む外に出た二人は、先ほど怪我をした男性の座っていたベンチに向かっていた。
ルイーズはベンチを確認するとほっと息を吐いた。
「良かった。ここにいた男性は医務室に行ったのね」
エリーも頷き微笑んだ。
「そうね。怪我をしたのは顔だけのようだし、自力で医務室に行けたと思うわ」
男性の座っていたベンチに腰掛け、二人は先ほどの会話を思い出していた。
ルイーズは楽しみにしていた修道院訪問で、こんな話しを聞くことになるとは思ってもみなかった。隣に座るエリーに視線を向けると、不安そうな表情で疑問を口にした。
「エリー、さっきの話を聞いて、幼い頃を思い出していたの。エリーも、私の変化に気づいてた?」
「……目の色に、違和感を覚えたときがあったわ。その頃、二人で話したことや、約束したことを忘れていたことがあったの。あの頃は、目の色や記憶についても、自分の思い過ごしなのかもしれないと思ったの。姉や母に聞いても何も分からなくて……。ルイーズに何かあったんじゃないかって不安だった。でも、私は何もできなくて...ごめんなさい」
「エリー、私がそんな状態なのに、いつも側にいてくれてありがとう。エリーとの思い出も、取り戻せたら良いのだけど……まだ混乱しているのかな。少しずつでも、回復できるように努力するわ。だから、思い出せるまで待っていてくれる?」
「もちろんよ。思い出せなくても、ルイーズと変わらずにこうして一緒に過ごすことができるだけで、私は幸せよ」
エリーは、ルイーズの変化に気づきながらも、何も分からない状態で共に過ごしてきたようだ。もしそうだとしたら、継続的な不安を抱え心労的な負担も大きかっただろう。
その後、修道院長室に戻るためにベンチから立ち上がると、エリーが前のめりに倒れた。驚いたルイーズが助けを呼ぼうとした時、近づいてきた人物が、急いでエリーを医務室に運んでくれたようだ。
医務室で診てもらったエリーに外傷はなく眠り続けているため、そのままベッドで休ませることになった。
その後、知らせを受けたエマが医務室に来ると、ルイーズに修道院室に向かうように伝えた。
♢
ルイーズとエリーが休憩で外へ出た後——
修道院長室には外部の人間が来ていたようだ。ドアの前に立たされている男性が三人、エリザベスからお小言を言われている。
この三人は市井に訪れる際に着用するような衣服だが、容姿が整い過ぎているため高貴な雰囲気が崩せていない。その中の一人は、顔にガーゼを貼っているため、少し悪目立ちをしているようだ。
エリザベスが、中央に立つ男性に話しかけた。
「殿下、遅かったですね」
「——すまない」
「......こちらも色々あって、休憩していたところです。今日ご紹介させていただくご令嬢が戻るまで、お話させていただきたいのですが、よろしいですか?」
「ああ、よろしく頼む」
エリザベスは、頷きながら男性たちにソファーへ座るように促すと、先ほどまでの会話の内容を話し始めた。
「それは間違いなく、影響を受けているな」
「ええ、でもブラン家にそのような力があったこと、殿下はご存じでしたか?」
「いや、初めて聞いた。ご家族は表沙汰にせず、力のこともご令嬢のことも隠して守って来たのではないだろうか」
その時ドアがノックされた。
「失礼いたします。ルイーズです」
「どうぞ、入って」
部屋の中からはイリスの返事が聞こえた。ルイーズが部屋の中に入ると、エリザベスがドアを開け出迎えた。
「エリーのことは聞いているわ。多分、安心して気が緩んだのではないかしら。だから、エリーのことはエマに任せて。あまり心配しないでね」
「はい」
ルイーズの返事を聞くと、エリザベスはルイーズの背中に手を添えて彼らの元に連れて行った。
「ルーちゃん、こちらの方々が先ほど話した方たちよ」
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