12 / 12
12.
しおりを挟む
「ナディージュ嬢の強さにいつまで甘え続けるおつもりですか。反省していると、本当に後悔しているというなら、ここから再スタートだなんて卑怯なことを言わず、今までのことをしっかり償うべきです。そして、その方法を採るのは殿下のためではなく、傷ついたナディージュ嬢のためであるべきです」
……どうしよう。涙が止まらない。オジサン達まで心が打たれてしまったよ⁉ 護衛たちがすっかり男泣き。
だって、不敬だと言われる可能性だってあるのに、こんなにもはっきりと叱るなんて。
……いや、でも、彼で不敬ならナディージュ嬢はすでに拘束されているかも?
「……では、彼女に償うには……、妻にするのを諦めろということか?」
「殿下が、そう思うのであればそうなのでしょう。本当はずっと前から分かっていたのではありませんか?」
壁様が優しく問いかける。が、殿下は絶対に三十秒前まで分かっていませんでしたよ? 俺様に告白されたら絶対に喜ぶ! と自信満々で呼び戻したはず。だって俺様殿下だから。
「……こら、ナディージュ嬢。くっつき過ぎです。もう少し離れましょうか」
殿下に注目していて気づかなかったが、いつの間にかナディージュ嬢がマウアー卿の背中に顔を埋めている。それでは、顔拓が出来上がるのでは? お化粧が取れちゃいますよ?
「……だって……私のために怒ってくれたわ」
背中にしがみついたままポソッとつぶやく姿は、まるで小さな少女のようで。
こうして誰かがナディージュ嬢のために殿下を諫めるのは初めてだったのか。
だって王族だし、恋心の拗らせだし、と少し軽く考えていたが、こんなにも傷ついていたのだと護衛達は罪悪感に胸を押さえた。
「よいしょっと」
背中からナディージュ嬢をペリッと剥がし、自分の正面に移動させ、二人が向き合う形になった。
あ、やっぱり背中には口紅の跡がうっすらと残っているが、顔の形にはならなかったようだ。
「プロポーズするなら、背中ではなく顔を見て言ってください」
そう言いながらマウアー卿が見つめると、ナディージュ嬢がボボボッと火が出そうなほど真っ赤になった。
え、誰これ。オリハルコン製の心臓はどこにいった? めっちゃ乙女じゃん⁉ なんなら思春期の少女みたいだよ⁉
「まっ、待って? あの、やっぱり背中の方が」
「男は背中で語ると言いますが、顔を見たほうがちゃんと分かりますよ」
あれ? 何だか二人の世界になっちゃった?
殿下が呆然としているけど、ごめんなさい。続きが気になるから正気に戻るのはもう少しだけ待ってください。今度こそ! 今度こそハッピーエンドを見届けたい! と、護衛どころか国王陛下まで固唾を呑んで見守っている。
「……私、迷惑ではなかったの?」
「迷惑な方を迎えに他国まで来るほど暇人ではないつもりですよ」
そうだよね。だって第三とはいえ王子殿下の側近なのだから忙しいはずですよね?
「あなたは私の背中でいつも本音を語ってくれました。ふだんの強気な姿とは違って、拗ねてポスポスと背中を叩いたり、グリグリと頭を擦り付けながら呪ってみたり、そっと寄り添って弱音を吐いたり。
そんな可愛らしい姿を三年も見せられ続けたら、一生そばで守って差し上げたいと思っても仕方がないと思いませんか?」
そう言って、ね? と覗き込むように視線を合わせる。
甘ぁぁぁあ~~いっっ!!!
えっ⁉ 本気を出したマウアー卿が大変なことに! そんなにも大きな体で器用に上目遣いをするから、ナディージュ嬢は真っ赤になった顔を覆ってしまった。
完全に壁様の勝利です。殿下は同じ舞台にすら立てていません。
「あ、皆様の前で大変失礼いたしました。では、私達はそろそろ戻らせていただいてもよろしいでしょうか」
「……うむ、許す」
やっと陛下も諦めたようだ。だって勝ち筋がまったくないのだから仕方がない。
「ナディージュ嬢、帰りましょう」
エスコートのために差し出された手をナディージュ嬢がそっと握る。
ほら、やっぱり移動式の台座はいらないですよ。優雅に自立歩行しているではないですか。
「ナディージュ……」
殿下が呼び止めるも、それ以上の言葉は出ないようだ。
「二度と私を呼び捨てにしないで。そう呼んでいいのはマウアー卿だけです」
マウアー卿にエスコートされて恥じらいながらも、殿下への苦情は忘れないようだ。
「…シャリエ伯爵令嬢、本当にすまなかった」
「本当にそう思っているなら婚約者様は大切になさってください。俺は失恋してツライんだ~~っ! などとみっともない姿をさらしたら軽蔑しますから」
「言い方っ! どうしてお前はそうも可愛くないんだ!」
「だから私との結婚など無理なのですよ。それでは、ごきげんよう」
ナディージュ嬢の可愛らしさはマウアー卿限定のようだ。すっかり忖度しない強気な令嬢の顔に戻ったナディージュ嬢は美しい笑みを見せると、そのまま最愛の壁様と共に去っていってしまった。
「……あー、バスチアン。その、な? 政略結婚も悪くないぞ?」
「そうねぇ。あなたにはその方が向いていそうだと分かったことだし、バイヤールに婚約の打診をするわよ?」
落ち込んでいる隙にバイヤールの王女との縁談を結んでしまおうと両陛下が畳みかける。
「……よろしくお願いします」
あ、落ちた。ついでに美しいサファイアブルーの瞳から涙も落ちたが、自業自得なため陛下も護衛たちもそっと視線をそらすにとどめる。
よかったですね、ナディージュ嬢。殿下はようやく諦めましたよ!
護衛たちは心の中でそっとエールを送った。
◇◇◇
「ねえ、聞いて壁様。私の婚約者が素敵すぎて困るの。心臓がバクバクしてこんなの私じゃないわ。このままでは死んでしまいそう」
「可愛い告白は大歓迎ですが、そろそろ面と向かって言ってくれませんか?」
背中に張り付いたナディージュをペリッとはがして膝に乗せる。最近のお決まりパターンだが、ナディージュは未だになれずに照れまくっている。
「私の名前は?」
「……壁様」
「それは背中限定です」
「………イザーク様、幸せだけど恥ずかしすぎて辛いのだけど」
「可愛いですね。あなたが勇気を出して国を飛び出してくれて本当に感謝していますよ」
あれから二人でシャリエ伯爵家に行き、正式に婚約を結んだ。家族は本当にすまなかったと泣いて謝っていたが、まだ許してはいない。
それでも、仕方がないので結婚式には呼ぶ予定だ。
なぜか、殿下から招待状はまだかと催促がきたが、イラッとして暖炉にくべてしまった。
バイヤールの王女とはそれなりにうまくいっているらしく、また調子に乗っているようで腹が立ったのだ。また後で壁様に打ち明けなくては。
「イザーク様も大切だけど、壁様を手放せない私を許してくれる?」
「もちろん。私の背中は君専用だから」
「ふふっ、ありがとう。………すきよ?」
「私もだ」
【end】
……どうしよう。涙が止まらない。オジサン達まで心が打たれてしまったよ⁉ 護衛たちがすっかり男泣き。
だって、不敬だと言われる可能性だってあるのに、こんなにもはっきりと叱るなんて。
……いや、でも、彼で不敬ならナディージュ嬢はすでに拘束されているかも?
「……では、彼女に償うには……、妻にするのを諦めろということか?」
「殿下が、そう思うのであればそうなのでしょう。本当はずっと前から分かっていたのではありませんか?」
壁様が優しく問いかける。が、殿下は絶対に三十秒前まで分かっていませんでしたよ? 俺様に告白されたら絶対に喜ぶ! と自信満々で呼び戻したはず。だって俺様殿下だから。
「……こら、ナディージュ嬢。くっつき過ぎです。もう少し離れましょうか」
殿下に注目していて気づかなかったが、いつの間にかナディージュ嬢がマウアー卿の背中に顔を埋めている。それでは、顔拓が出来上がるのでは? お化粧が取れちゃいますよ?
「……だって……私のために怒ってくれたわ」
背中にしがみついたままポソッとつぶやく姿は、まるで小さな少女のようで。
こうして誰かがナディージュ嬢のために殿下を諫めるのは初めてだったのか。
だって王族だし、恋心の拗らせだし、と少し軽く考えていたが、こんなにも傷ついていたのだと護衛達は罪悪感に胸を押さえた。
「よいしょっと」
背中からナディージュ嬢をペリッと剥がし、自分の正面に移動させ、二人が向き合う形になった。
あ、やっぱり背中には口紅の跡がうっすらと残っているが、顔の形にはならなかったようだ。
「プロポーズするなら、背中ではなく顔を見て言ってください」
そう言いながらマウアー卿が見つめると、ナディージュ嬢がボボボッと火が出そうなほど真っ赤になった。
え、誰これ。オリハルコン製の心臓はどこにいった? めっちゃ乙女じゃん⁉ なんなら思春期の少女みたいだよ⁉
「まっ、待って? あの、やっぱり背中の方が」
「男は背中で語ると言いますが、顔を見たほうがちゃんと分かりますよ」
あれ? 何だか二人の世界になっちゃった?
殿下が呆然としているけど、ごめんなさい。続きが気になるから正気に戻るのはもう少しだけ待ってください。今度こそ! 今度こそハッピーエンドを見届けたい! と、護衛どころか国王陛下まで固唾を呑んで見守っている。
「……私、迷惑ではなかったの?」
「迷惑な方を迎えに他国まで来るほど暇人ではないつもりですよ」
そうだよね。だって第三とはいえ王子殿下の側近なのだから忙しいはずですよね?
「あなたは私の背中でいつも本音を語ってくれました。ふだんの強気な姿とは違って、拗ねてポスポスと背中を叩いたり、グリグリと頭を擦り付けながら呪ってみたり、そっと寄り添って弱音を吐いたり。
そんな可愛らしい姿を三年も見せられ続けたら、一生そばで守って差し上げたいと思っても仕方がないと思いませんか?」
そう言って、ね? と覗き込むように視線を合わせる。
甘ぁぁぁあ~~いっっ!!!
えっ⁉ 本気を出したマウアー卿が大変なことに! そんなにも大きな体で器用に上目遣いをするから、ナディージュ嬢は真っ赤になった顔を覆ってしまった。
完全に壁様の勝利です。殿下は同じ舞台にすら立てていません。
「あ、皆様の前で大変失礼いたしました。では、私達はそろそろ戻らせていただいてもよろしいでしょうか」
「……うむ、許す」
やっと陛下も諦めたようだ。だって勝ち筋がまったくないのだから仕方がない。
「ナディージュ嬢、帰りましょう」
エスコートのために差し出された手をナディージュ嬢がそっと握る。
ほら、やっぱり移動式の台座はいらないですよ。優雅に自立歩行しているではないですか。
「ナディージュ……」
殿下が呼び止めるも、それ以上の言葉は出ないようだ。
「二度と私を呼び捨てにしないで。そう呼んでいいのはマウアー卿だけです」
マウアー卿にエスコートされて恥じらいながらも、殿下への苦情は忘れないようだ。
「…シャリエ伯爵令嬢、本当にすまなかった」
「本当にそう思っているなら婚約者様は大切になさってください。俺は失恋してツライんだ~~っ! などとみっともない姿をさらしたら軽蔑しますから」
「言い方っ! どうしてお前はそうも可愛くないんだ!」
「だから私との結婚など無理なのですよ。それでは、ごきげんよう」
ナディージュ嬢の可愛らしさはマウアー卿限定のようだ。すっかり忖度しない強気な令嬢の顔に戻ったナディージュ嬢は美しい笑みを見せると、そのまま最愛の壁様と共に去っていってしまった。
「……あー、バスチアン。その、な? 政略結婚も悪くないぞ?」
「そうねぇ。あなたにはその方が向いていそうだと分かったことだし、バイヤールに婚約の打診をするわよ?」
落ち込んでいる隙にバイヤールの王女との縁談を結んでしまおうと両陛下が畳みかける。
「……よろしくお願いします」
あ、落ちた。ついでに美しいサファイアブルーの瞳から涙も落ちたが、自業自得なため陛下も護衛たちもそっと視線をそらすにとどめる。
よかったですね、ナディージュ嬢。殿下はようやく諦めましたよ!
護衛たちは心の中でそっとエールを送った。
◇◇◇
「ねえ、聞いて壁様。私の婚約者が素敵すぎて困るの。心臓がバクバクしてこんなの私じゃないわ。このままでは死んでしまいそう」
「可愛い告白は大歓迎ですが、そろそろ面と向かって言ってくれませんか?」
背中に張り付いたナディージュをペリッとはがして膝に乗せる。最近のお決まりパターンだが、ナディージュは未だになれずに照れまくっている。
「私の名前は?」
「……壁様」
「それは背中限定です」
「………イザーク様、幸せだけど恥ずかしすぎて辛いのだけど」
「可愛いですね。あなたが勇気を出して国を飛び出してくれて本当に感謝していますよ」
あれから二人でシャリエ伯爵家に行き、正式に婚約を結んだ。家族は本当にすまなかったと泣いて謝っていたが、まだ許してはいない。
それでも、仕方がないので結婚式には呼ぶ予定だ。
なぜか、殿下から招待状はまだかと催促がきたが、イラッとして暖炉にくべてしまった。
バイヤールの王女とはそれなりにうまくいっているらしく、また調子に乗っているようで腹が立ったのだ。また後で壁様に打ち明けなくては。
「イザーク様も大切だけど、壁様を手放せない私を許してくれる?」
「もちろん。私の背中は君専用だから」
「ふふっ、ありがとう。………すきよ?」
「私もだ」
【end】
1,908
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(29件)
あなたにおすすめの小説
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
正妃として教育された私が「側妃にする」と言われたので。
水垣するめ
恋愛
主人公、ソフィア・ウィリアムズ公爵令嬢は生まれてからずっと正妃として迎え入れられるべく教育されてきた。
王子の補佐が出来るように、遊ぶ暇もなく教育されて自由がなかった。
しかしある日王子は突然平民の女性を連れてきて「彼女を正妃にする!」と宣言した。
ソフィアは「私はどうなるのですか?」と問うと、「お前は側妃だ」と言ってきて……。
今まで費やされた時間や努力のことを訴えるが王子は「お前は自分のことばかりだな!」と逆に怒った。
ソフィアは王子に愛想を尽かし、婚約破棄をすることにする。
焦った王子は何とか引き留めようとするがソフィアは聞く耳を持たずに王子の元を去る。
それから間もなく、ソフィアへの仕打ちを知った周囲からライアンは非難されることとなる。
※小説になろうでも投稿しています。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
愛される日は来ないので
豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。
──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白くて素敵な作品をありがとうございます。
感想欄に作品を愛するあまりに発足した会もいいですねぇw
個人的にぬりかべ大好きなので、イザーク様が好きになりました。
ナディージュ様とイザーク様のイチャコラがもっと欲しかったです!!
はぁ…いいねがこれ以上押せないのが残念でたまりませんっっ!!!
感想ありがとうございます。
面白かったと言っていただけてうれしいです!
ぬりかべ可愛いですよね。まさかの壁繋がりで好かれるとは。イザークも喜んでいることでしょう。
ふたりのイチャコラは書いております! が、こちらでは投稿できないかと思われ(コッソリ)
また、はっきり決まりましたらご報告いたします。
面白かったです。が、感想欄になんかすげぇ会が発足してて一番笑いましたw
私は、改心の余地があるのが好きなので、殿下過ちを理解できて良かったね、しっかり更正するんだぞ…という生暖かい目で見てました。
…見てたんですけど最後w 殿下、ハウス!許されてはないんだからね?!
感想ありがとうございます。
楽しんでいただけてうれしいです!
すげぇ会(笑)
気づけば面白い会が発足しておりました。
入会は自由ですが、主催者が不明という怪しい会でございます。自己判断でお願いいたします!
あ、もう終わり?夢中になって読み切ってしまいました。番外編および、続編はないんですか。ありがちな絆されヒロインではなく、久々にすっきりしてとても楽しかったです。
拗らせクズ男獄門委員会?まだ加入受付中ですか?会費の振込先を教えて欲しいです。
いっそ、拗らせ男獄門委員会シリーズと銘打って、またシリーズものをぜひお願いします。
感想ありがとうございます。
このあとは壁様とのラブラブ人生が待っているだけかと。
でも、今後の続きはある予定です。が、拗らせクズ男獄門委員会的な内容にはならない予定?
すみません、基本ハピエン厨なので、ザマァは案外苦手なのです。
シリーズを続けると、ぬるい! と叱られそうです、ごめんなさい!