7 / 17
7.
しおりを挟む
私はなんということをしてしまったんだ
彼女を大切にしているつもりだったのに傷付けてばかりいたなんて!
「ふぅ、やっと言いたいことが言えたわ」
「……」
─怖い……まさか離婚だと言われたら生きていけないぞ…
でも私はそれくらいのことをしてしまったのだろう。
どう償えば許してもらえるのか…
「では、すっきりしましたし、今日はもう疲れたのでそろそろ寝ましょうか」
「……は?」
「あら、旦那様はまだ寝ないのですか?」
「旦那様?!」
さっきまでの出来事は夢か!?
いやそんなはずはない。
ならなんで寝ましょうかになるんだ?
「待ってくれ!もう何がなんだか……
ラウラ、お前は私のせいでとても傷ついて、私のことがその、…き、き…き嫌いで!
あと…気持ち悪、くてっ、くそっ!」
「まぁ、旦那様ったら泣いていらっしゃるの?」
「っ、違う!だいたいその旦那様というのは何なんだ?」
あぁ情けない。この歳になって人前で、それも愛しい人の前で泣くなんて!
もう頭の中がグチャグチャだ
「ふふっ、悪いことをしたらお仕置きなのでしょう?」
「おしおき?」
「えぇ、そうです。
旦那様も私と同じでお名前で呼ばれたいようなので、あえて旦那様と呼ばせていただこうかと思いましたの。
私を番としか呼ばなかった罰ですよ」
「っ、そのようなことで私を許してくれるのか?」
「いいえ?まずは1つめの罰というだけです。
あとはどうしようかしら?
そうですね、明日一緒にお出かけしましょう。
ちゃんとエスコートしてください。エスコートですよ?
抱えて歩くのは許しません。
そして私の好みに合ったドレスを買ってくださいな。
ここは妥協して、旦那様のお色のものにしますわ。
それからそのドレスを着て行ける夜会にも連れて行ってください。そして一緒にダンスを踊りましょう?
私は貞淑な妻であり番ですから、あなた以外とは踊りませんから安心なさって。
そうしたら仕方がないのでお仕置きは終了してあげます」
「……すごくキツくて甘い仕置きだね」
「そうですね、愛妻からのお仕置きですから!
もちろんお仕置きが終わったからといって寝室に閉じ込めたり抱えて歩いたりしたら、今度はもっとキツイお仕置きになりますから。
そうですね、ひと月くらいお父様に甘えに実家に帰っちゃうかもしれません」
「それは絶対にダメだ!ひと月も離れたら私は死んでしまうよ!
でも、愛妻って?……まさか愛してくれるのか?」
1日たりとも離れたくないのに、ひと月も離れたら絶対に心が壊れる。本当に無理だ。
でも買い物に夜会か。すごくイヤだが……デートだと思えば乗り切れるか?馬車の中なら膝に乗せて抱きしめていても怒らないのだろうか……乗り降りのときくらいは抱きかかえても許されるかもしれない。ならいっそ店までそのまま抱いていっても……いかん、こういう所が気持ち悪いんだろう!
「まず現実的な話をしていいですか?
公爵様が運命的な出会いで番を見つけ、攫うように連れ帰り、溺愛し囲い込み1歩も屋敷から出さない。
呆れた国王陛下に諭され渋々お披露目。
かと思ったら婚約期間もなしにいきなり結婚式で、それも誰にも見せたくないとベールに包んで抱えて歩くほどの執着っぷり。
そんな異常事態が、なぜか甘めに編集補足されて、世紀の恋愛物語として国中に知れ渡っているそうですよ。
ドレスを着付けてくれるときに侍女が教えてくれました。あ、誰が教えてくれたかは調べないでくださいね。「こんな物語やお芝居のような恋があるなんて素敵です!」って感動して伝えてくれただけですから。
いったいどなたの情報操作でしょうね。弟君がとても大事なご夫婦かしら。
ですから貴族だけでなく国民まで久々の王族の番婚だって祝福してくれたんですよ?
それを1日で離婚したいなんて言えるわけないじゃないですか。そんなことをしたら私は国中から悪女と呼ばれてしまいます」
兄上達がそんなことまで?
確かに10歳以上年下の令嬢を攫うように連れ帰ったのに批判の声がほとんどなかった。
番が相手だからだと当然に思っていたが、まさか情報操作されていたなんて……
ラウラのために早く家に帰りたくて、登城しても休憩も取らず仕事をして、話しかけてきた者にも仕事の話以外は急いでいるからと断りさっさと帰宅していたからな。
まったく知らなかった。
本当に浮かれ過ぎておかしくなっていたようだ。
「では、逃げることができないから、仕方なく愛妻として芝居をするということなのか?」
彼女を大切にしているつもりだったのに傷付けてばかりいたなんて!
「ふぅ、やっと言いたいことが言えたわ」
「……」
─怖い……まさか離婚だと言われたら生きていけないぞ…
でも私はそれくらいのことをしてしまったのだろう。
どう償えば許してもらえるのか…
「では、すっきりしましたし、今日はもう疲れたのでそろそろ寝ましょうか」
「……は?」
「あら、旦那様はまだ寝ないのですか?」
「旦那様?!」
さっきまでの出来事は夢か!?
いやそんなはずはない。
ならなんで寝ましょうかになるんだ?
「待ってくれ!もう何がなんだか……
ラウラ、お前は私のせいでとても傷ついて、私のことがその、…き、き…き嫌いで!
あと…気持ち悪、くてっ、くそっ!」
「まぁ、旦那様ったら泣いていらっしゃるの?」
「っ、違う!だいたいその旦那様というのは何なんだ?」
あぁ情けない。この歳になって人前で、それも愛しい人の前で泣くなんて!
もう頭の中がグチャグチャだ
「ふふっ、悪いことをしたらお仕置きなのでしょう?」
「おしおき?」
「えぇ、そうです。
旦那様も私と同じでお名前で呼ばれたいようなので、あえて旦那様と呼ばせていただこうかと思いましたの。
私を番としか呼ばなかった罰ですよ」
「っ、そのようなことで私を許してくれるのか?」
「いいえ?まずは1つめの罰というだけです。
あとはどうしようかしら?
そうですね、明日一緒にお出かけしましょう。
ちゃんとエスコートしてください。エスコートですよ?
抱えて歩くのは許しません。
そして私の好みに合ったドレスを買ってくださいな。
ここは妥協して、旦那様のお色のものにしますわ。
それからそのドレスを着て行ける夜会にも連れて行ってください。そして一緒にダンスを踊りましょう?
私は貞淑な妻であり番ですから、あなた以外とは踊りませんから安心なさって。
そうしたら仕方がないのでお仕置きは終了してあげます」
「……すごくキツくて甘い仕置きだね」
「そうですね、愛妻からのお仕置きですから!
もちろんお仕置きが終わったからといって寝室に閉じ込めたり抱えて歩いたりしたら、今度はもっとキツイお仕置きになりますから。
そうですね、ひと月くらいお父様に甘えに実家に帰っちゃうかもしれません」
「それは絶対にダメだ!ひと月も離れたら私は死んでしまうよ!
でも、愛妻って?……まさか愛してくれるのか?」
1日たりとも離れたくないのに、ひと月も離れたら絶対に心が壊れる。本当に無理だ。
でも買い物に夜会か。すごくイヤだが……デートだと思えば乗り切れるか?馬車の中なら膝に乗せて抱きしめていても怒らないのだろうか……乗り降りのときくらいは抱きかかえても許されるかもしれない。ならいっそ店までそのまま抱いていっても……いかん、こういう所が気持ち悪いんだろう!
「まず現実的な話をしていいですか?
公爵様が運命的な出会いで番を見つけ、攫うように連れ帰り、溺愛し囲い込み1歩も屋敷から出さない。
呆れた国王陛下に諭され渋々お披露目。
かと思ったら婚約期間もなしにいきなり結婚式で、それも誰にも見せたくないとベールに包んで抱えて歩くほどの執着っぷり。
そんな異常事態が、なぜか甘めに編集補足されて、世紀の恋愛物語として国中に知れ渡っているそうですよ。
ドレスを着付けてくれるときに侍女が教えてくれました。あ、誰が教えてくれたかは調べないでくださいね。「こんな物語やお芝居のような恋があるなんて素敵です!」って感動して伝えてくれただけですから。
いったいどなたの情報操作でしょうね。弟君がとても大事なご夫婦かしら。
ですから貴族だけでなく国民まで久々の王族の番婚だって祝福してくれたんですよ?
それを1日で離婚したいなんて言えるわけないじゃないですか。そんなことをしたら私は国中から悪女と呼ばれてしまいます」
兄上達がそんなことまで?
確かに10歳以上年下の令嬢を攫うように連れ帰ったのに批判の声がほとんどなかった。
番が相手だからだと当然に思っていたが、まさか情報操作されていたなんて……
ラウラのために早く家に帰りたくて、登城しても休憩も取らず仕事をして、話しかけてきた者にも仕事の話以外は急いでいるからと断りさっさと帰宅していたからな。
まったく知らなかった。
本当に浮かれ過ぎておかしくなっていたようだ。
「では、逃げることができないから、仕方なく愛妻として芝居をするということなのか?」
728
あなたにおすすめの小説
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
幸せな番が微笑みながら願うこと
矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。
まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。
だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。
竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。
※設定はゆるいです。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
【書籍化決定】憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜
降魔 鬼灯
恋愛
コミカライズ化決定しました。
ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。
幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。
月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。
お茶会が終わったあとに義務的に届く手紙や花束。義務的に届くドレスやアクセサリー。
しまいには「ずっと番と一緒にいたい」なんて言葉も聞いてしまって。
よし分かった、もう無理、婚約破棄しよう!
誤解から婚約破棄を申し出て自制していた番を怒らせ、執着溺愛のブーメランを食らうユリアンナの運命は?
全十話。一日2回更新
7月31日完結予定
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる