王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ

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私はなんということをしてしまったんだ
彼女を大切にしているつもりだったのに傷付けてばかりいたなんて!


「ふぅ、やっと言いたいことが言えたわ」

「……」


─怖い……まさか離婚だと言われたら生きていけないぞ…
でも私はそれくらいのことをしてしまったのだろう。
どう償えば許してもらえるのか…


「では、すっきりしましたし、今日はもう疲れたのでそろそろ寝ましょうか」

「……は?」

「あら、旦那様はまだ寝ないのですか?」

「旦那様?!」


さっきまでの出来事は夢か!?
いやそんなはずはない。
ならなんで寝ましょうかになるんだ?


「待ってくれ!もう何がなんだか……
ラウラ、お前は私のせいでとても傷ついて、私のことがその、…き、き…き嫌いで!
あと…気持ち悪、くてっ、くそっ!」

「まぁ、旦那様ったら泣いていらっしゃるの?」

「っ、違う!だいたいその旦那様というのは何なんだ?」


あぁ情けない。この歳になって人前で、それも愛しい人の前で泣くなんて!
もう頭の中がグチャグチャだ


「ふふっ、悪いことをしたらお仕置きなのでしょう?」

「おしおき?」

「えぇ、そうです。
旦那様も私と同じでお名前で呼ばれたいようなので、あえて旦那様と呼ばせていただこうかと思いましたの。
私を番としか呼ばなかった罰ですよ」

「っ、そのようなことで私を許してくれるのか?」

「いいえ?まずは1つめの罰というだけです。
あとはどうしようかしら?
そうですね、明日一緒にお出かけしましょう。
ちゃんとエスコートしてください。エスコートですよ?
抱えて歩くのは許しません。
そして私の好みに合ったドレスを買ってくださいな。
ここは妥協して、旦那様のお色のものにしますわ。
それからそのドレスを着て行ける夜会にも連れて行ってください。そして一緒にダンスを踊りましょう?
私は貞淑な妻であり番ですから、あなた以外とは踊りませんから安心なさって。
そうしたら仕方がないのでお仕置きは終了してあげます」

「……すごくキツくて甘い仕置きだね」

「そうですね、愛妻からのお仕置きですから!
もちろんお仕置きが終わったからといって寝室に閉じ込めたり抱えて歩いたりしたら、今度はもっとキツイお仕置きになりますから。
そうですね、ひと月くらいお父様に甘えに実家に帰っちゃうかもしれません」

「それは絶対にダメだ!ひと月も離れたら私は死んでしまうよ!
でも、愛妻って?……まさか愛してくれるのか?」


1日たりとも離れたくないのに、ひと月も離れたら絶対に心が壊れる。本当に無理だ。
でも買い物に夜会か。すごくイヤだが……デートだと思えば乗り切れるか?馬車の中なら膝に乗せて抱きしめていても怒らないのだろうか……乗り降りのときくらいは抱きかかえても許されるかもしれない。ならいっそ店までそのまま抱いていっても……いかん、こういう所が気持ち悪いんだろう!


「まず現実的な話をしていいですか?
公爵様が運命的な出会いで番を見つけ、攫うように連れ帰り、溺愛し囲い込み1歩も屋敷から出さない。
呆れた国王陛下に諭され渋々お披露目。
かと思ったら婚約期間もなしにいきなり結婚式で、それも誰にも見せたくないとベールに包んで抱えて歩くほどの執着っぷり。
そんな異常事態が、なぜか甘めに編集補足されて、世紀の恋愛物語として国中に知れ渡っているそうですよ。
ドレスを着付けてくれるときに侍女が教えてくれました。あ、誰が教えてくれたかは調べないでくださいね。「こんな物語やお芝居のような恋があるなんて素敵です!」って感動して伝えてくれただけですから。
いったいどなたの情報操作でしょうね。弟君がとても大事なご夫婦かしら。
ですから貴族だけでなく国民まで久々の王族の番婚だって祝福してくれたんですよ?
それを1日で離婚したいなんて言えるわけないじゃないですか。そんなことをしたら私は国中から悪女と呼ばれてしまいます」


兄上達がそんなことまで?
確かに10歳以上年下の令嬢を攫うように連れ帰ったのに批判の声がほとんどなかった。
番が相手だからだと当然に思っていたが、まさか情報操作されていたなんて……
ラウラのために早く家に帰りたくて、登城しても休憩も取らず仕事をして、話しかけてきた者にも仕事の話以外は急いでいるからと断りさっさと帰宅していたからな。
まったく知らなかった。
本当に浮かれ過ぎておかしくなっていたようだ。


「では、逃げることができないから、仕方なく愛妻として芝居をするということなのか?」
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