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番外編
4.
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お父様と一緒にゆっくりと神前に向かう。
教会にはお兄様と先生に親方、マリィや館の使用人達、いつも一緒に縫い物をしてくれた奥様方や孤児院のみんなも来てくれている。
お母様のベール越しに前を見る。
アデルバート様……やっぱり格好いいわね。
2回目の式なのに、つい見惚れてしまうわ。
よかった。不機嫌じゃない。式を挙げるのを嫌がられたらどうしようかと思っていたからホッとする。
お父様が優しく微笑んでアデルバート様に私を託す。私もあの時みたいな作り笑いではなく、心からの笑みを浮かべて彼と向き合う。
小さい時からお世話になった神父様に誓いの言葉を。
ずっと夢見ていたこの教会での結婚式。
お母様も見てくれているかしら。
アデルバート様と一緒にみんなの方を向くと、みんなから拍手とともにおめでとうと大きな声でお祝いされた。
いままでお世話になったみんなに祝福されてこんなに嬉しいことはない。
きっとこれが私にとって本当の結婚式。
本当に嫁ぐんだと実感する。もうすでに結婚して半年は経つのにね。
式のあとはみんなを招いて立食形式のガーデンパーティーになった。
たくさんの食事やデザートに子供達が大喜びではしゃいでいる。おめでたい場だからマナーは気にしなくていいと伝えていたので、みんなのびのびと楽しそうだ。
「アデルバート様、お体は大丈夫ですか?」
「ラウラがいればまったく問題ないさ」
「もう、本気で心配してるのに」
「私も本気だ」
「…お元気そうでよかった」
「いや、そうでもない。さっき先生達にラウラとの結婚のことで叱られたから。本当に私が悪いんだが、この年になってまだ叱られるとは思わなかったなぁ。あの方達には一生勝てる気がしない」
「そんなに親身になって叱ってくださる方がいるのはありがたいことですわ。感謝しないとですね」
「確かにそうだな」
アデルバート様を叱るなんて、先生達は本当にすごいわ。お父様だったらお年を召しても叱るなんてできないだろうなぁ。
「……ラウラ、今日の君はいままでで一番綺麗だ。
私は本当に愚かだったんだな。こんなに幸せそうな顔を初めての見たよ。
ずっと縛り付けてすまない。
……でも、どうしても手放せないんだ」
「アデルバート様ったら。さっき式を挙げたばかりですよ?みんなに祝福されてこんなに幸せなのに、もう手放そうとしているのですか?
今更出戻りは恥ずかし過ぎるのですが」
「違う!そうじゃなくてっ」
「そこは、これからもっと幸せになろう、と言ってくださらないと」
「私と一緒で幸せになれるのか?」
「もちろん!幸せになるつもりですよ!
だからそんな情けない顔を為さらないで。
お式の時にはあまりに素敵で見惚れてしまったんですよ?」
「それは私の方だ。幸せそうな君は本当に眩しいくらいだ。そんな姿を見ていたら喜びと不安でいっぱいになってしまった。
そうだな、ラウラに誓うよ。
必ずもっとずっと幸せにする。だから私の側にいてくれ。愛している」
「はい、私も誓いますわ。
好きです、アデルバート様。ずっと側にいさせてください。一緒に幸せになりましょう」
伝えたいことがたくさんある。
一週間のあいだにあった出来事、それに……
これは後回しにしましょう。今伝えたらきっと他が言えなくなる。
「アデルバート様、私こちらにもどってきて本当に驚きました。我が家だけでなく、教会や孤児院にも支援していただいて本当にありがとうございました。
綺麗にしていただいた教会で結婚式ができて本当に嬉しかったわ」
「教会は幼い頃からお世話になっていたと言っていただろう?孤児院も突然君が来なくなって寂しかっただろうし。代わりにはならないだろうけど、何かしたかったんだ」
「みんなとても喜んでいました!」
「ラウラは宝石やドレスより、家族や領民の幸せを自分の事のように喜ぶからね」
「ふふっ、いつの間にか私に詳しくなりましたね?」
「愛してるからね」
「一番ですか?」
「当たり前だ。他には何もなくていい」
「あら、でも絶対すぐにその言葉を撤回すると思いますよ」
「!ラウラは私がすぐに裏切ると思っているのか?」
まぁ、すごいお顔。愛を疑われたのがそんなにショックなのかしら。でも美形はどんな顔をしても見応えがあるわ。
「私は裏切られるなんて思っていませんよ?ただすぐに他にも大事なものができると思うんです」
「私は愛人なんて作らない!それこそ誓う!君以外に大切なものなんてない!」
「誓わないでください。絶対後悔します」
「なぜそんな!」
「困ったお父様ですねぇ」
私はお腹にそっと手を当てて微笑む。
「……えっ?」
「私達の赤ちゃんです。こっちに来てすぐに分かったんです。あなたには直接伝えたかったから手紙は出しませんでした。
ね?大切なものができたでしょう?」
「……ラウラ!」
アデルバート様が私を抱きしめようとしてピタッと止まる。
「……抱きしめても大丈夫か?」
「もちろんです。嬉しいですか?」
「ラウラ、ありがとう。幸せに溢れた結婚式ができてうれしかった、好きだと言ってもらえてうれしかった、ずっと側にいると言ってくれてこれ以上の喜びなんてないと思った。
それなのに、まさかこんなにうれしいことがまだあるなんて!」
そっと優しく抱きしめられる。宝物を扱うように。
「よろこんでくれて私もうれしいです。
大切なものも幸せも増えるんですよ。これからだってもっと。楽しみですね」
「だから!抱きかかえるのは禁止だと言ったでしょう!」
「ラウラだけでも心配なのに赤ちゃんまでいるんだぞ。まだ安定期じゃないと医者も言ってたじゃないか」
「……いいかげんにしないと、赤ちゃんが産まれるまで実家に帰りますよ」
「ラウラ。すぐに人を脅すのはよくない。
今は大事なときだからもう少し大人しくしてほしいのに、お前はすぐにあちこち動き回ろうとするからな。
だから仕方がなく抱きかかえるんだ」
「ん~、分かりました!少し活動は控えるわ。仕事もなるべく他に任せられるものは振り分けます。
だから抱えないで。手を繋いでくれればいいわ」
最近アデルバート様が少し強くなった。でも無理矢理言うことを聞かせることはないので、意見がぶつかった時は妥協案を出し合う。
ずいぶん夫婦らしくなったわよね。
「さて、私から仕事を取り上げた罰としてティータイムに付き合っていただけるかしら?」
「もちろんだよ、愛しいラウラ」
本当にこういう恥ずかしい言い回しが似合う人よね。
でも、この子が産まれたら少しずつ控えさせないと!
早く会いたいわ。
教会にはお兄様と先生に親方、マリィや館の使用人達、いつも一緒に縫い物をしてくれた奥様方や孤児院のみんなも来てくれている。
お母様のベール越しに前を見る。
アデルバート様……やっぱり格好いいわね。
2回目の式なのに、つい見惚れてしまうわ。
よかった。不機嫌じゃない。式を挙げるのを嫌がられたらどうしようかと思っていたからホッとする。
お父様が優しく微笑んでアデルバート様に私を託す。私もあの時みたいな作り笑いではなく、心からの笑みを浮かべて彼と向き合う。
小さい時からお世話になった神父様に誓いの言葉を。
ずっと夢見ていたこの教会での結婚式。
お母様も見てくれているかしら。
アデルバート様と一緒にみんなの方を向くと、みんなから拍手とともにおめでとうと大きな声でお祝いされた。
いままでお世話になったみんなに祝福されてこんなに嬉しいことはない。
きっとこれが私にとって本当の結婚式。
本当に嫁ぐんだと実感する。もうすでに結婚して半年は経つのにね。
式のあとはみんなを招いて立食形式のガーデンパーティーになった。
たくさんの食事やデザートに子供達が大喜びではしゃいでいる。おめでたい場だからマナーは気にしなくていいと伝えていたので、みんなのびのびと楽しそうだ。
「アデルバート様、お体は大丈夫ですか?」
「ラウラがいればまったく問題ないさ」
「もう、本気で心配してるのに」
「私も本気だ」
「…お元気そうでよかった」
「いや、そうでもない。さっき先生達にラウラとの結婚のことで叱られたから。本当に私が悪いんだが、この年になってまだ叱られるとは思わなかったなぁ。あの方達には一生勝てる気がしない」
「そんなに親身になって叱ってくださる方がいるのはありがたいことですわ。感謝しないとですね」
「確かにそうだな」
アデルバート様を叱るなんて、先生達は本当にすごいわ。お父様だったらお年を召しても叱るなんてできないだろうなぁ。
「……ラウラ、今日の君はいままでで一番綺麗だ。
私は本当に愚かだったんだな。こんなに幸せそうな顔を初めての見たよ。
ずっと縛り付けてすまない。
……でも、どうしても手放せないんだ」
「アデルバート様ったら。さっき式を挙げたばかりですよ?みんなに祝福されてこんなに幸せなのに、もう手放そうとしているのですか?
今更出戻りは恥ずかし過ぎるのですが」
「違う!そうじゃなくてっ」
「そこは、これからもっと幸せになろう、と言ってくださらないと」
「私と一緒で幸せになれるのか?」
「もちろん!幸せになるつもりですよ!
だからそんな情けない顔を為さらないで。
お式の時にはあまりに素敵で見惚れてしまったんですよ?」
「それは私の方だ。幸せそうな君は本当に眩しいくらいだ。そんな姿を見ていたら喜びと不安でいっぱいになってしまった。
そうだな、ラウラに誓うよ。
必ずもっとずっと幸せにする。だから私の側にいてくれ。愛している」
「はい、私も誓いますわ。
好きです、アデルバート様。ずっと側にいさせてください。一緒に幸せになりましょう」
伝えたいことがたくさんある。
一週間のあいだにあった出来事、それに……
これは後回しにしましょう。今伝えたらきっと他が言えなくなる。
「アデルバート様、私こちらにもどってきて本当に驚きました。我が家だけでなく、教会や孤児院にも支援していただいて本当にありがとうございました。
綺麗にしていただいた教会で結婚式ができて本当に嬉しかったわ」
「教会は幼い頃からお世話になっていたと言っていただろう?孤児院も突然君が来なくなって寂しかっただろうし。代わりにはならないだろうけど、何かしたかったんだ」
「みんなとても喜んでいました!」
「ラウラは宝石やドレスより、家族や領民の幸せを自分の事のように喜ぶからね」
「ふふっ、いつの間にか私に詳しくなりましたね?」
「愛してるからね」
「一番ですか?」
「当たり前だ。他には何もなくていい」
「あら、でも絶対すぐにその言葉を撤回すると思いますよ」
「!ラウラは私がすぐに裏切ると思っているのか?」
まぁ、すごいお顔。愛を疑われたのがそんなにショックなのかしら。でも美形はどんな顔をしても見応えがあるわ。
「私は裏切られるなんて思っていませんよ?ただすぐに他にも大事なものができると思うんです」
「私は愛人なんて作らない!それこそ誓う!君以外に大切なものなんてない!」
「誓わないでください。絶対後悔します」
「なぜそんな!」
「困ったお父様ですねぇ」
私はお腹にそっと手を当てて微笑む。
「……えっ?」
「私達の赤ちゃんです。こっちに来てすぐに分かったんです。あなたには直接伝えたかったから手紙は出しませんでした。
ね?大切なものができたでしょう?」
「……ラウラ!」
アデルバート様が私を抱きしめようとしてピタッと止まる。
「……抱きしめても大丈夫か?」
「もちろんです。嬉しいですか?」
「ラウラ、ありがとう。幸せに溢れた結婚式ができてうれしかった、好きだと言ってもらえてうれしかった、ずっと側にいると言ってくれてこれ以上の喜びなんてないと思った。
それなのに、まさかこんなにうれしいことがまだあるなんて!」
そっと優しく抱きしめられる。宝物を扱うように。
「よろこんでくれて私もうれしいです。
大切なものも幸せも増えるんですよ。これからだってもっと。楽しみですね」
「だから!抱きかかえるのは禁止だと言ったでしょう!」
「ラウラだけでも心配なのに赤ちゃんまでいるんだぞ。まだ安定期じゃないと医者も言ってたじゃないか」
「……いいかげんにしないと、赤ちゃんが産まれるまで実家に帰りますよ」
「ラウラ。すぐに人を脅すのはよくない。
今は大事なときだからもう少し大人しくしてほしいのに、お前はすぐにあちこち動き回ろうとするからな。
だから仕方がなく抱きかかえるんだ」
「ん~、分かりました!少し活動は控えるわ。仕事もなるべく他に任せられるものは振り分けます。
だから抱えないで。手を繋いでくれればいいわ」
最近アデルバート様が少し強くなった。でも無理矢理言うことを聞かせることはないので、意見がぶつかった時は妥協案を出し合う。
ずいぶん夫婦らしくなったわよね。
「さて、私から仕事を取り上げた罰としてティータイムに付き合っていただけるかしら?」
「もちろんだよ、愛しいラウラ」
本当にこういう恥ずかしい言い回しが似合う人よね。
でも、この子が産まれたら少しずつ控えさせないと!
早く会いたいわ。
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感想ありがとうございます。
返信が遅くなって申し訳ありません。
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感想ありがとうございます。
返信が遅くなって申し訳ありません。
ヒーローとは言えない男なので!
でも愛だけは本当にあるので許してあげてください。
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最初はどーなるかと思ったけど、面白かったです。
はっきり言える子で良かった。
ちゃんと、勉強とか頑張ってた子で良かった。
感想ありがとうございます。
苦労してきたので実は強い子です。どうやったら乗り越えられるか改善できるかを常に考えてきた。がんばって来たことはけして無駄にならないといいなと思ってあのラストになりました。
面白いといってもらえて嬉しいです。