36 / 50
36. マルティナside
しおりを挟む
どうして?ただ愛されたかっただけなのに。幸せになりたかっただけなのに。
彼女の怒りは正しいのだろう。でも仕方がなかった、あなたが私の幸せを邪魔するから!
「……本当に私のせいなのかしら。ただあなたが皆から嫌われていただけじゃないと、どうして言い切れるの。なんでも私のせいにしないで!」
そうよ。きっとそう!私は悪くない。あなたがただ嫌われていただけよ。
「そうですか。ではジーク様も魔法のせいではなく、もともとあの様な性分を持っていたというのね?あなたとの真実の愛で、そんな悪い面が表に出てしまったと言うのかしら。
婚約者を平気で冷遇して楽しそうに浮気をして。あの時、あなたも見ていたでしょう。私の髪を掴んで土下座を強要したわね。あなたに謝罪をするようにと。額から血を流していても許してもらえなかった。あの暴力も本当の彼がやったことなのね?」
違う……彼は暴力なんて振るわないわ。でも、否定したら私がリーゼロッテさんに酷いことをしたのを認めることになる。
「……誰にだって過ちはあるわ。ジークは私を愛しすぎただけよ」
ごめんなさい、ジーク!でもこれ以上国に迷惑は掛けられないのよ!
パンッ!
一瞬何が起きたか分からなかった。ジンッと頬に痛みが走る。
……信じられない。私を殴るなんて!
「あなた!」
バシッ!!
反論しようとすると、さっき以上の力で再び頬を張られた。痛い、怖い!
「その程度の思いで!自分可愛さにジーク様を悪人にしてしまえる程度の思いで何が真実の愛よ!ふざけるな!!」
そう叫んでもう一度大きく手を振り上げるのが見えた。
「ヒッ!」
痛みが襲ってくる恐怖に、両腕で顔を庇い縮こまる。こんな扱いを受けた事は今まで一度もなかったのに!
しかし、痛みはやってこなかった。
恐る恐る顔を上げると、リーゼロッテさんの手を止める男性が目に入った。
ジーク……じゃない。でも似ているわ
「リーゼロッテ、気持ちは分かるけど、これ以上は駄目だ。君が怪我をしたらジークが悲しむ」
「だって!この女は許せません!!」
「うん、許さないから大丈夫。少し休憩していて。続きは私がやろう」
男は冷たい眼差しを向けながらゆっくりと近付いて来た。軽蔑しきった瞳。私の味方ではないと物語っている。
「はじめまして。第一王子のアルブレヒトだ。弟のことをずいぶんと貶めてくれたね。さぁ、どうやって裁こうか」
第一王子……ジークのお兄様?
どうしよう、本当に裁かれるの……
「わ、私は貶めてなんかいません!」
「ではジークは狂人だと?お前のくだらない恋愛ごっこのせいで、どれだけ多くの人間の人生が狂ったと思う?
学園長と教師5名退職、生徒11名は修道院もしくは退学。王妃は蟄居。陛下も時期を早め退位するだろう。第二王子は婚約取り消し、精神状態不安定のため王位継承権の放棄すら考えられている」
なんで……退職とか修道院って何。どうして陛下や王妃まで?……婚約……取り消されたの?
「……ジークは婚約してないの?」
「は!ここまで愚かなのか。今言われた内容で一番先に聞くのがそれか?なんだ。リーゼロッテとの婚約が白紙なら、次は自分が婚約者になれるとでも?」
だってジークは私を愛しているわ。たくさん愛を囁いてくれた、抱きしめてくれた。私の望む通りに。
「お前は我が国の王子を意のままに操り王家に潜り込もうとした。なぜだ。そのまま操り王にでも据えようとしたのか?
貴様は国家転覆を狙った極悪人として我が国の刑罰を受けさせる。すでに公国からは籍が抜かれているから只の平民としてだ」
……は?
国家転覆ってなに?
籍が抜かれたってなに?
極悪人として刑罰を受けるってなに?!
「いや!違うわ!私はジークと愛し合っただけよ!国家転覆なんて考えた事も無いわ!」
「お前のような嘘つきの言うことを信じると思うのか?」
「ごめんなさい!私が祈ったの!ジークが私を愛するように!リーゼロッテが苦しむように!皆が私とジークを祝福してリーゼロッテを貶めるようにって!伯爵令嬢なんてジークに相応しくない、公女の私こそが相応しいって!
それだけよそれだけ!国なんて狙ってない!!」
はぁ、はぁ、はぁ
声の限り、自分の罪を叫んだ
どうして何も言ってくれないの。ちゃんと言ったわ。私は罪人ではないでしょう?
「魔法を使っていた自覚があるのだな?」
「…はい。ジークが分かりやすく変わったから」
「幸せだったか?」
「はい!」
あの一年は本当に幸せだった!大好きなジークが側にいて、皆がお似合いだと祝福をする。憎いリーゼロッテは虐められ、泣きそうな顔で私達を見ている。最高の一年だったわ。
「これで証言が取れた。一年もの長期間、自分の意志で魔法を使い、大勢の人間を操っていたとな。そして未だに罪の意識が無い。減刑は無いな。我が国は死刑は行わない。悪党を楽にしてやる必要は無いからだ。死ぬまで国の為に働いてもらおう。
おい、牢に連れて行け!」
「そんな、どうして!ちゃんと認めたわ!」
「口を開くな。弟の未来を潰した屑の声など聞きたくもない」
その冷たい言葉を最後に私は部屋から引き摺り出された。今は冷たい牢獄に入れられている。貴族牢ではない、本当の牢獄。
どうしてこんなことに……
何が駄目だったの?あんなに幸せだったのに。こんな未来は望んでなかった。今からでも毎日祈れば変わるかな。
そうよ。忘れていたわ、祈ればいいの。
早くここから出られますように
愛される一日を過ごせますように
あの幸せな日々が戻りますように──
彼女の怒りは正しいのだろう。でも仕方がなかった、あなたが私の幸せを邪魔するから!
「……本当に私のせいなのかしら。ただあなたが皆から嫌われていただけじゃないと、どうして言い切れるの。なんでも私のせいにしないで!」
そうよ。きっとそう!私は悪くない。あなたがただ嫌われていただけよ。
「そうですか。ではジーク様も魔法のせいではなく、もともとあの様な性分を持っていたというのね?あなたとの真実の愛で、そんな悪い面が表に出てしまったと言うのかしら。
婚約者を平気で冷遇して楽しそうに浮気をして。あの時、あなたも見ていたでしょう。私の髪を掴んで土下座を強要したわね。あなたに謝罪をするようにと。額から血を流していても許してもらえなかった。あの暴力も本当の彼がやったことなのね?」
違う……彼は暴力なんて振るわないわ。でも、否定したら私がリーゼロッテさんに酷いことをしたのを認めることになる。
「……誰にだって過ちはあるわ。ジークは私を愛しすぎただけよ」
ごめんなさい、ジーク!でもこれ以上国に迷惑は掛けられないのよ!
パンッ!
一瞬何が起きたか分からなかった。ジンッと頬に痛みが走る。
……信じられない。私を殴るなんて!
「あなた!」
バシッ!!
反論しようとすると、さっき以上の力で再び頬を張られた。痛い、怖い!
「その程度の思いで!自分可愛さにジーク様を悪人にしてしまえる程度の思いで何が真実の愛よ!ふざけるな!!」
そう叫んでもう一度大きく手を振り上げるのが見えた。
「ヒッ!」
痛みが襲ってくる恐怖に、両腕で顔を庇い縮こまる。こんな扱いを受けた事は今まで一度もなかったのに!
しかし、痛みはやってこなかった。
恐る恐る顔を上げると、リーゼロッテさんの手を止める男性が目に入った。
ジーク……じゃない。でも似ているわ
「リーゼロッテ、気持ちは分かるけど、これ以上は駄目だ。君が怪我をしたらジークが悲しむ」
「だって!この女は許せません!!」
「うん、許さないから大丈夫。少し休憩していて。続きは私がやろう」
男は冷たい眼差しを向けながらゆっくりと近付いて来た。軽蔑しきった瞳。私の味方ではないと物語っている。
「はじめまして。第一王子のアルブレヒトだ。弟のことをずいぶんと貶めてくれたね。さぁ、どうやって裁こうか」
第一王子……ジークのお兄様?
どうしよう、本当に裁かれるの……
「わ、私は貶めてなんかいません!」
「ではジークは狂人だと?お前のくだらない恋愛ごっこのせいで、どれだけ多くの人間の人生が狂ったと思う?
学園長と教師5名退職、生徒11名は修道院もしくは退学。王妃は蟄居。陛下も時期を早め退位するだろう。第二王子は婚約取り消し、精神状態不安定のため王位継承権の放棄すら考えられている」
なんで……退職とか修道院って何。どうして陛下や王妃まで?……婚約……取り消されたの?
「……ジークは婚約してないの?」
「は!ここまで愚かなのか。今言われた内容で一番先に聞くのがそれか?なんだ。リーゼロッテとの婚約が白紙なら、次は自分が婚約者になれるとでも?」
だってジークは私を愛しているわ。たくさん愛を囁いてくれた、抱きしめてくれた。私の望む通りに。
「お前は我が国の王子を意のままに操り王家に潜り込もうとした。なぜだ。そのまま操り王にでも据えようとしたのか?
貴様は国家転覆を狙った極悪人として我が国の刑罰を受けさせる。すでに公国からは籍が抜かれているから只の平民としてだ」
……は?
国家転覆ってなに?
籍が抜かれたってなに?
極悪人として刑罰を受けるってなに?!
「いや!違うわ!私はジークと愛し合っただけよ!国家転覆なんて考えた事も無いわ!」
「お前のような嘘つきの言うことを信じると思うのか?」
「ごめんなさい!私が祈ったの!ジークが私を愛するように!リーゼロッテが苦しむように!皆が私とジークを祝福してリーゼロッテを貶めるようにって!伯爵令嬢なんてジークに相応しくない、公女の私こそが相応しいって!
それだけよそれだけ!国なんて狙ってない!!」
はぁ、はぁ、はぁ
声の限り、自分の罪を叫んだ
どうして何も言ってくれないの。ちゃんと言ったわ。私は罪人ではないでしょう?
「魔法を使っていた自覚があるのだな?」
「…はい。ジークが分かりやすく変わったから」
「幸せだったか?」
「はい!」
あの一年は本当に幸せだった!大好きなジークが側にいて、皆がお似合いだと祝福をする。憎いリーゼロッテは虐められ、泣きそうな顔で私達を見ている。最高の一年だったわ。
「これで証言が取れた。一年もの長期間、自分の意志で魔法を使い、大勢の人間を操っていたとな。そして未だに罪の意識が無い。減刑は無いな。我が国は死刑は行わない。悪党を楽にしてやる必要は無いからだ。死ぬまで国の為に働いてもらおう。
おい、牢に連れて行け!」
「そんな、どうして!ちゃんと認めたわ!」
「口を開くな。弟の未来を潰した屑の声など聞きたくもない」
その冷たい言葉を最後に私は部屋から引き摺り出された。今は冷たい牢獄に入れられている。貴族牢ではない、本当の牢獄。
どうしてこんなことに……
何が駄目だったの?あんなに幸せだったのに。こんな未来は望んでなかった。今からでも毎日祈れば変わるかな。
そうよ。忘れていたわ、祈ればいいの。
早くここから出られますように
愛される一日を過ごせますように
あの幸せな日々が戻りますように──
516
あなたにおすすめの小説
(完結)婚約破棄から始まる真実の愛
青空一夏
恋愛
私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。
女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?
美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)
あなたが捨てた花冠と后の愛
小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。
順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。
そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。
リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。
そのためにリリィが取った行動とは何なのか。
リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。
2人の未来はいかに···
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)
【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに
おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」
結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。
「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」
「え?」
驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。
◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話
◇元サヤではありません
◇全56話完結予定
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる