魔法のせいだから許して?

ましろ

文字の大きさ
50 / 50

50.

しおりを挟む
「お父しゃま、お母しゃま、おはようございましゅ」

「おはよう、レーヴェ」

「お母しゃま、アディは?」

「残念ながらまだ寝てるわ。ご飯を食べたら会いに行きましょうか」

「はーい!」


今日もウチの王子様は可愛いわ。

レオンハルトは3歳、アデリナは1歳。二人とも間違いなくハルの子供!と分かるくらい父親似。私と似ているのはレーヴェの瞳の色と、アディの髪が柔らかな癖っ毛なことくらいかしら。
家族が美しすぎて日々天国です。

でも、こんなに順調に子供を授かれるとは思わなかった。
初夜は本当に大変だった……ハルが。

私が少しでも痛そうにすると、やっぱり止めようと逃げ腰になり、大丈夫だよと宥めたりなんだりととっても時間をかけて、それでもやっぱりと怖がるので。
「私には女の魅力が無いのね?!」とキレた。
そんな筈ない。ただロッテを傷付けるのが怖いんだと言いながらも、ようやく覚悟を決めてくれて結ばれる事ができた。
確かに痛みはあったけど、私は本当に嬉しかったの。ハルも幸せそうだった……のだけど。
すべてが終わり、ハルが気付いてしまったのだ。破瓜の血に。だって初めてだったから仕方がないわよね。私は当たり前だと思っていたからケロッとしていたのだけど。

ハルは蒼白になって泣いてしまった。
もう二度と傷付けないと誓ったのに、と。

あれは本当に申し訳なかったと反省したわ。
それでもいつかは通る道。頑張って立ち直ってもらおうと、必死に慰めました。これは怪我ではなく夫婦になった証なのよ、と。
でも、そこまで私を傷付けたくないと思ってくれているハルのことが更に愛しくなり。たくさんのキスと愛の言葉を降らせながら抱き締めて眠った。
いまではいい思い出ね。


「レーヴェ、春になったらお祖父様達に会いに行けるわよ。パーティーがあるの。あとね、最近子猫が生まれたんですって」

「ねこしゃん!ちいちゃい?だっこしていい?いついく?明日?明日いく?」


うん、パーティーはどうでもいいのね。


「そうね、もう少し暖かくなってからよ」

「ねこしゃん!早くいきたいでしゅ!」

「ちょっと伝えるのが早かったんじゃない?また何時いつ攻撃が始まるよ」

「そうね。失敗したわ」


何時いつ攻撃とは、毎日のように、いつ行くの?明日?明日?とひたすら聞いてくること。どうして攻撃と同じで大変なやつです。


「レーヴェ、マリウスも同じ船で行くんだよ」

「ほんと?」

「お仕事のパーティーだから、一緒に行くんだ。たくさん遊んでもらえるね」


マリウスはギル先輩の息子さん。先輩と違って笑顔が可愛い小さな紳士で、レーヴェを弟のように可愛がってくれている。


「そうよ。だから船で何をして遊ぶか、お荷物は何を持っていくか決めなきゃ。お祖父様達へのおみやげも選ばなきゃだし、レーヴェのお仕事がたくさんあるわ。頑張れるかしら?」

「はい、がんばりゅ!えとね、きかくちょ?をちゅくりましゅ!」


可愛いい。可愛すぎる。どこで覚えたの企画書なんて。ハルが肩を震わせて笑うのを耐えてるわ。


「そうね、頑張ってちょうだい。楽しみにしてるわ」

「おまかしぇくだちゃい!」


もう無理!ハルと二人で大笑いしたら、レーヴェが拗ねてしまった。ごめんね、でも可愛過ぎだもの。


魔導具の開発が成功した。10年以上かかったわね。でもまだまだ改良の余地がある。
それでも、新技術として認められるだけの物ができた。そのお祝いとして完成披露パーティーが開かれるのだ。
陛下には間違っても領地をくれたりや陞爵はお断りだと前もってハルから手紙を出してもらった。管理できないものはいらないし、ギレッセンから離れるつもりもない。
家族や友人に会えるのが楽しみだわ。

今はもう、国に帰るのもあの頃の同級生に会うのも怖くない。たまに後ろめたそうな顔をして逃げて行く人がいるのを見て、可哀想に。と思うくらいね。
謝罪することなく、たぶん誰にも話す事もできず。忘れようと努力したのに、まさかハルと結婚しているから焦っているのでしょう。
私は今更そんな昔の事に関心はないのに。
勝手に胸の中に罪悪感を抱いたまま生きていけばいいんじゃないかしら。


「さて、お姫様は起きたかしら?」

「アディおきた?おはようしにいこ!」

「ハルは?」

「もちろん一緒に行くよ」



うん、今日もいい日になりそうだわ。




【End.】


しおりを挟む
感想 156

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(156件)

ぽぽまも
2025.12.25 ぽぽまも

22まで読んだ感想です。
フィデルナイス!
リーゼも無事?王子とさよならしたし、先輩も自分の為に画策し過ぎなのでリーゼとどうこうなって欲しくない。ビアンカも自分の罪悪感を薄れさせる為にお節介したのを反省して欲しい。
この先どう転がるか分かりませんが、友達の中ではフィデルが一番真面ですね。
リーゼ、良い人が現れたら良いな。
続き読みに行きます!・*・:≡( ε:)

2025.12.29 ましろ

感想ありがとうございます。
かなり古いお話ですが、勢いだけはあったかな?
少しだけ改稿したものがなろう様の方にもあげてあるますが、流れ的には変わりません。
この先どうなっていくか、最後までお読みいただけると幸いです。

解除
sanzo
2025.08.11 sanzo

リーゼはロッテになりジークはハルトになって…
新しい2人となって、他国で結局2人は心を通わす…
うんうん、終わり良ければ全て良しだ。
…けどさぁ

お互いが想い合う状態をマルティナが壊した訳で…
てか、マルティナの母は?
マルティナは断罪されたけど、元凶は母親でしょ?
てか踊り子の女性に懸想した公爵でしょうがね!
切り捨てられたマルティナは、ある意味被害者…なのかなぁ?
いや完全なる加害者だな。

あちらの国での公爵の扱いが気になった。

でもまぁ、重い愛のジークがリーゼと幸せになれたなら、全てはスパイスになったのかなぁ。

とても面白かったです😊

2025.12.29 ましろ

感想ありがとうございます。
返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
マルティナ母はお亡くなりになっている設定でした。
マルティナはやはり完全に加害者かと。
あちらの国は公国ですので、トップがマルティナ父です。
拙い作品ですが、面白かったと言っていただけて、本当に嬉しいです!

解除
もも
2025.08.10 もも

いいお話でした
何度読み返しても、最初の方はもうこの2人が一緒になる事は無いのかって
悲しい気持ちになります。
番外編を読みたいなぁと思いつつも
この素晴らしい読後感のまま
わたしもこのお話を読み終えるのもいいなとも思ってます。
また読み返しますね。

2025.12.29 ましろ

感想ありがとうございます。
ずいぶんと返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。
アイリス異世界ファンタジー大賞、一次選考を通過できてうれしかった思い出が。
なんせ、小説を書き始めて間もない頃だったので、拙いですけど思い入れだけはあるお話です。
なろう様の方にも、少し改稿したものを投稿しています。
大きく流れは変わっていませんが、すこーしだけ違っていたり。
もしよろしければおよみいただけると幸いです。

解除

あなたにおすすめの小説

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。 順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。 そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。 リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。 そのためにリリィが取った行動とは何なのか。 リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。 2人の未来はいかに···

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

無価値な私はいらないでしょう?

火野村志紀
恋愛
いっそのこと、手放してくださった方が楽でした。 だから、私から離れようと思うのです。

【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした

凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】 いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。 婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。 貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。 例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。 私は貴方が生きてさえいれば それで良いと思っていたのです──。 【早速のホトラン入りありがとうございます!】 ※作者の脳内異世界のお話です。 ※小説家になろうにも同時掲載しています。 ※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。

アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。 今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。 私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。 これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。