幸せな政略結婚のススメ【本編完結】

ましろ

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10.夜会準備(J)

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どうしましょう。人生最大のピンチです!

「……どうやったら夜会を欠席出来るかしら」
「ジャスミン?無理だと思うわよ」
「そうねぇ、だって侯爵様から直々にお誘いのお手紙を頂いたのでしょう?でしたらユリシーズ様の婚約者としてお披露目して下さる意味もあるのではないかしら」

お披露目なんてして下さらなくていいのに!

「無理。無理寄りの無理なの。だって貴方達だって知っているじゃない!」
「ああ、ダンスが壊滅的だってこと?」
「うふふ、一体何度足を踏むことになるかしら」

………そうです。そうなのです!私はダンスが超絶に下手くそなのです!!

「貴方達はいいわよ。まるで蝶々の如くひらひらと優雅に踊ることが出来るのですもの……」
「というか、白百合の騎士様は踊れるのかしら」
「いつも誰とも踊らないことで有名よね」

そうなのですか?ならば、彼ののっぴきならない理由でダンスが無しになったり?

「そもそもユリシーズ様は女性が苦手でしょう?夫としての役目を果たせる方なのかしらね」
「……夫の役目とは」
「ジャスミン?赤ちゃんはね、女一人では儲けることは出来なくてよ?」

………赤ちゃん?…え、ダンスからどうして子作りのお話に!?

「どうでしょうねぇ。男色だという話は聞きませんけども」

男色?それは、ユリシーズ様が妻役……ようするに、美味しく頂かれる側だということでしょうか?

「…………もしかして偽装婚約?」

それならば、私とのダンスもお嫌なのでは。ならば踊らなくても済むのでは!?

「ジャスミン?冗談よ?たんなるお巫山戯だからね?」
「分かっておりますわ。ダンスの件はユリシーズ様にお伺いを立ててみます!」
「そうね。年上の男性ですもの。私達が知らないだけで経験豊富かもしれないわ」

何と破廉恥なっ!け、経験豊富だなんてっ!!

「……ねえ。今の会話のどこに赤面してるの」
「だ、大丈夫、大丈夫ですわっ」
「またおかしな事を考えていそうですわね」

いえいえ。恋愛とは自由ですもの。たとえユリシーズ様が妻役だとしても私は応援してみせますわ!

その日、ユリシーズ様にお手紙を書きました。

そして───

「え?どうして学園にユリシーズ様がいらしてるの?」

授業が終わり、帰宅しようと馬車に向かうと、そこには何故かユリシーズ様がいらっしゃいました。

「言いたいことは山程あるが、とりあえずはうちに向かうぞ」
「はい?」

何故か侯爵家の馬車に詰め込まれました。

「あの手紙は何だ」

あら。手紙を読んだから来て下さったの?
私はただ、貴方様の性癖を隠すお手伝いは喜んでさせて頂きますが、無理に私とのダンスは踊っていただかなくても結構です。と、素直な気持ちを書いただけですのに。

「そのままでございますが」
「………私の性癖とは?」
「ああ、男色でいらっしゃると」


「……はあ!?」

あら?もしや、またもやお怒りに?

そこからはいつもの如く、ペラリぺらぺらと白状させられました。

「男色……偽装って………何故そこまで斜め上に考えを進められるのだろうな」
「違いましたか?そう考えると納得出来てしまいまして」
「私が妻役なことが!?」
「あっ、夫側でしたか」
「君のなっ!」
「わたくし?」
「貴方は私の?」
「婚約者です」
「では、未来の貴方の夫は?」

「……ユリシーズ様です」

あら?何だか少し恥ずかしいですね?

「自覚してもらえてよかったよ」
「結婚。するのですか?」

だってあれ程までに女性が嫌だと言っていましたのに。

「……あー、私が悪いのか……。
私は女性は今でも苦手だが、苦手なのは、こう…ギラギラと獲物を狙う様な女性で。私の気持ちなどお構いなしにのしかかって来る猛者達というか」
「……のしかかられたのは一度だけでは無かったのですね」

何でしょう。少しイラっとしました。

「酔ったと言ってしなだれ掛かってきたりしたんだよ。突然倒れ込んで来られると怪我をさせるわけにもいかないから受け止めるしかないだろ。てか、あれはしなだれるじゃない。全力での突進だった!
今では上手く躱せるから大丈夫だ」

え、どうして自慢気なのかしら。
でも、突撃してくる令嬢を上手く躱すのは、ある意味技なのかもしれませんね。

「私のことはお嫌ではないのですか?」
「……次からはもっと詳細な情報を希望する」

情報?とは?

「見学に来るの一言に、泥棒猫という言葉が聞きたいから令嬢達を煽ります、という言葉が潜んでいるとは思わないだろうっ!」

それは……ちゃんと説明したら理解して下さるということなの?

「………止めろとは言わないのですか?」
「全部が全部許すわけじゃない」
「呆れたりしないのですか」
「呆れるし、驚くし、意味が分からない」

あ、ですよね。ちょっと喜んでしまいました。

「でも、君はそうしたいんだろう?だったら仕方が無いからフォローはするさ。危険な目に合われるのは困るからな」

………何でしょうか。この、ムズムズするような、ニヨニヨしてしまいそうなこの気持ちは。

「と言う訳で私は男色ではない。分かったか?」
「あ、はい!理解しました!」
「よし。あとな、残念ながらダンスは避けられん。父上に叱られる」

……やっぱり駄目ですかぁ

「というわけで、特訓するぞ」

脳筋の特訓……嫌な予感しか致しません。






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