21 / 36
21.二人の未来(Y)
しおりを挟む
「ユリ坊は随分とヤンチャをしたそうだな?」
私と殿下はただいま国王陛下からお説教中だ。まあ、非公式なので、罰が与えられる事はないだろう。
「殿下からのご提案でございました」
「あっ!ユリシーズお前っ!」
横で裏切り者!と騒いでいるが本当のことだ。
「それに妃殿下には大変喜ばれましたよ」
「それが問題なのだろうが。王妃まで、『貴方はユリシーズといつ踊るの?』と聞いてきたぞ。うん?どうする?次の舞踏会で披露しようか」
「多大なるご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます」
「なんだったか……ああ、白薔薇同盟か?白百合だ何だのと華やかなことだなぁ」
「お言葉ですが、白百合の会の創始者ならびに命名はイヴァンジェリン王女殿下でしたよ」
今は他国に嫁いでしまったが、王女殿下に初恋だと告白された。ただ、自分の立場は弁えているから、見守ることだけ許してほしいと言われたのだ。
つい、それを許した私が馬鹿だった。なんと王女は他の令嬢達とつるんで白百合の会を結成しやがった。
せめて嫁ぐ時に解散させていけよ!
「ん?そうだったか?」
知ってるくせにとぼけるな!
殿下達のイタズラ好きは国王陛下譲りだと思っている。遊び心は大事というおおらかさは如何なものか。
「さて、ここからは真面目な話だ。
ユリシーズ、ジャレッドの側近にならないか」
「……それは以前お断りしたはずです」
「前は前。今は今だ」
側近の話は学生時代から殿下からも何度か話を頂いていた。だが、全てお断りしていたのに。
「正直な話、お前が近衛騎士のままではこの騒ぎは終わらないだろう。もっと明確な立場を得て、軽々しく扱われないようにするべきなのではないか?」
……それは確かに何度か考えた。
令嬢達が騒ぎ立てるのは、私がただの騎士だからだ。
これが王太子殿下の側近となれば、そのようなことも減るだろう。
「お前が側で支えてくれると私としても嬉しいな」
「……殿下。その発言は薔薇呼ばわりされるので控えた方がいいですよ」
「いや、ふつうの発言だろ!?」
「今、私を側近にするとそういう問題が出てくるということです」
「ほう?ユリ坊はその程度か?そのような噂は実力で捩じ伏せると思っていたのにガッカリだ」
…陛下は父上と属性が同じで腹が立つな。まずはユリ坊呼びは止めてほしい。
「返事はいつまでにしたら宜しいでしょうか」
「明日にでも。と言いたいが、そうだな。1週間程で足りるか。出来れば来月のファーロウ国への訪問に共に行ってほしいのでな」
「……それって護衛と通訳では?」
「なに、其方の美貌も役立ててくれると更に助かるぞ?」
「ハニートラップなんて安い真似は致しません」
「小首を傾げてニコっと笑うといいらしい。王妃が言っておったわ」
王妃様は子爵夫人と同じ技の使い手か。
「なんなら婚約者殿を連れて行くかい?婚前旅行をプレゼントしようか。彼女も語学が得意らしいな?」
調べられてるし。婚前旅行…心惹かれるワードだ。
「まだ学生ですよ」
「卒業資格はあると聞いているぞ」
「ですが、子爵が何と仰るか」
「畏れ多いと言っていたが、安心して任せてくれと伝えてあるから問題ない」
根回しが早いし酷いっ!
「婚約者殿と相談するといい。このままでは夜会や舞踏会の度に揉め事が起きてしまう可能性が高いこと。それを避ける一番の方法は、今までのように護衛の仕事をすることだが、そうすると毎回婚約者を一人で壁の花にしてしまうこと。
今は学生だが、今後は婦人達だけの社交場に行くことも増える。其方一人では守りきれないぞ。
だから結婚する前にちゃんと考えなさい」
「……はい。お心遣いに感謝申し上げます」
殿下の側近か。大変ありがたい話ではある。
騎士団は好きだが、ジャスミンのことを考えるとどちらがいいのか。
私が軽く扱われるということは、ジャスミンだって同じで、女性だけの茶会など、私が介入出来ないことが今後増えるのは確かだ。
「…ちゃんと話し合うか」
♢♢♢
「と、言う事なんだけど」
「お父様から聞きました。陛下からお手紙が届いて蒼白になっていましたけど」
「…子爵には悪いことをしたな」
いきなり国王陛下から書状が届けば驚くに決まっている。
「いえいえ。私の問題にもなりますもの。畏れ多いとは思いましたが、まだ婚約者でしかない私までお気遣いいただけて感謝しておりますわ」
「そう言ってもらえると助かる」
ジャスミンは変なところで肝が据わっている。かと思えばちょっとしたことでワタワタしているし。
……白百合の会にはビクついてたな。
「ジャスミンの考えを聞きたいんだが」
「私ですか?」
「だって未来の妻だろう?」
「つっ!?う~~っ、そうですわよ!?私がユリシーズ様の未来の妻ですが何かっ!?」
自分からキスなんてするかと思えば、妻という言葉1つでここまで狼狽えるのだから、本当にこの子は読めないなぁ。
まあ、とりあえずは可愛い一択だ。
「私はユリシーズ様が騎士であっても、王太子殿下の側近であっても、どちらでも付いて行くだけですよ?」
ジャスミンはなんてことない話かのように笑う。
「だからユリシーズ様の心が求めるまま選んで下さいな」
満面の笑顔で伝えてくれるのは、私への絶対の信頼。
本当にもう、どこまで惚れさせるつもりなのか。
私と殿下はただいま国王陛下からお説教中だ。まあ、非公式なので、罰が与えられる事はないだろう。
「殿下からのご提案でございました」
「あっ!ユリシーズお前っ!」
横で裏切り者!と騒いでいるが本当のことだ。
「それに妃殿下には大変喜ばれましたよ」
「それが問題なのだろうが。王妃まで、『貴方はユリシーズといつ踊るの?』と聞いてきたぞ。うん?どうする?次の舞踏会で披露しようか」
「多大なるご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます」
「なんだったか……ああ、白薔薇同盟か?白百合だ何だのと華やかなことだなぁ」
「お言葉ですが、白百合の会の創始者ならびに命名はイヴァンジェリン王女殿下でしたよ」
今は他国に嫁いでしまったが、王女殿下に初恋だと告白された。ただ、自分の立場は弁えているから、見守ることだけ許してほしいと言われたのだ。
つい、それを許した私が馬鹿だった。なんと王女は他の令嬢達とつるんで白百合の会を結成しやがった。
せめて嫁ぐ時に解散させていけよ!
「ん?そうだったか?」
知ってるくせにとぼけるな!
殿下達のイタズラ好きは国王陛下譲りだと思っている。遊び心は大事というおおらかさは如何なものか。
「さて、ここからは真面目な話だ。
ユリシーズ、ジャレッドの側近にならないか」
「……それは以前お断りしたはずです」
「前は前。今は今だ」
側近の話は学生時代から殿下からも何度か話を頂いていた。だが、全てお断りしていたのに。
「正直な話、お前が近衛騎士のままではこの騒ぎは終わらないだろう。もっと明確な立場を得て、軽々しく扱われないようにするべきなのではないか?」
……それは確かに何度か考えた。
令嬢達が騒ぎ立てるのは、私がただの騎士だからだ。
これが王太子殿下の側近となれば、そのようなことも減るだろう。
「お前が側で支えてくれると私としても嬉しいな」
「……殿下。その発言は薔薇呼ばわりされるので控えた方がいいですよ」
「いや、ふつうの発言だろ!?」
「今、私を側近にするとそういう問題が出てくるということです」
「ほう?ユリ坊はその程度か?そのような噂は実力で捩じ伏せると思っていたのにガッカリだ」
…陛下は父上と属性が同じで腹が立つな。まずはユリ坊呼びは止めてほしい。
「返事はいつまでにしたら宜しいでしょうか」
「明日にでも。と言いたいが、そうだな。1週間程で足りるか。出来れば来月のファーロウ国への訪問に共に行ってほしいのでな」
「……それって護衛と通訳では?」
「なに、其方の美貌も役立ててくれると更に助かるぞ?」
「ハニートラップなんて安い真似は致しません」
「小首を傾げてニコっと笑うといいらしい。王妃が言っておったわ」
王妃様は子爵夫人と同じ技の使い手か。
「なんなら婚約者殿を連れて行くかい?婚前旅行をプレゼントしようか。彼女も語学が得意らしいな?」
調べられてるし。婚前旅行…心惹かれるワードだ。
「まだ学生ですよ」
「卒業資格はあると聞いているぞ」
「ですが、子爵が何と仰るか」
「畏れ多いと言っていたが、安心して任せてくれと伝えてあるから問題ない」
根回しが早いし酷いっ!
「婚約者殿と相談するといい。このままでは夜会や舞踏会の度に揉め事が起きてしまう可能性が高いこと。それを避ける一番の方法は、今までのように護衛の仕事をすることだが、そうすると毎回婚約者を一人で壁の花にしてしまうこと。
今は学生だが、今後は婦人達だけの社交場に行くことも増える。其方一人では守りきれないぞ。
だから結婚する前にちゃんと考えなさい」
「……はい。お心遣いに感謝申し上げます」
殿下の側近か。大変ありがたい話ではある。
騎士団は好きだが、ジャスミンのことを考えるとどちらがいいのか。
私が軽く扱われるということは、ジャスミンだって同じで、女性だけの茶会など、私が介入出来ないことが今後増えるのは確かだ。
「…ちゃんと話し合うか」
♢♢♢
「と、言う事なんだけど」
「お父様から聞きました。陛下からお手紙が届いて蒼白になっていましたけど」
「…子爵には悪いことをしたな」
いきなり国王陛下から書状が届けば驚くに決まっている。
「いえいえ。私の問題にもなりますもの。畏れ多いとは思いましたが、まだ婚約者でしかない私までお気遣いいただけて感謝しておりますわ」
「そう言ってもらえると助かる」
ジャスミンは変なところで肝が据わっている。かと思えばちょっとしたことでワタワタしているし。
……白百合の会にはビクついてたな。
「ジャスミンの考えを聞きたいんだが」
「私ですか?」
「だって未来の妻だろう?」
「つっ!?う~~っ、そうですわよ!?私がユリシーズ様の未来の妻ですが何かっ!?」
自分からキスなんてするかと思えば、妻という言葉1つでここまで狼狽えるのだから、本当にこの子は読めないなぁ。
まあ、とりあえずは可愛い一択だ。
「私はユリシーズ様が騎士であっても、王太子殿下の側近であっても、どちらでも付いて行くだけですよ?」
ジャスミンはなんてことない話かのように笑う。
「だからユリシーズ様の心が求めるまま選んで下さいな」
満面の笑顔で伝えてくれるのは、私への絶対の信頼。
本当にもう、どこまで惚れさせるつもりなのか。
3,303
あなたにおすすめの小説
病弱な幼馴染を守る彼との婚約を解消、十年の恋を捨てて結婚します
佐藤 美奈
恋愛
セフィーナ・グラディウスという貴族の娘が、婚約者であるアルディン・オルステリア伯爵令息との関係に苦悩し、彼の優しさが他の女性に向けられることに心を痛める。
セフィーナは、アルディンが幼馴染のリーシャ・ランスロット男爵令嬢に特別な優しさを注ぐ姿を見て、自らの立場に苦しみながらも、理想的な婚約者を演じ続ける日々を送っていた。
婚約して十年間、心の中で自分を演じ続けてきたが、それももう耐えられなくなっていた。
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
氷の王妃は跪かない ―褥(しとね)を拒んだ私への、それは復讐ですか?―
柴田はつみ
恋愛
亡国との同盟の証として、大国ターナルの若き王――ギルベルトに嫁いだエルフレイデ。
しかし、結婚初夜に彼女を待っていたのは、氷の刃のように冷たい拒絶だった。
「お前を抱くことはない。この国に、お前の居場所はないと思え」
屈辱に震えながらも、エルフレイデは亡き母の教え――
「己の誇り(たましい)を決して売ってはならない」――を胸に刻み、静かに、しかし凛として言い返す。
「承知いたしました。ならば私も誓いましょう。生涯、あなたと褥を共にすることはございません」
愛なき結婚、冷遇される王妃。
それでも彼女は、逃げも嘆きもせず、王妃としての務めを完璧に果たすことで、己の価値を証明しようとする。
――孤独な戦いが、今、始まろうとしていた。
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵令息から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる