ペンギンなう❤ レベル100を目指して戦っていたが死んじゃったので、ペンギンに転生して友達作ってほのぼのする話

サカナタシト

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プロローグ

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「オリャー、ウリャウリャウリャ、トリャーッ! 魔物が何ぼのもんじゃッ! 」

 オレはたった一人で、超S級ダンジョンにもぐって魔物をひたすら殲滅した。

「ドリャー、氷の吹雪も何でもねえ、食らいやがれッ! 」

 極寒の山奥で、凍った湖の厚さ五マイトルの氷を拳一つで割るなんて荒行も行った。

「アチチチッ、って熱くない! 心頭滅却火もまた涼し! だ、ウオオオォォッ」

 時には、自分で起こした炎の竜巻の中に飛び込んで、自らの命を削るようなマネもした。
(死にそうになるとその後、逆に強くなるという都市伝説を間に受けた)。
 すべては、オレ自身が強くなるため。
 レベル99のオレが、限界突破のレベル100に至るために、可能性があることはそれこそ何でもやったのだ……。

 だが、結果は結果はすべて玉砕だった。

 ダンジョンでラスボスを100回倒しても、北の最果ての山奥の湖の氷をそれこそカキ氷よりも細かい粒にまで砕きつくしても、炎の竜巻で頭がチリチリヘアになっても、オレは頑張った。

「なぜだ……」

 なぜオレはレベル100の壁を越えられないんだ。
 龍や麒麟、ロックバードなどなど、レベル100を超える魔物は沢山いる。
 人間だって、神から試練を与えられたエラクレスや、十五歳で怪物や巨人を一掃して国を統一したマーサー王だってレベル100を超えたらしい。
 なぜオレだけがレベル100を超えられないんだ。

 オレは失意に打ちひしがれながらも、それでもあきらめきれず、その日は深い山奥に有る、高さ100マイトルはあるといわれる滝に打たれ、落ちてくる水流を蹴り上げて逆流させる修行を行っていた。

「セイッ! ハアッ! セイッ! ハアッ! 」

 東方のトレーニングマシンの一種といわれる鉄のゲタなるものを履き、滝の真下に大きめの岩をぶち込んで足場にして、その上に立ち落ちてくる大瀑布の水流を、一心不乱に蹴り上げるのだ。
 この修行を極めると、蹴り上げた勢いで逆流した水流が大瀑布を駆け昇り、昇竜となるという。この必殺技で今度こそオレはレベル100になれるはずだ。

 結果、なれなかった。

 オレが蹴り上げたのは水流ではなく、鼻緒の切れた鉄のゲタだった。
 そして鉄ゲタは五十マイトルほど遡上したのちにUターン。オレの頭めがけて落ちてきた。しかも角を向けて。
 結果オレの脳天に鉄のゲタの角が突き刺さった。

「グアアアアアアァァァァァ~~~……」

 人や魔物などの息遣いなどの気配、魔力、殺気、そんなものがあればオレは絶対の避けられる。
 そういう修行をしてきた。
 だが、落ちてくるゲタには気配も魔力も殺気もない。オレは無防備に鉄ゲタを脳天に受け止めた。
 ふん、オレほど鍛えた男なら、鉄ゲタの一個や二個当たったからと言って痛くもかゆくも無い。魔王と戦ったときの傷はこんなものではなかったぞ。
 と思っていたが、流れ出る血は止められなかった。
 常に滝に打たれていたから血が固まらなかった。

 そしてオレは、レベル100を目前にして、修行の途中で出血多量で命を落とした。
 
 なんだかまぶしいなと思っていたら、真っ白な世界にいた。
 頭の怪我はどうなったのかな、と思って手を当てようと思ったが手が無かった。ついでに頭も身体も何も無かった。
 ああこれは夢だ。オレ知ってるんだ。ほら頬をつねっても痛くない。
 と思っていたら、

『現実逃避もほどほどにしたらどうなのじゃ』

 と、なんだか眩しいモノ? がオレに話しかけてきた。だれだコイツ。

『コイツ言うな。ああ、そなたには私はちょっと眩しいかの。じゃあちょっと光量落としてやるかの、800ルーメンくらいでいいか』

 よく分からないことをいって眩しいヤツが光量を調整すると、だんだんと眩しくなくなってきた。なんだか若い女性のように見える。

『チョッマッ、いくら妾が若くて美人で魅力的で有能だからって惚れちゃダメなのじゃ。そなたと妾は、身分っていうか生きているクラスが違うから』

 オレの考えていることを読めるのか……、いや勘違いだな。美人で有能とかは思ってないし。

『……イヤ、じゃがそういうクラス違いの恋っていうのもなかなか捨てがたいかも、女神と死んだ魂の禁じられた恋……ウン、いいかも』 

 何がいいのかさっぱり分からないが……。で、何しに来たんだ? 

『ゴ、ゴホン。な、何しに来たかって、そろそろ現実を受け入れろ、と伝えに来たのじゃ』

 いや、だって、現実も何も、これ夢だろ。話さないでもしゃべれるし。

『現実なのじゃ。それに妾は神だから分かるんじゃ、そなたの考えてることなどの』

 は? 頬っぺたつねっても痛くないぞ?

『だ か ら! そなた死んでるから。痛くないの当たり前じゃ。頬も指もないし、死んでるし』

 大事なことだから二回言ったらしい。
 だけどオレ、レベル100になるまで死にたくないんだけど。レベル100を超えることを夢見て数十年。いまさらレベル99で死ねるかよ。
 こうなったら化けて出て幽霊になって修行しちゃうぞ。

『それは止めるのじゃ、面倒くさいから』

 女神なのに面倒くさいとかいったぞ、こいつ。

『コイツ呼ばわりしない。妾にはウシャスって名前あるのじゃ。ウシャス様と呼ぶのじゃ』

 でも、オレホントに死んじゃったのか。

『こっちの話も聞くのじゃ』
 
 お願いだから死ぬ前に教えてくれ、オレは何でレベル100になれなかったんだ?

『いや、そなたもう死んでるし……、まあ成仏する前に教えてあげるかの。それはのぅ』

 そ、それは……。

『カンストじゃ』

 は?

『あれ聞こえなかった? もう一回言うぞ、普通、人はレベル99でカンストなのじゃ』

 自称女神がドヤ顔で胸を張って、なんだか変な事言ってる。あれ? 何言ってるんだかさっぱり、頭に入ってこない。

『大事なことだから、もう二、三回言っとくぞ。カンストじゃ、カ ン ス ト。そなたはレベル99でカウンターストップなのじゃ』

 はああああああああぁぁぁっぁぁぁぁぁ????????????????????
 カンストだとッ!?
 オレの血と汗と涙の修行の日々を、

『臭そう』

 命を懸けた修行の日々を、

『ホントにそれで命落としたのじゃ』

 それをカウンターストップの一言で済ませるつもりかッ!

『ふん、だってしょうがないのじゃ。そういう決まりなんじゃから』

 自称女神は、めんどくさそうな顔でため息混じりに言う。
 ドコのダレが作った決まりだよ。人のレベルが99でカンストなんて。

『まあ、手が無いわけじゃあないんじゃが。……裏技じゃ』

 マジか。どんな手なんだ。

『でも無理じゃの。生前のそなたでも、その方法知ってても出来なかったじゃろな』

 いや、教えてくれどうすればレベル100になれたんだ。

『だから無理なもんは無理なのじゃ。だってそなた、……友達いないじゃろ』

 自称女神は言いにくそうに、しかし最後はズバリと言った。
 は?

『友達じゃ友達。そうじゃのマブダチとも好敵手とも、サッカボールともいうのじゃ』

 ボールは友達か……。
 確かにサッカーボールは持ってないけど、友達の一人や二人……いたかな。
 イヤイヤイヤイヤそうじゃなくって、それがどうした?

『レベル100にいたるには友達をつくらにゃいかんのじゃ』

 は? そんなバカな……。友達がいたくらいでレベル100を超えられるのか?

『そなた友情パワーって知らんのか』

 女神はさもバカを見るような眼でオレを見る。

『友情パワーとはの、プロレスみたいな方法で戦ってる人間を超えた正義の男たちが得意としていて、悪魔何とかとアレするアレなのじゃ』

 さっぱりわからん。

『友情パワーは侮れないのじゃ。そなたコミュ症で友達いなかったじゃろ。それが原因なのじゃ』

 女神がオレに指をビシっと突きつけて断言する。
 そんな断言しなく――ッ!?

『それが現実じゃ』

 食い気味に断言しやがった。……ううむ。なんだか反論できない。

『じゃが、その友情パワーがあればレベル100の壁を超えられるのじゃ』

 しかし人間でレベル100を超えた奴もいたと思うけど、そいつらだって友達がいたとか絵物語でも読んだ事ないんだけど。

『だってエラクレスだって、ペルセールスだって神様の血を引いてるからの。元々の基礎が違うのじゃ、強いに決まってるのじゃ』

 マジか。
 じゃじゃあ、マーサー王はどうなんだ?

『あやつは円卓の騎士って、お友達がいっぱいいたのじゃ』

 でも、その友達に嫁さんNTRで裏切られてんジャン。

『全然いないそなたよりマシじゃ』

 ……。

『それにあやつは、湖の魔女だか妖精だかに育てられたのじゃ。あやつもスタートが違うのじゃ。絵物語の英雄はレベル100になるべくして生まれた者たちなのじゃ』

 ……じゃあ、オレは絶対レベル100にはなれないのか。

『だから友達作ればいいのじゃ』

 でも、死んじゃってるしなぁ。

『生き返らせられるのじゃ』

 マジかっ!

『元々、現世に未練を残してる人間は素直に成仏しないから、面倒くさいのじゃ。だから死んだ人の何割かは生まれ変わらせているのじゃ』

 また面倒くさいって言いやがった。
 でもホントか。だったら頼む、生き返らせてくれ。経験値稼ぎでもなんでも最初っからやってやる。だから、できれば神の子か、湖の妖精の元に。そしたら今度こそ――ッ!?

『だから友達作れって言うとるじゃろーがッ! 』

 女神マジ切れ。

『どんだけ友達作るの自信がないじゃ』

 あのな、友達作るの簡単にできたら、一人で孤独にレベル100なんて目指さねえっての。
 オレの言葉は自信の無さと恥ずかしさからどんどん小さくなっていく。

『ん、何て言ったのじゃ? 』

 何でもない。で、ホントに友達できたら、レベル100になれるのか? 

『まあ、それは保障するのじゃ。だけど一人じゃダメじゃ。100人。友達一人でレベルが一上がるから。だからレベル100になるためには少なくとも100人以上友達が必要じゃ』

 ひゃ、100人? マジで? 
 でも、もし一人もできなかったら?

『当然レベルゼロじゃ。まあ力は子供以下かの。でも大丈夫じゃ、妾が友達作りやすいように、チョットだけ手助けしてあげるのじゃ。妾に感謝するのじゃ』

 レベル0……。

『おーい聞いてるのか? 』

 ……。

『生まれ変わったら、まず……それから……』

 ……。

 女神と名乗った怪しい女の声が小さくなっていく。何か言ってるようだがよく分からん。

『迷わず行けよ、行けばわかるさ』

 どっかの最強格闘家だかが言った言葉が辛うじて聞こえたが、それが最後だった。
 レベル100に至る道への光明が見えたと思ったが、それは果てしなく遠そうだ。
 死ぬ前はレベル99だったが、そこまでもいけるかどうか。
 ……ってかレベル一だって難しいかも。
 友達作れ……か。小学校に入れば出来るかな?
 山の上でオニギリ食べたいな……。
 そんなことを思っていると、じきに意識が暗闇に飲まれていく感じがして、オレは考えるのを放棄した。



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