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第二話 My name is ...?
しおりを挟む『のおペンペン、聞こえるかの? 妾じゃ、若くて美人で有能な女神ウシャスじゃ』
オレの頭に響いたのは、あの高飛車でボンクラな自称女神の声だった。
だれがペンペンだ。・・・・・・まあ今さら人間のときの名前なんて今更名乗らないけど。
『自称をつけるな。あと高飛車じゃないのじゃ』
ボンクラは否定しないんだな。やっぱり駄女神だ。
『駄女神・・・・・・クッ』
言い返せないようだ。で、何の用だ。
『ゴホン、・・・・・・そなたが友達を作りやすいように愛らしい姿に生まれ変わらせてあげたんじゃが、ほんの少しだけ意思の疎通があんまり出来てなかったようでの、なんかちょっと困ってるように見えなくもなかったので連絡したのじゃ』
ふざけんな、意思の疎通は“ほんの少し”とか“あんまり”どころか大いに出来てなかったと思うぞ。あと、この姿を見て“ちょっと困ってる”ようにしか見えないんだったら、ホントにその目は節穴だな。
『だれが節穴じゃ! 』
節穴を節穴といって何が悪い!
オレはギャーギャーと天に向かって文句を言うが、傍から見たら手足の短いペンギンがなんか愛らしい動きをしているだけにしか見えなかったのかもしれない。
『・・・・・・プッ』
なんか笑われたような気がする。
『笑っちゃダメよ本人はマジなんだから。あっ、私は女神のラートリーよ。ホントごめんね、私の同僚のウシャスちゃんが迷惑かけちゃって。フフフ』
自称女神とは別の女神を名乗る声が聞こえてくる。
笑っちゃダメといいながらこいつも笑っている。
女神と称するやつらは駄女神しかいないようだ。
『『駄女神言うなッ! 』なのじゃッ! 』
しかし、愛らしい姿に生まれ変わらせるとか言うなら、パンダでも良かっただろうし、ネコでもイヌでもリスでも良かったはずだ。なぜにペンギン?
『エ~ット・・・・・・』
なんで答えにつまるかな?
オイ、なんでペンギンなんだ。
『・・・・・・まあ、過去を振り返っても良い事は無いのじゃ』
オイッ! 何も考えてなかったんだろ、ホントは。
『あ、あのね。ホントは、死んだ人の意思を確認してから生まれ変わらせるんだけど、ペンタロークンは、転生前の説明が足りなかったようで、今、だいぶ戸惑ってるみたいだけど――』
駄女神とは別の女神がオレに話しかけてくる。
オイ、呼び名が変わってるぞ。
『もうペンギンに生まれ変わっちゃったから、もうそれで生きていくしかないの。それだけはまず理解してほしいの』
駄女神ラートリーがオレの呟きを無視して話す。
そうか、もう人間に戻れないし、ペンギンで生きていくしかないのか。神の子にもなれなかったし、湖の妖精に拾われることも無いのか。
『それは忘れようね。それでね、そのお詫びって言うわけじゃないんだけど、ウシャスちゃんとも話して、ちょっとだけオマケをしてあげようって思うの』
オマケだとッ、もしかしてこれから神の子に――ッ!?
『それは忘れろって言いましたよね! 』
ハイッ、すみません。
駄女神ラートリーがオレの発言を遮る。なんだか怒っているように思えて思わず謝るオレ。
『よろしい。それでペンザブロークンは前世でメッチャ経験値ためていたから、もう現世では経験値を稼ぐ必要はナシにしとくわ』
というと?
『友達が一人もいない今は、まだレベルは封印されているけど、友達一人でレベルが一つ解放されるわ。つまりレベル九十九までは、何もしなくても友達を九十九人作るだけでレベルがどんどん上がっていくの。その後は友達を百人以上にして、努力をすればレベル百になれるわ』
ふうむ、と言う事は例えば、どんなに魔獣を倒しても友達が一人もいなければレベルがゼロで、五人組みのパーティと知り合いになってみんなと友達になれば突然レベルが五になることもありえる、ということか。
『フッ、・・・・・・なれたらいいのぉ』
駄女神ウシャスがオレを馬鹿にするように笑った気がする。
お前が友達作れ言うたんやろがッ!
『だめよ笑っちゃ。ペントクンにとってはもうそれしか方法は無いんだから、フフフッ』
コイツも笑ってたようだ。やっぱりこいつも駄女神だ。
『あとね、そこの倒木を超えて、ちょっといくと川があるから。その下流にあなたの大切なものがあるから、行ってみるといいわよ』
大切なもの? なんだ、今のオレに大切なモノって何があるかな。プライド? 命? ペンギンになった今のオレにはどっちも大したもんじゃないな。
何ならまた死んで、今度こそ神の子に――。
『忘れなさい、って言いましたよね、何度いったら分かるのかな』
同僚女神がドスの効いた低い声でオレの発言を遮る。なんだかコメカミに青筋を立てた怒り笑顔が眼に浮かぶようだ。
こういう人には逆らっちゃダメだ。
とりあえず、なにか分からんがとにかく行ってみるか。オレは短い足で懸命に巨大な倒木をよじ登った。
だが、そこでふと思いついて、心の中で感謝の言葉を呟いた。
まあ、生き返らせてくれてありがとよ。死んだままじゃレベル上げも何も無いからな。
『ペンキチロウよ、もっと感謝してもいいのじゃ。それで友達ができたらお礼に神殿にお参りにくるのじゃ』
『ちゃんと友達作ってレベル百超えたら、今度こそ成仏しなさいね、ペンヤクン』
駄女神’sの声が頭に響いた。
で、オレの名前は一体何なんだ?
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