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3章 聖地の恵み、隣領に漏れ出す
33話 輸出される神話
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行商人マルコが、シュタイン領との定期交易のため、ヴァルハラ領を訪れたのは、夏の終わりが近づく、ある日のことだった。
彼は、この聖地を訪れるたびに、もはや驚くことには慣れた、と自分に言い聞かせている。だが、この土地は、常に彼のちっぽけな想像など、遥かに超える進化を遂げて、彼を迎えるのだ。
今回、彼が気づいたのは、物理的な豊かさだけではなかった。
領民たちの顔に浮かぶ満ち足りた表情。それは、ただ腹が満たされている、というだけではない。何か、より深い、精神的な充足感。芸術に触れた者だけが持つ、文化の香りのようなものが、確かにそこにはあった。
その夜、マルコは、中央広場で開かれるという夜の集いに招かれた。
そして、彼は、そこで、自らの魂が根こそぎ揺さぶられるほどの衝撃的な光景を目の当たりにする。
焚き火の爆ぜる火の粉が、星空へと舞い上がる。
その光に照らされて、聖女セレスティアが、壇上で一冊の羊皮紙の束を厳かに広げた。
彼女が朗々と、時に声を震わせながら語り始めたのは、この聖地ヴァルハラの創生の物語。『聖譚叙事詩』と名付けられた英雄譚だった。
それは、マルコ自身が目撃し、あるいは噂として聞き知っていた出来事の数々。
だが、荒削りながらも、どこか物悲しいリュートの音色と腹の底に響く、荘厳な太鼓のリズムに乗せて語られることで、それらは、もはや、ただの事実ではなく、神話の域にまで高められていた。
『――神は、ただ、そこに在るだけで、枯れたる大地に、清らかなる泉をお湧かせになった。それは、神の慈愛の涙。『神の涙』と呼ばれ、聖地の全ての命を、潤したのである』
『――強欲なる隣領の支配者は、その富を狙い、幾度となく、刺客を放った。だが神は、ただ、一言、『眠りを妨げるな』と、そう仰せになっただけで、その邪悪なる野心を、木っ端微塵に打ち砕かれたのだ』
物語が、進む。
そしてマルコ自身の名が語られた。
『――その時、神の御心に応え、一人の賢明なる商人が聖地を訪れた。その名を、マルコという。彼は、神の偉大さを、誰よりも早く理解し、忠実なる使徒として、聖地と、外の世界とを繋ぐ、架け橋となったのである』
その一節を聞いた瞬間、マルコの目から熱いものが止めどなく溢れ出した。
(……お、おお……! この、私めの名が、神の物語の中に……! なんという、なんという、誉れ……!)
彼は、その場にひれ伏し、感動と感謝の涙で地面を濡らすことしかできなかった。
朗読会が終わり、興奮冷めやらぬまま、マルコは、セレスティアの元へと駆け寄っていた。
彼の、商人としての本能が、激しく、警鐘を鳴らしていたのだ。
これは、売れる。いや、違う。これは広めなければならない。
「セ、セレスティア様……!」
彼は震える声で訴えた。
「この、あまりに、あまりに素晴らしい叙事詩と、その音楽を、どうか、この私に写本として、お分けいただけないでしょうか!?」
セレスティアは、少しだけ戸惑ったように眉をひそめた。
「マルコ殿……。これは神を称え、我らの信仰を確認するための、内なる祈りの歌。それを商売の道具とするなど……」
「いえ! 断じて、商売のためなどでは、ございません!」
マルコは必死に首を横に振った。そして、商人として培った、弁舌の全てを熱情に変えて語った。
「これは、商売ではない! これは、我らが成すべき、最高の『布教』なのでございます! シュタイン領には、いまだ神の光を知らぬ、迷える民が数多くおります。彼らに、物や、金を、いくら与えても真の救いは訪れません。ですが……!」
彼は力強く続けた。
「物語と音楽は違います! それは、直接人の魂に語りかけるのです! この、感動的な叙事詩を、この、魂を揺さぶる音楽を、彼らに届けることで、アッシュ様の、本当の偉大さを、その慈愛の深さを、より広く、より深く、伝えることができるのでは、ございませんか!?」
『文化による、布教』。
その高度で、極めて効果的な提案に、セレスティアもハッとさせられたようだった。
彼女は、しばらく考え込んだ後、静かに頷いた。
「……なるほど。それもまた、神の御心に違いありませんね。分かりました。この『聖譚叙事詩』の写本と簡単な楽譜を貴方にお託ししましょう」
こうしてマルコは物理的な商品だけでなく、「物語」と「音楽」という最強の文化コンテンツを手に入れた。
数日後。シュタイン領、ボルグの街。
マルコは、早速、街で一番大きな酒場を貸し切り、お披露目会を開いた。
彼が雇った、腕利きの語り部にヴァルハラから持ち帰った、リュートもどきを弾かせながら『聖譚叙事詩』を朗々と語らせる。
酒場に集まった、日々の労働に疲れた町人や農民たちは、最初は、ただの余興だと聞き流していた。
だが、物語が進むにつれて、彼らは、その世界に引き込まれていった。
自分たちと同じように、貧しさと、圧政に苦しんでいた人々が、一人の慈悲深く、しかし時に厳しく、そして少しだけのんびりした神様の導きによって、豊かになっていく物語。
特に、自分たちを苦しめてきた、あのゲッコー男爵が神の威光の前にあっさりと敗れ去る場面では酒場全体が、地鳴りのような大喝采に包まれた。
それは彼らが、ずっと心の奥底で求めていたカタルシスだった。
彼は、この聖地を訪れるたびに、もはや驚くことには慣れた、と自分に言い聞かせている。だが、この土地は、常に彼のちっぽけな想像など、遥かに超える進化を遂げて、彼を迎えるのだ。
今回、彼が気づいたのは、物理的な豊かさだけではなかった。
領民たちの顔に浮かぶ満ち足りた表情。それは、ただ腹が満たされている、というだけではない。何か、より深い、精神的な充足感。芸術に触れた者だけが持つ、文化の香りのようなものが、確かにそこにはあった。
その夜、マルコは、中央広場で開かれるという夜の集いに招かれた。
そして、彼は、そこで、自らの魂が根こそぎ揺さぶられるほどの衝撃的な光景を目の当たりにする。
焚き火の爆ぜる火の粉が、星空へと舞い上がる。
その光に照らされて、聖女セレスティアが、壇上で一冊の羊皮紙の束を厳かに広げた。
彼女が朗々と、時に声を震わせながら語り始めたのは、この聖地ヴァルハラの創生の物語。『聖譚叙事詩』と名付けられた英雄譚だった。
それは、マルコ自身が目撃し、あるいは噂として聞き知っていた出来事の数々。
だが、荒削りながらも、どこか物悲しいリュートの音色と腹の底に響く、荘厳な太鼓のリズムに乗せて語られることで、それらは、もはや、ただの事実ではなく、神話の域にまで高められていた。
『――神は、ただ、そこに在るだけで、枯れたる大地に、清らかなる泉をお湧かせになった。それは、神の慈愛の涙。『神の涙』と呼ばれ、聖地の全ての命を、潤したのである』
『――強欲なる隣領の支配者は、その富を狙い、幾度となく、刺客を放った。だが神は、ただ、一言、『眠りを妨げるな』と、そう仰せになっただけで、その邪悪なる野心を、木っ端微塵に打ち砕かれたのだ』
物語が、進む。
そしてマルコ自身の名が語られた。
『――その時、神の御心に応え、一人の賢明なる商人が聖地を訪れた。その名を、マルコという。彼は、神の偉大さを、誰よりも早く理解し、忠実なる使徒として、聖地と、外の世界とを繋ぐ、架け橋となったのである』
その一節を聞いた瞬間、マルコの目から熱いものが止めどなく溢れ出した。
(……お、おお……! この、私めの名が、神の物語の中に……! なんという、なんという、誉れ……!)
彼は、その場にひれ伏し、感動と感謝の涙で地面を濡らすことしかできなかった。
朗読会が終わり、興奮冷めやらぬまま、マルコは、セレスティアの元へと駆け寄っていた。
彼の、商人としての本能が、激しく、警鐘を鳴らしていたのだ。
これは、売れる。いや、違う。これは広めなければならない。
「セ、セレスティア様……!」
彼は震える声で訴えた。
「この、あまりに、あまりに素晴らしい叙事詩と、その音楽を、どうか、この私に写本として、お分けいただけないでしょうか!?」
セレスティアは、少しだけ戸惑ったように眉をひそめた。
「マルコ殿……。これは神を称え、我らの信仰を確認するための、内なる祈りの歌。それを商売の道具とするなど……」
「いえ! 断じて、商売のためなどでは、ございません!」
マルコは必死に首を横に振った。そして、商人として培った、弁舌の全てを熱情に変えて語った。
「これは、商売ではない! これは、我らが成すべき、最高の『布教』なのでございます! シュタイン領には、いまだ神の光を知らぬ、迷える民が数多くおります。彼らに、物や、金を、いくら与えても真の救いは訪れません。ですが……!」
彼は力強く続けた。
「物語と音楽は違います! それは、直接人の魂に語りかけるのです! この、感動的な叙事詩を、この、魂を揺さぶる音楽を、彼らに届けることで、アッシュ様の、本当の偉大さを、その慈愛の深さを、より広く、より深く、伝えることができるのでは、ございませんか!?」
『文化による、布教』。
その高度で、極めて効果的な提案に、セレスティアもハッとさせられたようだった。
彼女は、しばらく考え込んだ後、静かに頷いた。
「……なるほど。それもまた、神の御心に違いありませんね。分かりました。この『聖譚叙事詩』の写本と簡単な楽譜を貴方にお託ししましょう」
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数日後。シュタイン領、ボルグの街。
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酒場に集まった、日々の労働に疲れた町人や農民たちは、最初は、ただの余興だと聞き流していた。
だが、物語が進むにつれて、彼らは、その世界に引き込まれていった。
自分たちと同じように、貧しさと、圧政に苦しんでいた人々が、一人の慈悲深く、しかし時に厳しく、そして少しだけのんびりした神様の導きによって、豊かになっていく物語。
特に、自分たちを苦しめてきた、あのゲッコー男爵が神の威光の前にあっさりと敗れ去る場面では酒場全体が、地鳴りのような大喝采に包まれた。
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