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第1章 宿敵の家の当主を妻に貰うまで
第35話 アークゲート家の三姉妹
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シアに事情を話し、俺の屋敷の裏の雑木林にゲートを繋いでもらう。雑木林から来たと言ったときにシアは動きを止めていたが、意図的に視線を外しながら少し焦っていたのが面白かった。
真正面に展開した金の光で出来たゲート。輝きも大きさもオーロラちゃんの作ったゲートとは違っていて、シアの規格外さを感じさせた。
金色の光に手を繋ぎながら足を踏み入れる。扉を潜り抜けるように慣れた動きでゲートを越えれば、そこはもう雑木林だ。
「えっと……ただいま?」
「おかえりなさいませ、ノヴァ様」
迎え?てくれたのはターニャだった。その後ろには布の上に横になるオーロラちゃんとユティさんの姿もある。多少は時間が経っていると思うんだけど、ゲートを開いたことで二人はまた疲れちゃったみたいだ。
「あー、ノヴァお兄様おかえりー。ちゃんと……お姉様連れてきたねー」
間延びした声でそう答えるオーロラちゃん。そんな彼女を見てシアは俺の手を離して姉妹の元へと向かう。倒れるオーロラちゃんとユティさんの背中に触れた。
「お、お姉様?」
「……楽になりました。ありがとうございます、当主様」
きっとシアが魔力を送ったんだと思う。さっきまでは肩で息をしていた二人は回復した様子で、上体を起こしていた。
「いえ、二人には迷惑をかけました。ノヴァさんから聞きましたが、無理して二回もゲートを繋げてくれたと……本当に申し訳ありません……でも、ありがとうございます」
「どういたしまして、ですね」
えへへと笑うオーロラちゃんの横で、ユティさんは俺とシアに交互に目線を送り、頷いた。
「ノヴァさんがやってくれたみたいですね。良かったです。……ところで、これは私に義理の弟が出来たということでいいんでしょうか?」
「お姉様、ついに……?」
オーロラちゃんとユティさんからじっと見つめられ、シアは苦笑いをしながら頷いた。
「おめでとうございます、ノヴァ様」
「これで本当にノヴァお兄様ってことね」
「大変でしたが、良かったです」
自分の事のように喜んでくれる三人にどこか照れくささを感じていると、隣に立つターニャが申し訳なさそうに目じりを下げた。
「ノヴァ様……その……座標についてなのですが……」
「ああ、シアから話は聞いたよ。前にシアとは出会っていたんでしょ?」
そう話すと、ターニャは急に膝をついた。突然の行動に驚く。
「申し訳ありません。シアさんとの関係は聞いていたのでノヴァ様の情報を流してしまったのですが……裏切りと言われても否定できません……」
「いやいや、別にいいよ。シアにならいくらでも流しちゃって」
「……お怒りにならないんですか?」
不安そうに目線を俺に向けるターニャに、首を横に振った。
「流していた相手がシアだからね」
シアに知られる分には全然問題がないし、ターニャとしても不遇な立場だった俺を思っての事だっていうのはよく分かった。だから彼女に感謝することはあっても、責めるようなつもりは全然ない。
「ありがとうございます」
「……ちなみに、他にも前からシアのことを知っていた人はいるの?」
シアに問いかけたけど、話の流れで自分に聞かれていると思ったのか、ターニャが答えてくれた。
「ジルさんがそうですね」
「ああ、だからあの時結構スムーズだったのか」
初めてシアがこの屋敷に来た時を思い出して、納得した。
「それじゃあ、屋敷に戻ろうか。シア達も来るってことでいいよね?」
「はい、お邪魔させていただきます」
「ではご案内します。こちらです」
先頭にターニャが立って、俺達は屋敷に向かう。ターニャの後にはシアとオーロラちゃんが続いた。
「お姉様、おめでとうございます。でもお姉様の家にもなるんですから、お邪魔しますではなくてただいま、ですよ」
「オーラ、あんまり嬉しくなることばかり言わないでください」
楽しそうに話す二人を後ろから見ていると、隣にユティさんが来た。
「お疲れさまでした」
「いや、ユティさんの方こそ本当にお疲れ様です。ありがとうございました」
「こういったときくらいしか、骨を折れませんからね。昔出来なかったことを償いとしてやっているだけです」
「…………」
ユティさんはシアに対して何か負い目があるようなことを時々言う。聞けばユティさんもシアも教えてくれそうだけど、今は聞かないでおこうと思った。
前を歩くオーロラちゃんとシアを見ながら、ユティさんは少しだけ口角を上げる。
「知っていますか? あの子があんな風に微笑むようになったのはつい最近なんです。当主になる前も、なってすぐも表情に変化があまりないか、作った笑顔でしたから」
「そう……なんですね」
今のシアを見ていると想像もつかないけど、過去の話を断片的に聞いているだけでもそうだったのは納得できる。
「だから、あなたがあの子と一緒になってくれると聞いて心から安心しています。
あの子の事、よろしくお願いします」
「……はい」
本当、ユティさんは良いお姉さんだと思った。
「……ただ力と同じく想いも、とてつもなく大きいと思いますので、しっかりと受け止めてくださいね。ノヴァさんなら大丈夫だと思いますが」
「はい、大丈夫です。シアのことはよく分かっていますから」
「…………」
「あ、あの……?」
黙って見つめられ、俺は少し困ってしまう。
「見えない部分の想いこそ厄介なんですが……それが露わになってもノヴァさんなら受け入れてくれるので、大丈夫でしょう」
「えっと……どういうことでしょうか?」
「妹をよろしくお願いします、ということです」
「は、はぁ……」
いまいち要領を得ない反応だけど、これ以上は聞いても答えてくれそうになかった。
真正面に展開した金の光で出来たゲート。輝きも大きさもオーロラちゃんの作ったゲートとは違っていて、シアの規格外さを感じさせた。
金色の光に手を繋ぎながら足を踏み入れる。扉を潜り抜けるように慣れた動きでゲートを越えれば、そこはもう雑木林だ。
「えっと……ただいま?」
「おかえりなさいませ、ノヴァ様」
迎え?てくれたのはターニャだった。その後ろには布の上に横になるオーロラちゃんとユティさんの姿もある。多少は時間が経っていると思うんだけど、ゲートを開いたことで二人はまた疲れちゃったみたいだ。
「あー、ノヴァお兄様おかえりー。ちゃんと……お姉様連れてきたねー」
間延びした声でそう答えるオーロラちゃん。そんな彼女を見てシアは俺の手を離して姉妹の元へと向かう。倒れるオーロラちゃんとユティさんの背中に触れた。
「お、お姉様?」
「……楽になりました。ありがとうございます、当主様」
きっとシアが魔力を送ったんだと思う。さっきまでは肩で息をしていた二人は回復した様子で、上体を起こしていた。
「いえ、二人には迷惑をかけました。ノヴァさんから聞きましたが、無理して二回もゲートを繋げてくれたと……本当に申し訳ありません……でも、ありがとうございます」
「どういたしまして、ですね」
えへへと笑うオーロラちゃんの横で、ユティさんは俺とシアに交互に目線を送り、頷いた。
「ノヴァさんがやってくれたみたいですね。良かったです。……ところで、これは私に義理の弟が出来たということでいいんでしょうか?」
「お姉様、ついに……?」
オーロラちゃんとユティさんからじっと見つめられ、シアは苦笑いをしながら頷いた。
「おめでとうございます、ノヴァ様」
「これで本当にノヴァお兄様ってことね」
「大変でしたが、良かったです」
自分の事のように喜んでくれる三人にどこか照れくささを感じていると、隣に立つターニャが申し訳なさそうに目じりを下げた。
「ノヴァ様……その……座標についてなのですが……」
「ああ、シアから話は聞いたよ。前にシアとは出会っていたんでしょ?」
そう話すと、ターニャは急に膝をついた。突然の行動に驚く。
「申し訳ありません。シアさんとの関係は聞いていたのでノヴァ様の情報を流してしまったのですが……裏切りと言われても否定できません……」
「いやいや、別にいいよ。シアにならいくらでも流しちゃって」
「……お怒りにならないんですか?」
不安そうに目線を俺に向けるターニャに、首を横に振った。
「流していた相手がシアだからね」
シアに知られる分には全然問題がないし、ターニャとしても不遇な立場だった俺を思っての事だっていうのはよく分かった。だから彼女に感謝することはあっても、責めるようなつもりは全然ない。
「ありがとうございます」
「……ちなみに、他にも前からシアのことを知っていた人はいるの?」
シアに問いかけたけど、話の流れで自分に聞かれていると思ったのか、ターニャが答えてくれた。
「ジルさんがそうですね」
「ああ、だからあの時結構スムーズだったのか」
初めてシアがこの屋敷に来た時を思い出して、納得した。
「それじゃあ、屋敷に戻ろうか。シア達も来るってことでいいよね?」
「はい、お邪魔させていただきます」
「ではご案内します。こちらです」
先頭にターニャが立って、俺達は屋敷に向かう。ターニャの後にはシアとオーロラちゃんが続いた。
「お姉様、おめでとうございます。でもお姉様の家にもなるんですから、お邪魔しますではなくてただいま、ですよ」
「オーラ、あんまり嬉しくなることばかり言わないでください」
楽しそうに話す二人を後ろから見ていると、隣にユティさんが来た。
「お疲れさまでした」
「いや、ユティさんの方こそ本当にお疲れ様です。ありがとうございました」
「こういったときくらいしか、骨を折れませんからね。昔出来なかったことを償いとしてやっているだけです」
「…………」
ユティさんはシアに対して何か負い目があるようなことを時々言う。聞けばユティさんもシアも教えてくれそうだけど、今は聞かないでおこうと思った。
前を歩くオーロラちゃんとシアを見ながら、ユティさんは少しだけ口角を上げる。
「知っていますか? あの子があんな風に微笑むようになったのはつい最近なんです。当主になる前も、なってすぐも表情に変化があまりないか、作った笑顔でしたから」
「そう……なんですね」
今のシアを見ていると想像もつかないけど、過去の話を断片的に聞いているだけでもそうだったのは納得できる。
「だから、あなたがあの子と一緒になってくれると聞いて心から安心しています。
あの子の事、よろしくお願いします」
「……はい」
本当、ユティさんは良いお姉さんだと思った。
「……ただ力と同じく想いも、とてつもなく大きいと思いますので、しっかりと受け止めてくださいね。ノヴァさんなら大丈夫だと思いますが」
「はい、大丈夫です。シアのことはよく分かっていますから」
「…………」
「あ、あの……?」
黙って見つめられ、俺は少し困ってしまう。
「見えない部分の想いこそ厄介なんですが……それが露わになってもノヴァさんなら受け入れてくれるので、大丈夫でしょう」
「えっと……どういうことでしょうか?」
「妹をよろしくお願いします、ということです」
「は、はぁ……」
いまいち要領を得ない反応だけど、これ以上は聞いても答えてくれそうになかった。
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