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第3章 宿敵の家と宿敵でなくなってから
第145話 無力を、絶望を嘆く者たち
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「っ!」
手紙を握りつぶし、俺は自分の執務机に拳を振り下ろす。大きな音に、手紙を届けに来た執事が体を震わせた。
大きく息を吐いて心を落ち着かせて、彼の方を見る。
「急にすまない、悪いが一人にしてくれ」
「か、畏まりました」
少しだけ震えた執事はそう言うと頭を下げて部屋をそそくさと去っていく。扉が閉まり切るのを見届けてから、俺は手の中のくしゃくしゃの手紙を執務机に投げた。
『レイモンド王子のコールレイク帝国のマリアベル皇女の結婚式の警備に、フォルス家が任じられた』
手紙の内容は、そういった旨だった。それだけならば良い。むしろこれまで中央では北のアークゲートに比べて冷遇されてきたフォルスにとって、これ以上の誉はないだろう。
王族のみに許された盛大な結婚式典。その警備を担当するのはアークゲートだという暗黙の了解が出来ているくらいなのだから。
だが、俺が許せなかったのはその続きの文章にある。
『また警備にはアークゲート家も参加する。それゆえに、アークゲートの魔力と反発する覇気を持っている叔父上には不参加としてもらう』
というのが続きの内容だ。おそらくカイラスにも同じような手紙を送っているのだろう。
これまで、フォルス家の事を思い、フォルス家のために行動してきた。その結果、王族の結婚式典の警備という大変な誉。当然俺にも与えられてしかるべきだろう。それを受けられないのだから、気に食わない。
「……くそっ」
もちろん頭では分かっている。俺やカイラスが参加すればアークゲートは勿論の事、俺達の体調も悪化する。それは警備の質を下げることにもつながるからだ。それは分かっているけれど。
どうしても、ノヴァがアークゲートを贔屓したように思えてしまう。
「……ふぅ、落ち着け……落ち着け……」
気持ちをなんとか落ち着かせる。こんな状態ではまともな判断は出来ないし、使用人達にも恐れられてしまうだろう。だが怒りを宥めても、心の奥底で不満は湧き出てくる。
「よくやっていたと……そう思っていたが……」
ノヴァはフォルス家当主として、まだまだ甘いところがありながらもしっかりと役割をこなしていた。南の貴族達は真意はともかく、表面上は我がフォルス家と友好的な関係を築けている。
それに南側で大きな問題もないだろう。加えて今回の陛下からの警備の任命、認めたくはないが、トラヴィス以上の成果を出していると考えている。
だが、それでも気に食わない部分も多い。
今挙げた全てがノヴァのみの力で達成しているなら文句などなかった。けれど考えても考えても、その背後に彼女が居る。仮に糸を引いていなかったとしても、影響を与えているのは間違いない。
宿敵アークゲート家当主、レティシア・アークゲート。
今のフォルス家が周りから評価されればされるほどに、ノヴァの背後にいる彼女を意識せずにはいられない。
俺は背もたれに沈み、ため息を吐く。
「……だがどれだけ不満に思っても、どうしようもない……か」
俺に一体何が出来ると言うのか。もうフォルス家の当主の座はトラヴィスではなくノヴァだ。それにアークゲートの当主がどれだけ化け物じみた力を持っているのかもよく分かっている。
確かにこれまでの詳細を聞き、さらにトラヴィスを殺めようとしたことを考えればゼロードが当主にならなかったのは良かったのかもしれない。
だが、ノヴァがなった今を考えてみてもそれがフォルス家にとって一番良かったとは、なかなか思えなかった。
トラヴィスはノヴァこそ当主の器だと言ったが、俺はそうは思わない。むしろ今の状況なら、俺にとってフォルス家にふさわしい器を持っているのはカイラスの方だ。
カイラスはフォルス家を守るという俺達が今までやってきたことを、一番受け継いでくれているように思える。そんな彼こそが最もふさわしいのではないか、そう思ってしまう。
「……どうせ、俺の頭の中だけの話か」
思ったところで現実は変わりはしない。俺にはその意見に賛同してくれる人も、それを叶える力も、なにもないのだから。
少しの寒さを感じて、席から立ち上がる。背後のある開いた窓に手をかけ、それをゆっくりと閉じた。
席に戻れば、先ほどまで感じていた寒さが消えていく。
あぁ、本当に憂鬱だ。
どうすることも出来ない自分の無力を感じて、俺はまた大きくため息を吐いた。
×××
「く……そっ……」
自分の執務室で私は届いた手紙を握りつぶし、机に叩きつける。今しがた届いた手紙はレイモンド王子とコールレイク帝国の皇女の結婚式典に関するものだった。結婚式典の警備は代々アークゲート家が行うもの。だから当然私にも参加する権利があると、そう思っていた。
しかし現実は非情で、警備を担当するのはアークゲート家に加えて、あのフォルス家もだという。そしてあの男とオーロラが参加することで、私の参加は無しにするという通達だった。
相談でもなく、ただの通達。決まったことを伝えただけで、それに対する反対など一切受け取る気がないことを手紙は物語っていた。
「……っ……」
奥歯を折れる程噛みしめ、拳に力が入る。悔しさに体に入る力が一切弱まらない。分かっている、あの邪神の言うことは絶対だと。分かっているけれど、これは悔しい。悔しくて悔しくて、何度もあれに抱いた恨みが強く、濃くなっていく。
「……それ……でもっ……」
それでも私には何もできない。特別な魔法を使う名家、アークゲート家に生まれておきながら、あの優秀で完璧な姉上の妹に生まれておきながら、何もできない。
人は邪神には勝てない。それを私は強く知っているから。少しでも思い返すだけで体が震える。あの日の重圧を、力を、思い出せる。思い出せてしまう。
あれが……あれが居なければ。あんなものを姉上が産まなければ。
完璧な姉上に一つだけ苦言を申し上げるとすれば、それだけだった。それだけは明確な間違いだと声を大にして言える。あれが生まれなければ姉上が死ぬことはなかった。私が今苦しむことも、娘たちの心が壊れることもなかった筈だ。
あの日、あの時のままのアークゲート家だった筈だ。
「……くそっ」
後悔はいくらでも出てくる。恨み言もいくらでも言える、思える。けれどそれだけだ。もう私には何も残っていない。なにも出来はしない。姉上でも出来なかったものを、私がなんとかできる筈がない。やったところで姉上と同じように死を迎えるだけだと、分かっている。
結局私は自分が死ぬまで、この胸を痛くするほどの悲しみや辛さ、悔しさを味わっていくしかないんだと、絶望した。
手紙を握りつぶし、俺は自分の執務机に拳を振り下ろす。大きな音に、手紙を届けに来た執事が体を震わせた。
大きく息を吐いて心を落ち着かせて、彼の方を見る。
「急にすまない、悪いが一人にしてくれ」
「か、畏まりました」
少しだけ震えた執事はそう言うと頭を下げて部屋をそそくさと去っていく。扉が閉まり切るのを見届けてから、俺は手の中のくしゃくしゃの手紙を執務机に投げた。
『レイモンド王子のコールレイク帝国のマリアベル皇女の結婚式の警備に、フォルス家が任じられた』
手紙の内容は、そういった旨だった。それだけならば良い。むしろこれまで中央では北のアークゲートに比べて冷遇されてきたフォルスにとって、これ以上の誉はないだろう。
王族のみに許された盛大な結婚式典。その警備を担当するのはアークゲートだという暗黙の了解が出来ているくらいなのだから。
だが、俺が許せなかったのはその続きの文章にある。
『また警備にはアークゲート家も参加する。それゆえに、アークゲートの魔力と反発する覇気を持っている叔父上には不参加としてもらう』
というのが続きの内容だ。おそらくカイラスにも同じような手紙を送っているのだろう。
これまで、フォルス家の事を思い、フォルス家のために行動してきた。その結果、王族の結婚式典の警備という大変な誉。当然俺にも与えられてしかるべきだろう。それを受けられないのだから、気に食わない。
「……くそっ」
もちろん頭では分かっている。俺やカイラスが参加すればアークゲートは勿論の事、俺達の体調も悪化する。それは警備の質を下げることにもつながるからだ。それは分かっているけれど。
どうしても、ノヴァがアークゲートを贔屓したように思えてしまう。
「……ふぅ、落ち着け……落ち着け……」
気持ちをなんとか落ち着かせる。こんな状態ではまともな判断は出来ないし、使用人達にも恐れられてしまうだろう。だが怒りを宥めても、心の奥底で不満は湧き出てくる。
「よくやっていたと……そう思っていたが……」
ノヴァはフォルス家当主として、まだまだ甘いところがありながらもしっかりと役割をこなしていた。南の貴族達は真意はともかく、表面上は我がフォルス家と友好的な関係を築けている。
それに南側で大きな問題もないだろう。加えて今回の陛下からの警備の任命、認めたくはないが、トラヴィス以上の成果を出していると考えている。
だが、それでも気に食わない部分も多い。
今挙げた全てがノヴァのみの力で達成しているなら文句などなかった。けれど考えても考えても、その背後に彼女が居る。仮に糸を引いていなかったとしても、影響を与えているのは間違いない。
宿敵アークゲート家当主、レティシア・アークゲート。
今のフォルス家が周りから評価されればされるほどに、ノヴァの背後にいる彼女を意識せずにはいられない。
俺は背もたれに沈み、ため息を吐く。
「……だがどれだけ不満に思っても、どうしようもない……か」
俺に一体何が出来ると言うのか。もうフォルス家の当主の座はトラヴィスではなくノヴァだ。それにアークゲートの当主がどれだけ化け物じみた力を持っているのかもよく分かっている。
確かにこれまでの詳細を聞き、さらにトラヴィスを殺めようとしたことを考えればゼロードが当主にならなかったのは良かったのかもしれない。
だが、ノヴァがなった今を考えてみてもそれがフォルス家にとって一番良かったとは、なかなか思えなかった。
トラヴィスはノヴァこそ当主の器だと言ったが、俺はそうは思わない。むしろ今の状況なら、俺にとってフォルス家にふさわしい器を持っているのはカイラスの方だ。
カイラスはフォルス家を守るという俺達が今までやってきたことを、一番受け継いでくれているように思える。そんな彼こそが最もふさわしいのではないか、そう思ってしまう。
「……どうせ、俺の頭の中だけの話か」
思ったところで現実は変わりはしない。俺にはその意見に賛同してくれる人も、それを叶える力も、なにもないのだから。
少しの寒さを感じて、席から立ち上がる。背後のある開いた窓に手をかけ、それをゆっくりと閉じた。
席に戻れば、先ほどまで感じていた寒さが消えていく。
あぁ、本当に憂鬱だ。
どうすることも出来ない自分の無力を感じて、俺はまた大きくため息を吐いた。
×××
「く……そっ……」
自分の執務室で私は届いた手紙を握りつぶし、机に叩きつける。今しがた届いた手紙はレイモンド王子とコールレイク帝国の皇女の結婚式典に関するものだった。結婚式典の警備は代々アークゲート家が行うもの。だから当然私にも参加する権利があると、そう思っていた。
しかし現実は非情で、警備を担当するのはアークゲート家に加えて、あのフォルス家もだという。そしてあの男とオーロラが参加することで、私の参加は無しにするという通達だった。
相談でもなく、ただの通達。決まったことを伝えただけで、それに対する反対など一切受け取る気がないことを手紙は物語っていた。
「……っ……」
奥歯を折れる程噛みしめ、拳に力が入る。悔しさに体に入る力が一切弱まらない。分かっている、あの邪神の言うことは絶対だと。分かっているけれど、これは悔しい。悔しくて悔しくて、何度もあれに抱いた恨みが強く、濃くなっていく。
「……それ……でもっ……」
それでも私には何もできない。特別な魔法を使う名家、アークゲート家に生まれておきながら、あの優秀で完璧な姉上の妹に生まれておきながら、何もできない。
人は邪神には勝てない。それを私は強く知っているから。少しでも思い返すだけで体が震える。あの日の重圧を、力を、思い出せる。思い出せてしまう。
あれが……あれが居なければ。あんなものを姉上が産まなければ。
完璧な姉上に一つだけ苦言を申し上げるとすれば、それだけだった。それだけは明確な間違いだと声を大にして言える。あれが生まれなければ姉上が死ぬことはなかった。私が今苦しむことも、娘たちの心が壊れることもなかった筈だ。
あの日、あの時のままのアークゲート家だった筈だ。
「……くそっ」
後悔はいくらでも出てくる。恨み言もいくらでも言える、思える。けれどそれだけだ。もう私には何も残っていない。なにも出来はしない。姉上でも出来なかったものを、私がなんとかできる筈がない。やったところで姉上と同じように死を迎えるだけだと、分かっている。
結局私は自分が死ぬまで、この胸を痛くするほどの悲しみや辛さ、悔しさを味わっていくしかないんだと、絶望した。
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