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第3章 宿敵の家と宿敵でなくなってから
第187話 予想もしていなかった彼女の正体
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「レイ……チェル?」
アークゲートと彼女は名乗った。シアの親類であることは間違いない。けどその一方で俺の頭は混乱していた。
レイチェルという名前を、記憶が正しければ今まで聞いたことがない。シア達から聞いたことがないからこそ確信が持てない。この人は本当にアークゲート家の人なのか? とさえ思い始めていた。
じっと女性を見る。その姿から考えるに、ティアラやノークさんと同じくらいの年齢に見えるから、ノークさんに実は妹が居たとかそういう事だろうか? あるいはノークさんの従妹とか? でもそんな親族なら名前くらいは聞いたことがあってもおかしくない筈だ。
そんな事を思っていると、レイチェルさんは周りをチラチラと見て、小声で「あの」と声をかけてきた。
「その……少し離れたところで話しませんか? ここは大通りですし」
「え……あ、ああ、すみません」
確かに今俺達は露店の前に居る。ここで話を続けるのは場所が良くないだろう。振り返ってアランさんと目線を合わせて、互いに頷き合う。俺達はレイチェルさんを連れて、通りの端の目立たない場所へと移動した。
商店か何かの壁に近づくことで、人の流れから離れる。それと同時にアランさんが小さな声でレイチェルさんに挨拶した。
「こんにちは、急に声をかけて申し訳ありません。私はアラン・サイモンと申します」
「は、はぁ……私はレイチェル、と申します」
困ったように返事をしながら、チラチラと俺の方を見てくるレイチェルさん。どうやら俺の事は知っていてもアランさんの事は知らないらしい。
そんなことを思っていると、レイチェルさんは右手を動かした。
「周りに声を聞かれないように結界を張りました。これで私達の話し声は周りには聞こえない筈です」
「あ、ありがとうございます」
「いえ……それで、話というのは?」
なんでもないように聞いてくるレイチェルさん。この後尋ねられる内容も分かっていそうだけど、俺は素直に尋ねることにした。
「少し前にこの通りで起きた通り魔事件……あれを解決したのはレイチェルさん……ですよね?」
尋ねつつも答えはもう分かっているようなもの。アークゲートの家名を持ち、周りに声が届かないようにできる魔法をあっさりと使えるレイチェルさん以外に、先日の事件をあっさり解決出来そうな人なんて思いつかなかった。
少しだけ答えに窮したレイチェルさんは、しかし小さくため息を吐いた。
「……そうです。この街には買い出しに来るんですけど、そんなときに目の前で悲惨な事件が起きていたら誰だって手を出すでしょう?」
「そうですね……レイチェルさん、事件を解決してくれてありがとうございました」
「…………」
素直に思ったことを口にすると、首を傾げられてしまう。あれ? 何かおかしなことを言ったかなと思っていると、レイチェルさんは口を開いた。
「どうしてあなたが感謝を?」
「え……いやその……なんとなく?」
よくよく考えてみれば俺はこの街には何の関係もない。しいて言うなら南の代表だから? というのが思い浮かぶけど、それもなんか違う気がする。けどレイチェルさんのお陰で死傷者が出なかったことは事実で、それにお礼を言いたい気分だった。
レイチェルさんの問いの答えに窮していると、彼女はそんな俺の様子がおかしかったのかクスクスと笑った。その笑い方を見て、シアに似ているな、と感じた。
「変な人ですね……ですが受け取っておきます。どういたしまして」
「…………」
じっと見れば見る程、どこかシア達に似ている。髪色はユティさんと同じだし、瞳の色は灰色だ。アークゲート家の関係者なのは間違いなさそうだけれど。
そんなことを思ってじっと見ていると、レイチェルさんも俺の事を見返してきて、じっと観察してきた。
「あの……こんなことを聞くのは失礼かもしれませんが、本当にレティシアと結婚しているんですか?」
「は、はい?」
急に意味が分からないことを聞かれて、思わず聞き返してしまう。最初は嫌味を言われているのかと思ったものの、レイチェルさんは困惑している様子を浮かべているだけだ。
「すみません。私からするとアークゲートとフォルスが結婚したという事自体が信じられなくてですね。一応噂で聞いてはいたのですが……その様子を見る限り、本当だったんですね」
「え……ええ……」
何だろうか。普通に会話をしているのにどこかズレているような気がする。アランさんもそれを感じ取っているようで、訝しげな表情を浮かべていた。
「……レイチェルさんもアークゲート家、ですよね? その……すみません、妻から名前を聞いたことがなかったもので」
「ああ、それは仕方がない事だと思います。私は既に隠居した身ですので」
「隠居?」
どういうことかと思い、聞き返してみる。するとレイチェルさんは微笑んで答えてくれた。
「あなたになら話しても問題ないと思うのでお話しますが、元々私はアークゲート家の当主だったんです。ですがその座もずいぶん昔に娘に譲り渡して、今は隠居の身です」
「元……当主……」
その言葉に、俺の中で少しずつ怒りが湧き上がってくる。しかしレイチェルさんはそんな俺の様子には気づかなかったようで、続けて言葉を紡いだ。
「ええ、三人の娘の内の一人に渡して……ただ北側には居づらく感じてしまい、こうして南側で穏やかに暮らしているんです」
そこまで聞いて、急速に怒りが静まっていくのを感じた。一瞬シアの母親かと思ったものの、そもそも名前が違う。確かシアの母親の名前はエリザベート・アークゲートで、レイチェルではない。
それに娘の数も合わない。今だから分かるけど、シア達は元々四人姉妹だ。三姉妹じゃない。
「……え? いやでも……」
そうなると、ますます分からない。レイチェルさんが何者なのかが、いまいち見えてこない。何度も見ても、そこにはノークさんと同じくらいの年齢の女性が居るだけだ。
でも彼女は確かに今、アークゲート家の元当主だと言った。ひょっとしたら分家の当主という意味だったのかと思いつつ、俺は恐る恐る彼女に尋ねる。彼女が何者なのかを判断するために。
「えっと……その……レイチェルさんの娘さんのお名前は……?」
「? こちらはご存じではありませんか? エリザベートとティアラ、それにノクターンですよ」
「……えぇ?」
まさかの言葉に俺は間抜けな声を出してしまう。アランさんも同じようで、目を見開いてレイチェルさんを見ていた。
「え……いや、ちょっと待ってください……えぇ? シアの……祖母?」
「シアというのはレティシアのことでしょうか? もしそうなら、彼女から見ると、そうなりますね」
「……いやいや」
信じられない気持ちでいっぱいになる。いやだって、いくらなんでも。
「若すぎるでしょう……」
俺の心を、アランさんが代弁してくれた。
アークゲートと彼女は名乗った。シアの親類であることは間違いない。けどその一方で俺の頭は混乱していた。
レイチェルという名前を、記憶が正しければ今まで聞いたことがない。シア達から聞いたことがないからこそ確信が持てない。この人は本当にアークゲート家の人なのか? とさえ思い始めていた。
じっと女性を見る。その姿から考えるに、ティアラやノークさんと同じくらいの年齢に見えるから、ノークさんに実は妹が居たとかそういう事だろうか? あるいはノークさんの従妹とか? でもそんな親族なら名前くらいは聞いたことがあってもおかしくない筈だ。
そんな事を思っていると、レイチェルさんは周りをチラチラと見て、小声で「あの」と声をかけてきた。
「その……少し離れたところで話しませんか? ここは大通りですし」
「え……あ、ああ、すみません」
確かに今俺達は露店の前に居る。ここで話を続けるのは場所が良くないだろう。振り返ってアランさんと目線を合わせて、互いに頷き合う。俺達はレイチェルさんを連れて、通りの端の目立たない場所へと移動した。
商店か何かの壁に近づくことで、人の流れから離れる。それと同時にアランさんが小さな声でレイチェルさんに挨拶した。
「こんにちは、急に声をかけて申し訳ありません。私はアラン・サイモンと申します」
「は、はぁ……私はレイチェル、と申します」
困ったように返事をしながら、チラチラと俺の方を見てくるレイチェルさん。どうやら俺の事は知っていてもアランさんの事は知らないらしい。
そんなことを思っていると、レイチェルさんは右手を動かした。
「周りに声を聞かれないように結界を張りました。これで私達の話し声は周りには聞こえない筈です」
「あ、ありがとうございます」
「いえ……それで、話というのは?」
なんでもないように聞いてくるレイチェルさん。この後尋ねられる内容も分かっていそうだけど、俺は素直に尋ねることにした。
「少し前にこの通りで起きた通り魔事件……あれを解決したのはレイチェルさん……ですよね?」
尋ねつつも答えはもう分かっているようなもの。アークゲートの家名を持ち、周りに声が届かないようにできる魔法をあっさりと使えるレイチェルさん以外に、先日の事件をあっさり解決出来そうな人なんて思いつかなかった。
少しだけ答えに窮したレイチェルさんは、しかし小さくため息を吐いた。
「……そうです。この街には買い出しに来るんですけど、そんなときに目の前で悲惨な事件が起きていたら誰だって手を出すでしょう?」
「そうですね……レイチェルさん、事件を解決してくれてありがとうございました」
「…………」
素直に思ったことを口にすると、首を傾げられてしまう。あれ? 何かおかしなことを言ったかなと思っていると、レイチェルさんは口を開いた。
「どうしてあなたが感謝を?」
「え……いやその……なんとなく?」
よくよく考えてみれば俺はこの街には何の関係もない。しいて言うなら南の代表だから? というのが思い浮かぶけど、それもなんか違う気がする。けどレイチェルさんのお陰で死傷者が出なかったことは事実で、それにお礼を言いたい気分だった。
レイチェルさんの問いの答えに窮していると、彼女はそんな俺の様子がおかしかったのかクスクスと笑った。その笑い方を見て、シアに似ているな、と感じた。
「変な人ですね……ですが受け取っておきます。どういたしまして」
「…………」
じっと見れば見る程、どこかシア達に似ている。髪色はユティさんと同じだし、瞳の色は灰色だ。アークゲート家の関係者なのは間違いなさそうだけれど。
そんなことを思ってじっと見ていると、レイチェルさんも俺の事を見返してきて、じっと観察してきた。
「あの……こんなことを聞くのは失礼かもしれませんが、本当にレティシアと結婚しているんですか?」
「は、はい?」
急に意味が分からないことを聞かれて、思わず聞き返してしまう。最初は嫌味を言われているのかと思ったものの、レイチェルさんは困惑している様子を浮かべているだけだ。
「すみません。私からするとアークゲートとフォルスが結婚したという事自体が信じられなくてですね。一応噂で聞いてはいたのですが……その様子を見る限り、本当だったんですね」
「え……ええ……」
何だろうか。普通に会話をしているのにどこかズレているような気がする。アランさんもそれを感じ取っているようで、訝しげな表情を浮かべていた。
「……レイチェルさんもアークゲート家、ですよね? その……すみません、妻から名前を聞いたことがなかったもので」
「ああ、それは仕方がない事だと思います。私は既に隠居した身ですので」
「隠居?」
どういうことかと思い、聞き返してみる。するとレイチェルさんは微笑んで答えてくれた。
「あなたになら話しても問題ないと思うのでお話しますが、元々私はアークゲート家の当主だったんです。ですがその座もずいぶん昔に娘に譲り渡して、今は隠居の身です」
「元……当主……」
その言葉に、俺の中で少しずつ怒りが湧き上がってくる。しかしレイチェルさんはそんな俺の様子には気づかなかったようで、続けて言葉を紡いだ。
「ええ、三人の娘の内の一人に渡して……ただ北側には居づらく感じてしまい、こうして南側で穏やかに暮らしているんです」
そこまで聞いて、急速に怒りが静まっていくのを感じた。一瞬シアの母親かと思ったものの、そもそも名前が違う。確かシアの母親の名前はエリザベート・アークゲートで、レイチェルではない。
それに娘の数も合わない。今だから分かるけど、シア達は元々四人姉妹だ。三姉妹じゃない。
「……え? いやでも……」
そうなると、ますます分からない。レイチェルさんが何者なのかが、いまいち見えてこない。何度も見ても、そこにはノークさんと同じくらいの年齢の女性が居るだけだ。
でも彼女は確かに今、アークゲート家の元当主だと言った。ひょっとしたら分家の当主という意味だったのかと思いつつ、俺は恐る恐る彼女に尋ねる。彼女が何者なのかを判断するために。
「えっと……その……レイチェルさんの娘さんのお名前は……?」
「? こちらはご存じではありませんか? エリザベートとティアラ、それにノクターンですよ」
「……えぇ?」
まさかの言葉に俺は間抜けな声を出してしまう。アランさんも同じようで、目を見開いてレイチェルさんを見ていた。
「え……いや、ちょっと待ってください……えぇ? シアの……祖母?」
「シアというのはレティシアのことでしょうか? もしそうなら、彼女から見ると、そうなりますね」
「……いやいや」
信じられない気持ちでいっぱいになる。いやだって、いくらなんでも。
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俺の心を、アランさんが代弁してくれた。
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