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プロローグ
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妻、希美には結婚前から大好きなシンガーソングライターがいて、僕がその彼に少し似ているから好きになったと聞いた時は正直、嬉しくなかった。
結婚後も希美はその推しのアーティストのライブに足繁く通い、気づけば僕も一緒に連れて行かれるようになったが、嫌々ではない。
彼のライブは楽しいし、彼の作る音楽も嫌いではなかったし、何より楽しそうにしている希美を間近で見ることが出来るので、誘われて断る理由はなかった。年に二度、彼のライブに行くことは我が家の恒例行事となった。
しかし、ある日、彼が大病にかかり、治療に専念する為音楽活動を休止するというニュースが飛び込んで来た。
希美は物凄く動揺したが、僕は元気になって戻ってくると励ました。そして、活動休止から半年後、彼の死とともに病名が発表された。彼はステージ4のとても珍しい種類のガンを患っていたらしい。
珍しいガンなので発見された時にはもう手の施しようがなく、治療も手探りの中で行われたらしかった。万に一つの奇跡を願って治療に臨んだらしいが、ダブルミリオンセラーを出した彼も病には勝てなかったらしい。
その後の希美はボロボロだった。ショックのあまり食べられなくなり、三ヶ月で体重は十キロ落ち、四六時中泣いていた。
僕は必死に希美を慰めた。泣き続ける希美を毎晩抱きしめ、悲しみを受け止めた。それから三ヶ月後、希美は何とか元気になり、平和な日常生活が戻って来たが、僕は病院の診察室で、亡くなったシンガーソングライターと同じ病を告げられた。
僕の余命は半年らしい。
根本的な治療は難しく、延命の為に抗がん剤を使うが、抗がん剤が効くのは10%以下の確率だと言われた。
文字通り目の前が真っ暗になった。
よりにもよって希美の推しだった彼と同じ病だなんて希美に言えない。
やっと希美が元気になったのに……。
結婚後も希美はその推しのアーティストのライブに足繁く通い、気づけば僕も一緒に連れて行かれるようになったが、嫌々ではない。
彼のライブは楽しいし、彼の作る音楽も嫌いではなかったし、何より楽しそうにしている希美を間近で見ることが出来るので、誘われて断る理由はなかった。年に二度、彼のライブに行くことは我が家の恒例行事となった。
しかし、ある日、彼が大病にかかり、治療に専念する為音楽活動を休止するというニュースが飛び込んで来た。
希美は物凄く動揺したが、僕は元気になって戻ってくると励ました。そして、活動休止から半年後、彼の死とともに病名が発表された。彼はステージ4のとても珍しい種類のガンを患っていたらしい。
珍しいガンなので発見された時にはもう手の施しようがなく、治療も手探りの中で行われたらしかった。万に一つの奇跡を願って治療に臨んだらしいが、ダブルミリオンセラーを出した彼も病には勝てなかったらしい。
その後の希美はボロボロだった。ショックのあまり食べられなくなり、三ヶ月で体重は十キロ落ち、四六時中泣いていた。
僕は必死に希美を慰めた。泣き続ける希美を毎晩抱きしめ、悲しみを受け止めた。それから三ヶ月後、希美は何とか元気になり、平和な日常生活が戻って来たが、僕は病院の診察室で、亡くなったシンガーソングライターと同じ病を告げられた。
僕の余命は半年らしい。
根本的な治療は難しく、延命の為に抗がん剤を使うが、抗がん剤が効くのは10%以下の確率だと言われた。
文字通り目の前が真っ暗になった。
よりにもよって希美の推しだった彼と同じ病だなんて希美に言えない。
やっと希美が元気になったのに……。
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