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真実と想い
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その後、ジェニファーと取り留めもない会話をしてカフェ代を支払うと、外は夕陽が登り始めたところだった。
「ごめんね。長居して。仕事中だったんだよね?」
「いいのよ。これくらい気にしないで。それよりお迎えが来てるわよ」
ジェニファーが示した先を見ると、カフェが併設している美術館の受付近くにはスマートフォンを見ながら、チラチラとカフェの入り口を伺う楓さんの姿があった。
私達がカフェから出ると、楓さんはスマートフォンを仕舞って、私達に近づいて来たのだった。
「ごめんなさい。待った?」
「いや、いま来たところだ」
話しについていけず、瞬きを繰り返していると「ジェニファーが教えてくれたんだ」と楓さんが答えてくれる。
「行く時にバスの中から連絡したの。帰りにここのカフェに寄るって」
「そうだったんだ……。でも楓さん、お仕事は……?」
「今日中に片付けなければならない仕事は片付けてきた。たまには小春とゆっくり過ごしたいと思って」
言われてみれば、楓さんは仕事帰りといった姿だった。するとジェニファーは「じゃあ、私は事務所に戻るわ」と手を振ったのだった。
「コハル、今日は楽しい時間をありがとう!」
「こっちこそありがとう!」
「ジェニファー、今日は助かった」
「カエデは心配性なのよ。こういうの、日本語では『カホゴ』って言うんだっけ?」
「過保護で間違っていない。間違えていないが、そこまで過保護か?」
「過保護よ! もう少し、コハルの事も見てあげて」
バス停に歩いて行くジェニファーを見送ると、楓さんに促されて私達も帰路に着く事にする。
「今日はどうだった。裁判、傍聴していたんだろう?」
「内容は……英語だった事もあって、よく分からなかったんですが、でも楓さん達の有利で話が進んでいたってジェニファーに教えてもらいました。弁護士として仕事をされている楓さんはとても素敵で、生き生きとされていて、法廷内でも一際輝いて見えていました」
私と居る時よりも。という言葉はぐっと飲み込む。
何を期待しているんだろう。私と楓さんは一時的な関係であって、利害関係の一致から契約結婚している身。離婚届を渡された以上、その関係ももうすぐ終わりを迎えるというのに――。
そんな私の気持ちに気づいているのかいないのか、楓さんは「それはそうだろう」とさも当然の様に返す。
「依頼人は俺達弁護士を信用して依頼してきているんだ。期待には応えなければならない。……もう、後悔はしたくないんだ」
「それ……」
「危ない!」
私の事ですか、と聞こうとしたその時、余所見をして歩いていたからか、前方の横断歩道が赤信号になっていた事に気づかず、渡ってしまいそうになる。
後ろから楓さんに腕を引かれた事で渡らずに済んだが、楓さんの力が強かったからか、自力で体勢を立て直せなかったからか、勢い余ってそのまま楓さんの胸の中に倒れたのだった。
「ごめんね。長居して。仕事中だったんだよね?」
「いいのよ。これくらい気にしないで。それよりお迎えが来てるわよ」
ジェニファーが示した先を見ると、カフェが併設している美術館の受付近くにはスマートフォンを見ながら、チラチラとカフェの入り口を伺う楓さんの姿があった。
私達がカフェから出ると、楓さんはスマートフォンを仕舞って、私達に近づいて来たのだった。
「ごめんなさい。待った?」
「いや、いま来たところだ」
話しについていけず、瞬きを繰り返していると「ジェニファーが教えてくれたんだ」と楓さんが答えてくれる。
「行く時にバスの中から連絡したの。帰りにここのカフェに寄るって」
「そうだったんだ……。でも楓さん、お仕事は……?」
「今日中に片付けなければならない仕事は片付けてきた。たまには小春とゆっくり過ごしたいと思って」
言われてみれば、楓さんは仕事帰りといった姿だった。するとジェニファーは「じゃあ、私は事務所に戻るわ」と手を振ったのだった。
「コハル、今日は楽しい時間をありがとう!」
「こっちこそありがとう!」
「ジェニファー、今日は助かった」
「カエデは心配性なのよ。こういうの、日本語では『カホゴ』って言うんだっけ?」
「過保護で間違っていない。間違えていないが、そこまで過保護か?」
「過保護よ! もう少し、コハルの事も見てあげて」
バス停に歩いて行くジェニファーを見送ると、楓さんに促されて私達も帰路に着く事にする。
「今日はどうだった。裁判、傍聴していたんだろう?」
「内容は……英語だった事もあって、よく分からなかったんですが、でも楓さん達の有利で話が進んでいたってジェニファーに教えてもらいました。弁護士として仕事をされている楓さんはとても素敵で、生き生きとされていて、法廷内でも一際輝いて見えていました」
私と居る時よりも。という言葉はぐっと飲み込む。
何を期待しているんだろう。私と楓さんは一時的な関係であって、利害関係の一致から契約結婚している身。離婚届を渡された以上、その関係ももうすぐ終わりを迎えるというのに――。
そんな私の気持ちに気づいているのかいないのか、楓さんは「それはそうだろう」とさも当然の様に返す。
「依頼人は俺達弁護士を信用して依頼してきているんだ。期待には応えなければならない。……もう、後悔はしたくないんだ」
「それ……」
「危ない!」
私の事ですか、と聞こうとしたその時、余所見をして歩いていたからか、前方の横断歩道が赤信号になっていた事に気づかず、渡ってしまいそうになる。
後ろから楓さんに腕を引かれた事で渡らずに済んだが、楓さんの力が強かったからか、自力で体勢を立て直せなかったからか、勢い余ってそのまま楓さんの胸の中に倒れたのだった。
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