27 / 42
第2章
かどわかし③
しおりを挟む
ルデアルの街は騒然としていた。
私が拐われたことをピーターが報告したのだろう。
憲兵のような兵士が、住民へ聞き込みをしたり、住居の捜索をしている。
私はそんな街の姿を——小さくつぶらな瞳で見つめていた。
小さな体がたてる微かな足音は、街の騒がしさに溶けていく。
街を歩く人々の足元を、縫うようにとたた、と軽快に走る。
そして、ようやく見知った顔を見つけた。
『ピーター!』
「……?」
『ピーター、私よ。ローゼリア』
「ローゼリア様!? い、一体どこに……」
キョロキョロと周囲を見回すピーター。
声は聞こえているのに、姿が見えないという焦りからか、一筋の汗を流している。
ただ、見えないのも仕方がない。
だって私は今——リスなのだから。
とはいっても、リスそのものに変身しているわけではない。
リスのラタと繋がった魔力の線、パスを通じて双方向に情報のやり取りをしている。
難しくいえば、きっとそういうことになるだろう。
簡単にいえば、私はラタと視界を共有し、その体を動かして、喋っているのだ。
「うわっ、何だこの子っ!」
私は慌てるピーターの足をするりと登って、肩に乗っかった。
『私よ。リスの……ラタの体を使って喋ってるの』
「それって天啓ですか? そんなこともできたんですね」
『できるようになったの! それより私、誘拐されちゃったんだけど』
「目の前でみてたんですから、知ってますよ! 今みんなで探してるんですが……どこにいるんですか?」
『それは分からないの。でも案内はできると思う』
ピーターの肩からぴょんと飛び降りると、振り返る。
『こっちよ、着いてきて』
「分かりました! でもちょっと待って下さいね——」
ラタから意識を戻すと、埃っぽい室内に視線を這わす。
それから、これで大丈夫だろうかともう一度念入りに確認した。
「うん、きっと上手くいく!」
複体という存在をどこかで聞いたことがある。
この世界に自分と生き写しの分身がいて、出会ってしまうと不幸が訪れる——という迷信として語られているものだ。
私の目の前にいるのはまさに、その複体だった。
もちろん魔力で作っているものなので、迷信で語られているような不幸が訪れることはない、と信じたい。
私は複体を操って、天井近くにある明り取り用の穴に取り付かせておく。
自分ではできないような動きができるのは、複体の大きな利点だった。
ともあれ、これで準備は完了だ。
目を閉じて想像するのは、さっき道で見かけた傭兵が持っていた大きな槌。
すぐに手に重さを感じるほどの、魔力の塊が象られる。
細部の造形は完璧じゃないけれど、用途を考えれば十分な物が創造できたといえた。
それから倉庫の中、無造作に置かれていた布を頭から被ると、その表面に周囲の風景を転写させるように象る。
これで遠くから見れば、きっと風景に溶け込んで見えないはず。
私の天啓は魔力を変質させるのが本質だから、こんな転写くらいお手のもの。
まあ、さっき思いついたんだけど。
準備が完了したので、槌で地面や壁、柱を強く叩くと、その度にガツンという衝撃が手に伝わってくる。
構わず何度も叩いていると、扉の外が騒がしくなったのを感じた。
中で何をしているのか確認しにきたのだろう、やがてガチャリと鍵の音がして、扉が開く。
部屋の隅で、布を被ったまま待っていると男が入ってきた。私にパンを投げつけた男だ。
さらにその後ろからは、3人の男がぞろぞろと入ってくる。
「おい、なんだ? 女が居ないぞ」
「いや、上だ! 明り取りの窓から逃げ出そうとしてやがる!」
「なにっ、どうやって縄から抜け出したんだ!?」
「回り込んで捕まえろ!」
男たちは、バタバタと騒々しい足音を立てて部屋を飛び出していく。
そっと扉の隙間から顔を覗かせると、そこには小部屋があった。
男たちの溜まり場になっているのか、酒瓶が転がり、粗末なテーブルの上にはくたびれたカードが散らばってさえいる。
酒と埃が混じった匂いのする小部屋には、既に誰もいなかった。
どうやら全員で私の複体を捕まえに行ってくれたらしい。
部屋を抜け出すと、布を脱ぎ捨て、警戒しながら階段を登っていく。
どうやら閉じ込められていた場所は半地下のような場所だったらしい。
階段を登りきると、そこは沢山の武器が並べられた武器屋のバックヤードだった。
うん、まあ……それはもう知っていたのだけれど。
だってピーターと、憲兵たちは私が操るラタの先導で、既に建物の周りを取り囲んでいるのだから。
下手に大勢で突入して、私が人質にされると面倒だから今回の作戦を立てた。
でも上手くいってよかった、と安心するのはまだ早かったみたい。
「おい、お前ッ! 一体どこから⁉️」
表向きは武器屋なのだから、店主がいるのも当然ではあった。
カウンターからこちらを振り返った禿げた男は、顔を真っ赤にして叫んでいる。
「あなたは他の人たちと一緒に行かなかったのね」
「ここは俺の店だ。店主が店を空にするわきゃねえだろ!」
「そう。じゃあお客さんじゃないし、私は出ていくわね」
「そうはいくか! 俺の借金返済が掛かってんだッ!」
「困ったわ、今は持ち合わせがないの」
自身の店の地下倉庫に拐った令嬢を閉じ込めていたわけで、禿げた男が共犯なのは明白。
なら、ことさら手加減をする必要もないか。
私はお店のバックヤードに転がっていた手頃な短剣を掴むと、男へ向けた。
「はっ、細腕の令嬢に俺が負けるとでも?」
「さあ、どうでしょうね?」
男は舐められていると感じたのか、熱り立った顔で棍棒のようなものを握った。
「クソがッ! 泣いても知らねえぞ」
つるりとしている頭に血管を浮き上がらせながら、大股でこっちに近づいてくる。
私は、短剣をあえてぎゅっと握り直すフリをしてから、男の頭上に大槌を象った。
音もなく創られた槌は、男の禿頭、その頂点をしたたかに打ちつける。
男は意識外からの打撃に白目を剥いて、そのまま床に倒れ伏した。
「勘違いさせたかしら? 私、短剣なんて使ったことないの」
私はポイっと短剣を投げ捨てると、意識を失って倒れている男の横を通り抜ける。
そして怒号と叫び声が響く店の外へ、躊躇することもなく、軽やかに足を踏み出した。
私が拐われたことをピーターが報告したのだろう。
憲兵のような兵士が、住民へ聞き込みをしたり、住居の捜索をしている。
私はそんな街の姿を——小さくつぶらな瞳で見つめていた。
小さな体がたてる微かな足音は、街の騒がしさに溶けていく。
街を歩く人々の足元を、縫うようにとたた、と軽快に走る。
そして、ようやく見知った顔を見つけた。
『ピーター!』
「……?」
『ピーター、私よ。ローゼリア』
「ローゼリア様!? い、一体どこに……」
キョロキョロと周囲を見回すピーター。
声は聞こえているのに、姿が見えないという焦りからか、一筋の汗を流している。
ただ、見えないのも仕方がない。
だって私は今——リスなのだから。
とはいっても、リスそのものに変身しているわけではない。
リスのラタと繋がった魔力の線、パスを通じて双方向に情報のやり取りをしている。
難しくいえば、きっとそういうことになるだろう。
簡単にいえば、私はラタと視界を共有し、その体を動かして、喋っているのだ。
「うわっ、何だこの子っ!」
私は慌てるピーターの足をするりと登って、肩に乗っかった。
『私よ。リスの……ラタの体を使って喋ってるの』
「それって天啓ですか? そんなこともできたんですね」
『できるようになったの! それより私、誘拐されちゃったんだけど』
「目の前でみてたんですから、知ってますよ! 今みんなで探してるんですが……どこにいるんですか?」
『それは分からないの。でも案内はできると思う』
ピーターの肩からぴょんと飛び降りると、振り返る。
『こっちよ、着いてきて』
「分かりました! でもちょっと待って下さいね——」
ラタから意識を戻すと、埃っぽい室内に視線を這わす。
それから、これで大丈夫だろうかともう一度念入りに確認した。
「うん、きっと上手くいく!」
複体という存在をどこかで聞いたことがある。
この世界に自分と生き写しの分身がいて、出会ってしまうと不幸が訪れる——という迷信として語られているものだ。
私の目の前にいるのはまさに、その複体だった。
もちろん魔力で作っているものなので、迷信で語られているような不幸が訪れることはない、と信じたい。
私は複体を操って、天井近くにある明り取り用の穴に取り付かせておく。
自分ではできないような動きができるのは、複体の大きな利点だった。
ともあれ、これで準備は完了だ。
目を閉じて想像するのは、さっき道で見かけた傭兵が持っていた大きな槌。
すぐに手に重さを感じるほどの、魔力の塊が象られる。
細部の造形は完璧じゃないけれど、用途を考えれば十分な物が創造できたといえた。
それから倉庫の中、無造作に置かれていた布を頭から被ると、その表面に周囲の風景を転写させるように象る。
これで遠くから見れば、きっと風景に溶け込んで見えないはず。
私の天啓は魔力を変質させるのが本質だから、こんな転写くらいお手のもの。
まあ、さっき思いついたんだけど。
準備が完了したので、槌で地面や壁、柱を強く叩くと、その度にガツンという衝撃が手に伝わってくる。
構わず何度も叩いていると、扉の外が騒がしくなったのを感じた。
中で何をしているのか確認しにきたのだろう、やがてガチャリと鍵の音がして、扉が開く。
部屋の隅で、布を被ったまま待っていると男が入ってきた。私にパンを投げつけた男だ。
さらにその後ろからは、3人の男がぞろぞろと入ってくる。
「おい、なんだ? 女が居ないぞ」
「いや、上だ! 明り取りの窓から逃げ出そうとしてやがる!」
「なにっ、どうやって縄から抜け出したんだ!?」
「回り込んで捕まえろ!」
男たちは、バタバタと騒々しい足音を立てて部屋を飛び出していく。
そっと扉の隙間から顔を覗かせると、そこには小部屋があった。
男たちの溜まり場になっているのか、酒瓶が転がり、粗末なテーブルの上にはくたびれたカードが散らばってさえいる。
酒と埃が混じった匂いのする小部屋には、既に誰もいなかった。
どうやら全員で私の複体を捕まえに行ってくれたらしい。
部屋を抜け出すと、布を脱ぎ捨て、警戒しながら階段を登っていく。
どうやら閉じ込められていた場所は半地下のような場所だったらしい。
階段を登りきると、そこは沢山の武器が並べられた武器屋のバックヤードだった。
うん、まあ……それはもう知っていたのだけれど。
だってピーターと、憲兵たちは私が操るラタの先導で、既に建物の周りを取り囲んでいるのだから。
下手に大勢で突入して、私が人質にされると面倒だから今回の作戦を立てた。
でも上手くいってよかった、と安心するのはまだ早かったみたい。
「おい、お前ッ! 一体どこから⁉️」
表向きは武器屋なのだから、店主がいるのも当然ではあった。
カウンターからこちらを振り返った禿げた男は、顔を真っ赤にして叫んでいる。
「あなたは他の人たちと一緒に行かなかったのね」
「ここは俺の店だ。店主が店を空にするわきゃねえだろ!」
「そう。じゃあお客さんじゃないし、私は出ていくわね」
「そうはいくか! 俺の借金返済が掛かってんだッ!」
「困ったわ、今は持ち合わせがないの」
自身の店の地下倉庫に拐った令嬢を閉じ込めていたわけで、禿げた男が共犯なのは明白。
なら、ことさら手加減をする必要もないか。
私はお店のバックヤードに転がっていた手頃な短剣を掴むと、男へ向けた。
「はっ、細腕の令嬢に俺が負けるとでも?」
「さあ、どうでしょうね?」
男は舐められていると感じたのか、熱り立った顔で棍棒のようなものを握った。
「クソがッ! 泣いても知らねえぞ」
つるりとしている頭に血管を浮き上がらせながら、大股でこっちに近づいてくる。
私は、短剣をあえてぎゅっと握り直すフリをしてから、男の頭上に大槌を象った。
音もなく創られた槌は、男の禿頭、その頂点をしたたかに打ちつける。
男は意識外からの打撃に白目を剥いて、そのまま床に倒れ伏した。
「勘違いさせたかしら? 私、短剣なんて使ったことないの」
私はポイっと短剣を投げ捨てると、意識を失って倒れている男の横を通り抜ける。
そして怒号と叫び声が響く店の外へ、躊躇することもなく、軽やかに足を踏み出した。
823
あなたにおすすめの小説
妹の身代わりの花嫁は公爵様に溺愛される。
光子
恋愛
お母様が亡くなってからの私、《セルフィ=ローズリカ》の人生は、最低なものだった。
お父様も、後妻としてやってきたお義母様も義妹も、私を家族として扱わず、家族の邪魔者だと邪険に扱った。
本邸から離れた場所に建てられた陳腐な小さな小屋、一日一食だけ運ばれる質素な食事、使用人すらも着ないようなつぎはぎだらけのボロボロの服。
ローズリカ子爵家の娘とは思えない扱い。
「お義姉様って、誰からも愛されないのね、可哀想」
義妹である《リシャル》の言葉は、正しかった。
「冷酷非情、血の公爵様――――お義姉様にピッタリの婚約者様ね」
家同士が決めた、愛のない結婚。
貴族令嬢として産まれた以上、愛のない結婚をすることも覚悟はしていた。どんな相手が婚約者でも構わない、どうせ、ここにいても、嫁いでも、酷い扱いをされるのは変わらない。
だけど、私はもう、貴女達を家族とは思えなくなった。
「お前の存在価値など、可愛い妹の身代わりの花嫁になるくらいしか無いだろう! そのために家族の邪魔者であるお前を、この家に置いてやっているんだ!」
お父様の娘はリシャルだけなの? 私は? 私も、お父様の娘では無いの? 私はただリシャルの身代わりの花嫁として、お父様の娘でいたの?
そんなの嫌、それなら私ももう、貴方達を家族と思わない、家族をやめる!
リシャルの身代わりの花嫁になるなんて、嫌! 死んでも嫌!
私はこのまま、お父様達の望み通り義妹の身代わりの花嫁になって、不幸になるしかない。そう思うと、絶望だった。
「――俺の婚約者に随分、酷い扱いをしているようだな、ローズリカ子爵」
でも何故か、冷酷非情、血の公爵と呼ばれる《アクト=インテレクト》様、今まで一度も顔も見に来たことがない婚約者様は、私を救いに来てくれた。
「どうぞ、俺の婚約者である立場を有効活用して下さい。セルフィは俺の、未来のインテレクト公爵夫人なのですから」
この日から、私の立場は全く違うものになった。
私は、アクト様の婚約者――――妹の身代わりの花嫁は、婚約者様に溺愛される。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。魔法あり。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。
光子
恋愛
この世界には、魔力病という、まだ治療法の見つかっていない未知の病が存在する。私の両親も、義理の母親も、その病によって亡くなった。
最後まで私の幸せを祈って死んで行った家族のために、私は絶対、幸せになってみせる。
たとえ、離婚した元夫であるクレオパス子爵が、市民に落ち、幸せに暮らしている私を連れ戻そうとしていても、私は、あんな地獄になんか戻らない。
地獄に連れ戻されそうになった私を救ってくれた、同じ薬師であるフォルク様と一緒に、私はいつか必ず、魔力病を治す薬を作ってみせる。
天国から見守っているお義母様達に、いつか立派な薬師になった姿を見てもらうの。そうしたら、きっと、私のことを褒めてくれるよね。自慢の娘だって、思ってくれるよね――――
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
――貧乏だから不幸せ❓ いいえ、求めているのは寄り添ってくれる『誰か』。
◆
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリア。
両親も既に事故で亡くなっており帰る場所もない彼女は、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていた。
しかし目的地も希望も生きる理由さえ見失いかけた時、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
10歳前後に見える彼らにとっては、親がいない事も、日々食べるものに困る事も、雨に降られる事だって、すべて日常なのだという。
そんな彼らの瞳に宿る強い生命力に感化された彼女は、気が付いたら声をかけていた。
「ねぇ君たち、お腹空いてない?」
まるで野良犬のような彼らと、貴族の素性を隠したフィーリアの三人共同生活。
平民の勝手が分からない彼女は、二人や親切な街の人達に助けられながら、自分の生き方やあり方を見つけて『自分』を取り戻していく。
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
【完結】気味が悪いと見放された令嬢ですので ~殿下、無理に愛さなくていいのでお構いなく~
Rohdea
恋愛
───私に嘘は通じない。
だから私は知っている。あなたは私のことなんて本当は愛していないのだと──
公爵家の令嬢という身分と魔力の強さによって、
幼い頃に自国の王子、イライアスの婚約者に選ばれていた公爵令嬢リリーベル。
二人は幼馴染としても仲良く過ごしていた。
しかし、リリーベル十歳の誕生日。
嘘を見抜ける力 “真実の瞳”という能力に目覚めたことで、
リリーベルを取り巻く環境は一変する。
リリーベルの目覚めた真実の瞳の能力は、巷で言われている能力と違っていて少々特殊だった。
そのことから更に気味が悪いと親に見放されたリリーベル。
唯一、味方となってくれたのは八歳年上の兄、トラヴィスだけだった。
そして、婚約者のイライアスとも段々と距離が出来てしまう……
そんな“真実の瞳”で視てしまった彼の心の中は───
※『可愛い妹に全てを奪われましたので ~あなた達への未練は捨てたのでお構いなく~』
こちらの作品のヒーローの妹が主人公となる話です。
めちゃくちゃチートを発揮しています……
役立たずと追放された令嬢ですが、極寒の森で【伝説の聖獣】になつかれました〜モフモフの獣人姿になった聖獣に、毎日甘く愛されています〜
腐ったバナナ
恋愛
「魔力なしの役立たず」と家族と婚約者に見捨てられ、極寒の魔獣の森に追放された公爵令嬢アリア。
絶望の淵で彼女が出会ったのは、致命傷を負った伝説の聖獣だった。アリアは、微弱な生命力操作の能力と薬学知識で彼を救い、その巨大な銀色のモフモフに癒やしを見いだす。
しかし、銀狼は夜になると冷酷無比な辺境領主シルヴァンへと変身!
「俺の命を救ったのだから、君は俺の永遠の所有物だ」
シルヴァンとの契約結婚を受け入れたアリアは、彼の強大な力を後ろ盾に、冷徹な知性で王都の裏切り者たちを周到に追い詰めていく。
【完結】戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
水都 ミナト
恋愛
最高峰の魔法の研究施設である魔塔。
そこでは、生活に不可欠な魔導具の生産や開発を行われている。
最愛の父と母を失い、継母に生家を乗っ取られ居場所を失ったシルファは、ついには戸籍ごと魔塔に売り飛ばされてしまった。
そんなシルファが配属されたのは、魔導具の『メンテナンス部』であった。
上層階ほど尊ばれ、難解な技術を必要とする部署が配置される魔塔において、メンテナンス部は最底辺の地下に位置している。
貴族の生まれながらも、魔法を発動することができないシルファは、唯一の取り柄である周囲の魔力を吸収して体内で中和する力を活かし、日々魔導具のメンテナンスに従事していた。
実家の後ろ盾を無くし、一人で粛々と生きていくと誓っていたシルファであったが、
上司に愛人になれと言い寄られて困り果てていたところ、突然魔塔の最高責任者ルーカスに呼びつけられる。
そこで知ったルーカスの秘密。
彼はとある事件で自分自身を守るために退行魔法で少年の姿になっていたのだ。
元の姿に戻るためには、シルファの力が必要だという。
戸惑うシルファに提案されたのは、互いの利のために結ぶ契約結婚であった。
シルファはルーカスに協力するため、そして自らの利のためにその提案に頷いた。
所詮はお飾りの妻。役目を果たすまでの仮の妻。
そう覚悟を決めようとしていたシルファに、ルーカスは「俺は、この先誰でもない、君だけを大切にすると誓う」と言う。
心が追いつかないまま始まったルーカスとの生活は温かく幸せに満ちていて、シルファは少しずつ失ったものを取り戻していく。
けれど、継母や上司の男の手が忍び寄り、シルファがようやく見つけた居場所が脅かされることになる。
シルファは自分の居場所を守り抜き、ルーカスの退行魔法を解除することができるのか――
※他サイトでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる