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第一幕
第四章 王と王弟
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「これは、雪華様。わざわざこのような地へのお越し、痛み入ります。」
空南の首都-晴嵐にある王城の門前。
少し緊張気味な声で迎えてくれるのは、空南の王で名を黎夕と言った。
あれから三日後に雪は羅芯を出て、数日で晴嵐へと到着した。
門の奥に見える城内は、バタバタと騒々しい。それはそうかと苦い笑みが漏れる。
綾が伝令を出したとは言え、正式な形ではなく羅芯の王が王弟を突然訪問するのだ。何事かと、慌ただしくなるのも無理はないだろう。
そう思いながら、雪が王城の門前で待っていると、王弟自ら出迎えに来たという訳だった。
本来、王弟は平伏する必要はない。やらないと言う訳ではないが、簡略の礼で問題ないのだ。だけど、目の前の空南の王は平伏していた。
「なに、そう焦らずとも良い。ただ様子を見に来ただけだ。」
雪がそう言っても、黎夕は平伏したまま面を上げようとはしない。よく見れば地に着いた手は振るえている。
「あまりに突然のご来訪でしたので…先日の会議で使者が何か失礼な発言でもあったのかと…。」
その通り。と、雪は答えたい衝動にかられたが、その言葉をなんとか飲み込んだ。
と言うのも、この男、とても気が弱いのだ。だからこそ必要もないのに、平伏しているのだろう。雪の機嫌を損ねないようにと。
この黎夕は雪と違って気が弱いことを隠せていない。そのため、官吏に良い様に使われているというのがもっぱらの噂だった。
「そう言う訳ではないから心配するな。」
雪華の中では極力優しい言葉を出したからか、やっと黎夕は顔を上げてくれる。
その上げた顔はまだ若く幼い。雪華よりも年上と聞いているが、それよりも年下に見える程だ。
ちなみに、王の中では雪の次に若い。誠実で心優しい人物なのだが、物を知らず自分の領地のことを理解できていない。これも問題のひとつだ。
「いや、ただ空南が不作で苦しんでいると、使者から報告を受けたのでな。国の様子を見に来たのだ。」
「…そうでしたか。」
ホッと胸をなでおろして、少しは緊張が解けたのか黎夕の表情が和らいだ。
「実際のところどうだ?」
「そうですね…陛下のおっしゃる通り、昨年の不作で蓄えることが出来ず、冬で食料が尽きたと聞いております。
特に、郊外の方が酷いようで、民からの訴えも多く来ているそうです。」
「実際に黎夕が見ている訳ではないのか?街は、こんな目と鼻の先にあるというのに。」
それを聞いて黎夕はあからさまに狼狽えてしまう。これが、彼と雪の大きな違いだ。迷いは隙を作る。その隙は他人に利用され、侮られる。だからここ空南はお飾りの王と言われ、官吏が偉そうなのだ。
「…もう少し、この国の話を聞かせてもらおうと思う。良いか?」
「え、ええ!もちろんでございます。このようなあばら家ではございますが、どうぞ中へ。」
「…あばら家か。」
雪の呟きは黎夕には聞こえなかったようで、彼は立ち上がると城内へ先導して入っていく。雪はその立派な造りの城を見て、どれだけの金を注ぎ込んで建てたのだろうかなどと考えていた。
莫大な金で建てただろうと言うことだけ、はっきりとしている。
ふぅ。と、ため息をついてから、城内へと彼の後を追った。
客間に案内されると、黎夕は官吏に呼ばれたようで部屋を出ていってしまう。少しして、使用人がお茶と簡単なお菓子を運んでくれたが、雪はお菓子を断り、使用人たちで食べるように伝えて持って帰らせた。その時の使用人は一瞬驚いたが、すぐに嬉しそうな笑みを向けて雪に礼を言うと部屋を出ていった。
雪と綾だけになった部屋でお茶を啜りながら、しばらく待っているが黎夕は戻って来ない。このまま居ても無駄に時間だけが過ぎると、雪は綾に身なりを整えてもらってから自ら王室へと向かった。
使用人の案内で部屋に入れば、彼は椅子に座り難しい顔をしている。だが、こちらに気付くと慌てて立ち上がった。
「なにか問題でも起こったか?」
「い、いえ…そ、その…」
言い淀む黎夕は、ちらりと部屋に控える官吏を見る。それに気が付いた雪は大事な話があるからと、その官吏に部屋を出るように伝える。
不満そうな顔をしていたが、流石に雪華には逆らえなかったのだろう、渋々と言った様子で部屋を出て行った。
「それで、どうした?」
「ええっと…空南では、この時期に徴収する貸与税というものがあるのですが…」
ご存じでしょうか?と、恐る恐る見るので頷けば安堵のため息を漏らした。
「あぁ、国が所有する土地を使って、農作する者が支払う税金だな。」
「はい。晴嵐にもその土地がいくつかございます。そこに無断で、民が農作を始めたという報告を受けました。」
黎夕の言葉に、雪は当たり前だろうなと思う。民は飢えているのだ。つまり金なんてないし、売れるものもない。だけど、腹は減っているのだから、金を稼ぐために農作を始めるのは普通の事だろう。
徴収なんてあとでも構わないのだ。それで何を悩むというのだろうかと、雪は頭を捻るが思い付かなかった。
「一刻も早く食糧を得たいと民は考えるだろうから、それくらい見当がついていたことではないか。」
「え?」
「まさか、そんなことも考えていなかったのか?」
「も、申し訳ございません。思い至りませんでした。」
黎夕の言葉に雪は呆れた。だが、と、思い直す。彼が無理でも他の官吏が誰一人気付かないなど、あり得るのだろうか?と。
「官吏から、そのような意見が上がらなかったのか?」
「はい…」
「ということは、対策も考えていないのだろうな。」
「はい。」
「…では、その民を見逃すしかないのではないか?」
「そ、それが…」
言いにくそうにして、一度口を閉じる。それが焦れったくて、雪は少し声を荒げた。
「なんだ?早く申せ。」
「ち、勅任官の命で、極刑に処したそうなのです。」
黎夕の言葉に耳を疑った。勅任官は官吏の中でも、より権威のある役職だ。官吏には役職があり、下級官吏である判任官から始まり、奏任官、勅任官、親任官という順で位置づけされていた。
奏任官以上をまとめて高等官と呼ぶ。
その中でも勅任官は、王の補佐的な存在である親任官の右腕、と言って良いだろう。ちなみに、綾はこの高等官を束ねる最高位にある親任官だ。
簡単に言えば、勅任官は国で三番目に偉いことになるのだが、そんな地位にいるものが、飢饉に困る民を裁いたと、黎夕は言ったのだ。
税を払わないと重い罪に問われるのは、どこの国でも同じだが、今の空南は状況が状況だ。普通は税金を免除して民の負担を減らし、貯めていた税で民を救うのが国の役目のはずだ。
だが、空南はそれとは正反対に、民が貧困だというのに税の徴収は緩めず、助けようともしない。それなのに、罰則だけはしっかりと与える。
雪は痛む頭を押さえるように額に手を当てて、呆れ顔で黎夕を見れば、怯えたように振るえているだけ。その姿に王としての誇りはないのかと腹が立ち、気づくと責め立てるような口調になっていた。
「どこまで民を苦しめれば気が済むのだ?お前は民を…この国を滅ぼしたいのか?」
「滅相もございません!」
「では、どうしたいのだ。」
黎夕は雪の問いに涙して答える。その姿は王として相応しくない。上に立つ者なら気を強く持たなければいけないのに、黎夕にはそれが全く出来ていなかった。
「私はただ民を救いたいのです。」
「では、そうすればよかろう。官吏の好きにさせていては、この国はダメになる。何を躊躇うのだ?」
「…私は王の中でも若いために、官吏に軽視されているのです。特に高等官の地位にいる者は、取り合ってもくれません。今回の件も、私に相談はありませんでした。」
「それは年齢ではなく、お前の態度の問題だろう。私はお前より年齢で言えば下になる。だが、官吏に侮られることはない。そうさせないと言う方が、正しいかもしれないな。」
「お恥ずかしい限りです。」
「…高等官でない官吏…判任官の中にはいないのか?お前を支持する者は?」
雪の問いが意外だったのだろう、黎夕はきょとんとした顔をした。
雪だって、黎夕が私腹を肥やすことしか考えないような、どうしようもない人間であれば、首をはねていたかもしれないが、彼はそういう訳でもない。民のことを考えている。
ただ、知識と自信がないだけなのだ。そして、官吏に恵まれなかった。雪との違いなんてそれくらいだ。
「判任官には私を支持してくれる者が、数名ですがおります。」
「では簡単なことだ。高等官の首を撥ね、指示する者を高等官にすれば良い。
もし、高等官の数が支持する判任官を勝るのであれば、狡猾な者を優先して首を撥ねれば良い。権限が強いだけの阿呆は残しても問題ないだろう。
曲がりなりにも、お前は王なんだ。そうできる権限はある。」
雪の言葉に黎夕は、悩んでいるようだった。少しの沈黙が走るが、少しして彼は何かを決意したようにこちらを見る。
「…実は、先程話した勅任官ですが名を蓮季と言いまして、これが筆頭となり私利私欲だけで動いているのです。
あまりに勝手が過ぎるからと、辞任させようとしたことがあるのですが、なんだかんだと理由を付けられて辞任させることが出来なかったのです。」
「だからなんだと言うのだ?」
「えっと、で、ですから、私が官吏を解任したくても…その、難しくて…」
「黎夕、お前は何の話をしているのだ?私は解任させろなどと言ってないぞ。」
「え?しかし…」
「首を撥ねろと言ったのだ。分からないか?殺せと言うことだ。」
「しかし、それはあまりに…」
「惨いか?だが、お前がこの国をこのようにしたのだ。お前はその責任を取らなければいけない。」
「…はい。」
「官吏が王の言うことを聞かないなど、本来ならあってはいけないことだ。まずはそれを変えなければ、この国を変えるのは難しいだろう。
…それには見せしめが必要だ。お前はこの国の王なのだ。その権限はある。」
黎夕はボロボロと涙を零す。可哀想だと思わないわけではないが、これは彼の問題だ。
雪が権威を見せてもこの国を変えることは出来ないのだ。
「それに、高等官は民を苦しめ見殺しにしているんだ。そいつらを止めない限り、多くの民が死ぬことになるのだぞ。」
雪の冷たいとも思える言葉に、黎夕はただただ涙を流す。だけど、この判断を間違えれば何千万という民が死ぬかもしれないのだ。
それが分かっていても動けないでいる、哀れな子犬のような王を見て、雪はため息が出た。
「はぁ…では、その蓮季に会うことは可能か?」
「蓮季でございますか…」
鼻をすすりながら、机の上に置かれた木板を確認する。どうやら高等官の登庁が、分かるようになっているらしい。
「明日、こちらに登庁する予定です。」
「では、明日まで滞在させてもらいたい。問題ないだろうか?」
「もちろんでございます。すぐに、部屋を用意させますので。」
「待て。その顔のまま官吏の所に行くつもりか?」
「え?」
涙で目を腫らした黎夕の顔を見ながら言うと、黎夕は壁にかけられた鏡を見る。頬を恥ずかしさで赤く染めてあわてふためく。その姿はなんだか可愛く思えて笑えてしまう。
「これを使うと良い。」
「あ、ありがとうございます。」
雪が渡した手拭いを受け取ると、目を擦るように涙を拭き取る黎夕。
「待て待て。それだと余計に目が腫れる。こういう時は押さえるようにして、拭うのだ。」
「は、はい。何から何まで申し訳ございません。」
「気にするな。…冷やした方が良い。その水差しで濡らして、目元にしばらく当てておきなさい。」
言われた通りに、黎夕は涙を拭ってから、水差しの水で濡らすと、目に優しく押し当てる。
「少し座って休め。それから官吏を呼んでも、問題なかろう。」
「はい…」
「…先ほど見ていた木板は黎夕が?」
「え?…ええ。高等官とは連絡を取り合うことが多いので、どこにいるかを把握できた方が良いかと。
ですが、全てを紙に書いていては、紙が大量に必要になるので、使い回せるようにと作りました。」
そう言うと木板を見せてくれる。それには高等官の名前と日付の表となっており、城に来る日に印が置かれていた。
印も針がついたもので、木板に何度刺しても使えるように工夫されている。
「これを他に使用している者は?」
「いえ、ほとんどの官吏に鼻で笑われてしまいました。あっ、玉廉は欲しいと言ってましたね。」
「玉廉か。」
「はい。雲山を管理している勅任官です。」
「他は?」
「そうですね…数名の官吏が、仕える高等官を把握するために使用しているとは聞いております。」
「そうか…それ、私にももらえるか?」
聞けば黎夕はきょとんとした顔をした。
「陛下が使うのですか?」
「そうだが、ダメだったか?」
「い、いえ。そんなことはございません。ただ、我が国の高等官には馬鹿にされてしまったので…」
「フフ、お前のところの高等官は余程優秀なのだな。」
「どうなのでしょうかね…」
黎夕は寂しそうに答える。おそらく、相手にされなくて高等官の技量も分からないのだろう。
「お前がそんなことでは、先が思いやられるな。」
「も、申し訳ございません。」
「私の親任官は優秀だぞ。私の予定を全て把握して動いているし、誰がいつ登庁しているか把握しているんだ。彼女に任せておけば間違いない。」
「羨ましいです。」
「お前にだってつくれるはずだ。お前を支えてくれる官吏を探しなさい。」
「はい。」
黎夕は疑問が浮かんだのか、不思議そうな顔をこちらに向ける。
「陛下、親任官が予定を把握されているなら、木板は不要なのでは?」
「悔しいじゃないか。いつも把握されているって言うのも。だから、たまには驚かせたいのだ。私だって高等官の予定を把握しているのだとな。」
ニッと、笑ってしまって、雪華らしくないかと思ったが、目の前の王弟は今日初めて笑顔を見せてくれたので、雪は良しとすることにしたのだった。
―次の日、王室で黎夕と共に蓮季の登庁を待っていたが、なかなか登庁してこず、雪は退屈し黎夕はみるみる落ち着きをなくしていった。
今更、官吏の仕事振りが悪くても、黎夕に小言を言うつもりなど雪にはなく彼に声をかけたが、返って彼の不安を煽ってしまったようだった。
結局、蓮季が姿を現したのは昼に近い頃だった。
驚いたことに、彼は部下とともに王室に入るなり平伏して、ことの経緯を話し始めた。
内容としては、何故この時間の登庁になったのか、誰が悪いのかなど、まぁ聞きもしないことをペラペラとしゃべる。
やっと、口を閉じたかと思うと、許可もしないのに頭を上げて雪を見る。
五十代くらいだろうか、目元に皺が刻まれている。そして、整えられた髭は、より一層彼が傲慢な男だと形容していた。背格好は細身の長身。
ただ、細身とは言っても民のような飢餓ではない。肉付きは良く、着ているものも絹であしらわれた一級品。民が飢えているというのに贅沢三昧のようだ。
「お前が大変だったこと、よく分かった。今日はそれを説教しに来たわけではない。」
「寛大なお言葉を、賜り心よりお礼申し上げます。」
「そんなことは良い。私が聞きたいのは民を極刑に処した件だ。」
「その件でございますか…」
急に暗い顔をする蓮季は、言い辛そうな様子で続ける。
「あの民には気の毒なことをいたしました。」
蓮季の反応は雪の予想と違っていた。慌てるかと思ったが、彼は全く落ち着いた様子で、民を憐れんだ様子を見せる。
これが演技なら少々厄介な相手かもしれないと雪は感じる
「あの民は子が二人おりまして、昨年の不作で生活が困難だと聞いて、色々と気にかけていたのです。」
「それは真か?聞いた話ではお前が処罰したと聞いているが?」
雪の問いに蓮季はとんでもないと、大げさに目を見開き驚いた顔をする。だけど、すぐに悲しみに暮れた表情に戻ると、俯き手で涙をぬぐうような仕草を見せる。本当に泣いているのかまでは雪には見えない。
「あれは、私の部下が勝手に行ったことでして…私が気づいた時にはもうすでに…」
「つまり部下が勝手にやったことで自分は関係ないと?」
「まさか、とんでもございません!これは私が至らぬために、起こったことにございます。どんな処罰でもお受け致します。」
平伏する蓮季の表情は見えない。付き添った官吏たちも蓮季に倣う。
「…ただ、私がいなくなると管理している晴嵐は、さらに飢えに苦しむかと…」
「それは、どういう意味か?」
「あ、いえ、決して処罰を軽くしようとしている訳ではございません。私が行っている政策で、民に炊き出しを行っているのです。」
「ほう。」
「嘘ではございません。ただ、旅民にお願いしているので、証明することはできないのですが…」
「疑っている訳ではない。」
恭しく頭を下げる蓮季の表現は全てがわざとらしく見える。別に、黎夕から話を聞いたから疑っているという訳ではなく、雪の感がそう言っている。この男は裏があると。
ちなみに、旅民というのは、どこの国にも所属せず色々な場所を転々と移動し、一つの場所に留まらない民族を言う。遊牧をしている旅民もいれば、雑技を見せて生計を立てる旅民もいる、生業としていることは様々であった。
「何故旅民なのだ?官吏にやらせれば良かろう?」
「官吏は日々の業務に追われており時間を作るのが難しいのです。そこでよく晴嵐に訪れる旅民に頼んでいるのです。
それに、官吏よりも炊き出しなどの料理に彼らは手慣れておりますから…適材適所という訳です。」
「なるほどな。…ちなみに、民を罰した官吏に会うことはできるか?」
「そ、それは…」
「どうした?都合が悪いのであれば、別に日を設けても構わないぞ。」
「い、いえ…彼は自害したのです。」
雪は耳を疑う。それは表情に出てしまったようで、雪の顔を見た蓮季が慌てて続けた。
「責め立てたわけではございません。ただ、民の状況を話してどうしたら良かったのかを説きは致しました。
もともと、変わり者で周りに友もいなかったようで、独りでいることが多い官吏でして、思い詰めてしまったようです。私がもっと早く気が付いていれば…」
悔しそうに顔を歪めて再び俯くと、涙をぬぐう仕草をした。
だけどやはり、雪には本当に泣いているのかは分からなかった。
空南の首都-晴嵐にある王城の門前。
少し緊張気味な声で迎えてくれるのは、空南の王で名を黎夕と言った。
あれから三日後に雪は羅芯を出て、数日で晴嵐へと到着した。
門の奥に見える城内は、バタバタと騒々しい。それはそうかと苦い笑みが漏れる。
綾が伝令を出したとは言え、正式な形ではなく羅芯の王が王弟を突然訪問するのだ。何事かと、慌ただしくなるのも無理はないだろう。
そう思いながら、雪が王城の門前で待っていると、王弟自ら出迎えに来たという訳だった。
本来、王弟は平伏する必要はない。やらないと言う訳ではないが、簡略の礼で問題ないのだ。だけど、目の前の空南の王は平伏していた。
「なに、そう焦らずとも良い。ただ様子を見に来ただけだ。」
雪がそう言っても、黎夕は平伏したまま面を上げようとはしない。よく見れば地に着いた手は振るえている。
「あまりに突然のご来訪でしたので…先日の会議で使者が何か失礼な発言でもあったのかと…。」
その通り。と、雪は答えたい衝動にかられたが、その言葉をなんとか飲み込んだ。
と言うのも、この男、とても気が弱いのだ。だからこそ必要もないのに、平伏しているのだろう。雪の機嫌を損ねないようにと。
この黎夕は雪と違って気が弱いことを隠せていない。そのため、官吏に良い様に使われているというのがもっぱらの噂だった。
「そう言う訳ではないから心配するな。」
雪華の中では極力優しい言葉を出したからか、やっと黎夕は顔を上げてくれる。
その上げた顔はまだ若く幼い。雪華よりも年上と聞いているが、それよりも年下に見える程だ。
ちなみに、王の中では雪の次に若い。誠実で心優しい人物なのだが、物を知らず自分の領地のことを理解できていない。これも問題のひとつだ。
「いや、ただ空南が不作で苦しんでいると、使者から報告を受けたのでな。国の様子を見に来たのだ。」
「…そうでしたか。」
ホッと胸をなでおろして、少しは緊張が解けたのか黎夕の表情が和らいだ。
「実際のところどうだ?」
「そうですね…陛下のおっしゃる通り、昨年の不作で蓄えることが出来ず、冬で食料が尽きたと聞いております。
特に、郊外の方が酷いようで、民からの訴えも多く来ているそうです。」
「実際に黎夕が見ている訳ではないのか?街は、こんな目と鼻の先にあるというのに。」
それを聞いて黎夕はあからさまに狼狽えてしまう。これが、彼と雪の大きな違いだ。迷いは隙を作る。その隙は他人に利用され、侮られる。だからここ空南はお飾りの王と言われ、官吏が偉そうなのだ。
「…もう少し、この国の話を聞かせてもらおうと思う。良いか?」
「え、ええ!もちろんでございます。このようなあばら家ではございますが、どうぞ中へ。」
「…あばら家か。」
雪の呟きは黎夕には聞こえなかったようで、彼は立ち上がると城内へ先導して入っていく。雪はその立派な造りの城を見て、どれだけの金を注ぎ込んで建てたのだろうかなどと考えていた。
莫大な金で建てただろうと言うことだけ、はっきりとしている。
ふぅ。と、ため息をついてから、城内へと彼の後を追った。
客間に案内されると、黎夕は官吏に呼ばれたようで部屋を出ていってしまう。少しして、使用人がお茶と簡単なお菓子を運んでくれたが、雪はお菓子を断り、使用人たちで食べるように伝えて持って帰らせた。その時の使用人は一瞬驚いたが、すぐに嬉しそうな笑みを向けて雪に礼を言うと部屋を出ていった。
雪と綾だけになった部屋でお茶を啜りながら、しばらく待っているが黎夕は戻って来ない。このまま居ても無駄に時間だけが過ぎると、雪は綾に身なりを整えてもらってから自ら王室へと向かった。
使用人の案内で部屋に入れば、彼は椅子に座り難しい顔をしている。だが、こちらに気付くと慌てて立ち上がった。
「なにか問題でも起こったか?」
「い、いえ…そ、その…」
言い淀む黎夕は、ちらりと部屋に控える官吏を見る。それに気が付いた雪は大事な話があるからと、その官吏に部屋を出るように伝える。
不満そうな顔をしていたが、流石に雪華には逆らえなかったのだろう、渋々と言った様子で部屋を出て行った。
「それで、どうした?」
「ええっと…空南では、この時期に徴収する貸与税というものがあるのですが…」
ご存じでしょうか?と、恐る恐る見るので頷けば安堵のため息を漏らした。
「あぁ、国が所有する土地を使って、農作する者が支払う税金だな。」
「はい。晴嵐にもその土地がいくつかございます。そこに無断で、民が農作を始めたという報告を受けました。」
黎夕の言葉に、雪は当たり前だろうなと思う。民は飢えているのだ。つまり金なんてないし、売れるものもない。だけど、腹は減っているのだから、金を稼ぐために農作を始めるのは普通の事だろう。
徴収なんてあとでも構わないのだ。それで何を悩むというのだろうかと、雪は頭を捻るが思い付かなかった。
「一刻も早く食糧を得たいと民は考えるだろうから、それくらい見当がついていたことではないか。」
「え?」
「まさか、そんなことも考えていなかったのか?」
「も、申し訳ございません。思い至りませんでした。」
黎夕の言葉に雪は呆れた。だが、と、思い直す。彼が無理でも他の官吏が誰一人気付かないなど、あり得るのだろうか?と。
「官吏から、そのような意見が上がらなかったのか?」
「はい…」
「ということは、対策も考えていないのだろうな。」
「はい。」
「…では、その民を見逃すしかないのではないか?」
「そ、それが…」
言いにくそうにして、一度口を閉じる。それが焦れったくて、雪は少し声を荒げた。
「なんだ?早く申せ。」
「ち、勅任官の命で、極刑に処したそうなのです。」
黎夕の言葉に耳を疑った。勅任官は官吏の中でも、より権威のある役職だ。官吏には役職があり、下級官吏である判任官から始まり、奏任官、勅任官、親任官という順で位置づけされていた。
奏任官以上をまとめて高等官と呼ぶ。
その中でも勅任官は、王の補佐的な存在である親任官の右腕、と言って良いだろう。ちなみに、綾はこの高等官を束ねる最高位にある親任官だ。
簡単に言えば、勅任官は国で三番目に偉いことになるのだが、そんな地位にいるものが、飢饉に困る民を裁いたと、黎夕は言ったのだ。
税を払わないと重い罪に問われるのは、どこの国でも同じだが、今の空南は状況が状況だ。普通は税金を免除して民の負担を減らし、貯めていた税で民を救うのが国の役目のはずだ。
だが、空南はそれとは正反対に、民が貧困だというのに税の徴収は緩めず、助けようともしない。それなのに、罰則だけはしっかりと与える。
雪は痛む頭を押さえるように額に手を当てて、呆れ顔で黎夕を見れば、怯えたように振るえているだけ。その姿に王としての誇りはないのかと腹が立ち、気づくと責め立てるような口調になっていた。
「どこまで民を苦しめれば気が済むのだ?お前は民を…この国を滅ぼしたいのか?」
「滅相もございません!」
「では、どうしたいのだ。」
黎夕は雪の問いに涙して答える。その姿は王として相応しくない。上に立つ者なら気を強く持たなければいけないのに、黎夕にはそれが全く出来ていなかった。
「私はただ民を救いたいのです。」
「では、そうすればよかろう。官吏の好きにさせていては、この国はダメになる。何を躊躇うのだ?」
「…私は王の中でも若いために、官吏に軽視されているのです。特に高等官の地位にいる者は、取り合ってもくれません。今回の件も、私に相談はありませんでした。」
「それは年齢ではなく、お前の態度の問題だろう。私はお前より年齢で言えば下になる。だが、官吏に侮られることはない。そうさせないと言う方が、正しいかもしれないな。」
「お恥ずかしい限りです。」
「…高等官でない官吏…判任官の中にはいないのか?お前を支持する者は?」
雪の問いが意外だったのだろう、黎夕はきょとんとした顔をした。
雪だって、黎夕が私腹を肥やすことしか考えないような、どうしようもない人間であれば、首をはねていたかもしれないが、彼はそういう訳でもない。民のことを考えている。
ただ、知識と自信がないだけなのだ。そして、官吏に恵まれなかった。雪との違いなんてそれくらいだ。
「判任官には私を支持してくれる者が、数名ですがおります。」
「では簡単なことだ。高等官の首を撥ね、指示する者を高等官にすれば良い。
もし、高等官の数が支持する判任官を勝るのであれば、狡猾な者を優先して首を撥ねれば良い。権限が強いだけの阿呆は残しても問題ないだろう。
曲がりなりにも、お前は王なんだ。そうできる権限はある。」
雪の言葉に黎夕は、悩んでいるようだった。少しの沈黙が走るが、少しして彼は何かを決意したようにこちらを見る。
「…実は、先程話した勅任官ですが名を蓮季と言いまして、これが筆頭となり私利私欲だけで動いているのです。
あまりに勝手が過ぎるからと、辞任させようとしたことがあるのですが、なんだかんだと理由を付けられて辞任させることが出来なかったのです。」
「だからなんだと言うのだ?」
「えっと、で、ですから、私が官吏を解任したくても…その、難しくて…」
「黎夕、お前は何の話をしているのだ?私は解任させろなどと言ってないぞ。」
「え?しかし…」
「首を撥ねろと言ったのだ。分からないか?殺せと言うことだ。」
「しかし、それはあまりに…」
「惨いか?だが、お前がこの国をこのようにしたのだ。お前はその責任を取らなければいけない。」
「…はい。」
「官吏が王の言うことを聞かないなど、本来ならあってはいけないことだ。まずはそれを変えなければ、この国を変えるのは難しいだろう。
…それには見せしめが必要だ。お前はこの国の王なのだ。その権限はある。」
黎夕はボロボロと涙を零す。可哀想だと思わないわけではないが、これは彼の問題だ。
雪が権威を見せてもこの国を変えることは出来ないのだ。
「それに、高等官は民を苦しめ見殺しにしているんだ。そいつらを止めない限り、多くの民が死ぬことになるのだぞ。」
雪の冷たいとも思える言葉に、黎夕はただただ涙を流す。だけど、この判断を間違えれば何千万という民が死ぬかもしれないのだ。
それが分かっていても動けないでいる、哀れな子犬のような王を見て、雪はため息が出た。
「はぁ…では、その蓮季に会うことは可能か?」
「蓮季でございますか…」
鼻をすすりながら、机の上に置かれた木板を確認する。どうやら高等官の登庁が、分かるようになっているらしい。
「明日、こちらに登庁する予定です。」
「では、明日まで滞在させてもらいたい。問題ないだろうか?」
「もちろんでございます。すぐに、部屋を用意させますので。」
「待て。その顔のまま官吏の所に行くつもりか?」
「え?」
涙で目を腫らした黎夕の顔を見ながら言うと、黎夕は壁にかけられた鏡を見る。頬を恥ずかしさで赤く染めてあわてふためく。その姿はなんだか可愛く思えて笑えてしまう。
「これを使うと良い。」
「あ、ありがとうございます。」
雪が渡した手拭いを受け取ると、目を擦るように涙を拭き取る黎夕。
「待て待て。それだと余計に目が腫れる。こういう時は押さえるようにして、拭うのだ。」
「は、はい。何から何まで申し訳ございません。」
「気にするな。…冷やした方が良い。その水差しで濡らして、目元にしばらく当てておきなさい。」
言われた通りに、黎夕は涙を拭ってから、水差しの水で濡らすと、目に優しく押し当てる。
「少し座って休め。それから官吏を呼んでも、問題なかろう。」
「はい…」
「…先ほど見ていた木板は黎夕が?」
「え?…ええ。高等官とは連絡を取り合うことが多いので、どこにいるかを把握できた方が良いかと。
ですが、全てを紙に書いていては、紙が大量に必要になるので、使い回せるようにと作りました。」
そう言うと木板を見せてくれる。それには高等官の名前と日付の表となっており、城に来る日に印が置かれていた。
印も針がついたもので、木板に何度刺しても使えるように工夫されている。
「これを他に使用している者は?」
「いえ、ほとんどの官吏に鼻で笑われてしまいました。あっ、玉廉は欲しいと言ってましたね。」
「玉廉か。」
「はい。雲山を管理している勅任官です。」
「他は?」
「そうですね…数名の官吏が、仕える高等官を把握するために使用しているとは聞いております。」
「そうか…それ、私にももらえるか?」
聞けば黎夕はきょとんとした顔をした。
「陛下が使うのですか?」
「そうだが、ダメだったか?」
「い、いえ。そんなことはございません。ただ、我が国の高等官には馬鹿にされてしまったので…」
「フフ、お前のところの高等官は余程優秀なのだな。」
「どうなのでしょうかね…」
黎夕は寂しそうに答える。おそらく、相手にされなくて高等官の技量も分からないのだろう。
「お前がそんなことでは、先が思いやられるな。」
「も、申し訳ございません。」
「私の親任官は優秀だぞ。私の予定を全て把握して動いているし、誰がいつ登庁しているか把握しているんだ。彼女に任せておけば間違いない。」
「羨ましいです。」
「お前にだってつくれるはずだ。お前を支えてくれる官吏を探しなさい。」
「はい。」
黎夕は疑問が浮かんだのか、不思議そうな顔をこちらに向ける。
「陛下、親任官が予定を把握されているなら、木板は不要なのでは?」
「悔しいじゃないか。いつも把握されているって言うのも。だから、たまには驚かせたいのだ。私だって高等官の予定を把握しているのだとな。」
ニッと、笑ってしまって、雪華らしくないかと思ったが、目の前の王弟は今日初めて笑顔を見せてくれたので、雪は良しとすることにしたのだった。
―次の日、王室で黎夕と共に蓮季の登庁を待っていたが、なかなか登庁してこず、雪は退屈し黎夕はみるみる落ち着きをなくしていった。
今更、官吏の仕事振りが悪くても、黎夕に小言を言うつもりなど雪にはなく彼に声をかけたが、返って彼の不安を煽ってしまったようだった。
結局、蓮季が姿を現したのは昼に近い頃だった。
驚いたことに、彼は部下とともに王室に入るなり平伏して、ことの経緯を話し始めた。
内容としては、何故この時間の登庁になったのか、誰が悪いのかなど、まぁ聞きもしないことをペラペラとしゃべる。
やっと、口を閉じたかと思うと、許可もしないのに頭を上げて雪を見る。
五十代くらいだろうか、目元に皺が刻まれている。そして、整えられた髭は、より一層彼が傲慢な男だと形容していた。背格好は細身の長身。
ただ、細身とは言っても民のような飢餓ではない。肉付きは良く、着ているものも絹であしらわれた一級品。民が飢えているというのに贅沢三昧のようだ。
「お前が大変だったこと、よく分かった。今日はそれを説教しに来たわけではない。」
「寛大なお言葉を、賜り心よりお礼申し上げます。」
「そんなことは良い。私が聞きたいのは民を極刑に処した件だ。」
「その件でございますか…」
急に暗い顔をする蓮季は、言い辛そうな様子で続ける。
「あの民には気の毒なことをいたしました。」
蓮季の反応は雪の予想と違っていた。慌てるかと思ったが、彼は全く落ち着いた様子で、民を憐れんだ様子を見せる。
これが演技なら少々厄介な相手かもしれないと雪は感じる
「あの民は子が二人おりまして、昨年の不作で生活が困難だと聞いて、色々と気にかけていたのです。」
「それは真か?聞いた話ではお前が処罰したと聞いているが?」
雪の問いに蓮季はとんでもないと、大げさに目を見開き驚いた顔をする。だけど、すぐに悲しみに暮れた表情に戻ると、俯き手で涙をぬぐうような仕草を見せる。本当に泣いているのかまでは雪には見えない。
「あれは、私の部下が勝手に行ったことでして…私が気づいた時にはもうすでに…」
「つまり部下が勝手にやったことで自分は関係ないと?」
「まさか、とんでもございません!これは私が至らぬために、起こったことにございます。どんな処罰でもお受け致します。」
平伏する蓮季の表情は見えない。付き添った官吏たちも蓮季に倣う。
「…ただ、私がいなくなると管理している晴嵐は、さらに飢えに苦しむかと…」
「それは、どういう意味か?」
「あ、いえ、決して処罰を軽くしようとしている訳ではございません。私が行っている政策で、民に炊き出しを行っているのです。」
「ほう。」
「嘘ではございません。ただ、旅民にお願いしているので、証明することはできないのですが…」
「疑っている訳ではない。」
恭しく頭を下げる蓮季の表現は全てがわざとらしく見える。別に、黎夕から話を聞いたから疑っているという訳ではなく、雪の感がそう言っている。この男は裏があると。
ちなみに、旅民というのは、どこの国にも所属せず色々な場所を転々と移動し、一つの場所に留まらない民族を言う。遊牧をしている旅民もいれば、雑技を見せて生計を立てる旅民もいる、生業としていることは様々であった。
「何故旅民なのだ?官吏にやらせれば良かろう?」
「官吏は日々の業務に追われており時間を作るのが難しいのです。そこでよく晴嵐に訪れる旅民に頼んでいるのです。
それに、官吏よりも炊き出しなどの料理に彼らは手慣れておりますから…適材適所という訳です。」
「なるほどな。…ちなみに、民を罰した官吏に会うことはできるか?」
「そ、それは…」
「どうした?都合が悪いのであれば、別に日を設けても構わないぞ。」
「い、いえ…彼は自害したのです。」
雪は耳を疑う。それは表情に出てしまったようで、雪の顔を見た蓮季が慌てて続けた。
「責め立てたわけではございません。ただ、民の状況を話してどうしたら良かったのかを説きは致しました。
もともと、変わり者で周りに友もいなかったようで、独りでいることが多い官吏でして、思い詰めてしまったようです。私がもっと早く気が付いていれば…」
悔しそうに顔を歪めて再び俯くと、涙をぬぐう仕草をした。
だけどやはり、雪には本当に泣いているのかは分からなかった。
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