うり坊、浄化で少女になった

秋の叶

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村の居候

特技

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 昨晩、マサとキヨは夕餉の時刻になっても帰らない私を心配し、マサがジロウの所へ迎えに行ったそうだ。
 ところが午前中に仕事をして午後には来ていなかったと知る。
 じゃあ、午後からどこへ出かけたんだ?と考えても、マサもキヨもしのが町へ買い物に行く様子しか思い浮かばない。
 町から帰ってくる村人に、しのを見なかったか?と聞いても誰も見ていなかった。
 
 どこかで魔獣に襲われたか、誰かに攫われたか、迷子になっているかと周辺を捜してみるがいない。
 日が暮れると捜索が思うように出来ないため、一旦諦めて夜が明けるのを待つことにしたそうだ。
 
 碌に眠れないまま朝になり、私がひょっこり村に帰ってきて驚くやら安心するやらだったという。

 本当にすみません。
 うっかり魔力を使い過ぎて、こんな事態になってしまいました。とは言えない。
 転移魔法の事は話していないから、遊んでいて夢中になって夜になったと言うに言えない。

 自分の孫のように叱ってくれる様子に申し訳なく思いつつも、優しさが嬉しくなった。
 今度からは行き先を告げるように言われたけれど・・・どうしたものか。


 午前中はキヨの監視の元、編み物をする。
 午後はジロウの所に行き、ここでもお叱りを受ける。
 すみません、以後気を付けます。と言って付与魔法をした。

 就寝前に山の上で颯に会い、昨夜の事を話すと大笑いされた。
「しっかりしてそうなのに、変なところでうっかりしてるんだなぁ。」
「いやぁ、自分でもびっくりしましたよ。でもごろ寝が出来るので、夏で良かったと思ってます。」
「そうだなぁ。周囲の様子を見ると、まだ物資が揃っていない感じだもんな。」
「私達の元の環境から見ると、道のりが遠いです。戦国時代じゃないだけましかもしれませんが・・・。」

 どちらからともなく『はあ・・・。』とため息をついた。

「君は今後もお世話になっている家に住むのかい?」
「うーん、お世話になり過ぎるのも良くないなと思っているんですけど、いかんせん子供なので、何をするにも保証人というか、責任者がいないと成り立たないんじゃないかと。」
「だよなー。それを言ったら、俺もどんな姿で人間に戻れるのか。」
「下手に遠いところで人間になったら、ここまで戻ってくるだけでも大変ですよね。」
 私がそう言ったところで、颯がはっとする。
「そうだった!・・・いや、飛行魔法があるじゃないか!それでぴゅーっとくれば良いんじゃないか?」
「飛んでいる人を見た事が無いので、気を付けてくださいね。」

 なかなか物事は進まないようだ。



 盆休み無断外泊事件からひと月ほど経過した。
 あの後もせっせと塀の魔道具に魔力を入れているので、順調に自分の魔力が増えているのを実感する。
 遠方の町の探索はこっそり続けているので、マサ達が知ったら叱られるだろうけれど、もう失敗する気はないので、慎重に事を進めている。
 
 セーターも何とか一枚出来上がった。
 完成品を見てキヨ達の作成意欲に火が点いたのは言うまでもない。
 きっと今年の冬は村人が暖かく過ごせるんじゃないかな。

 颯は二カ所の魔道具に魔力を入れられるようになったそうだ。
 更に他の山で魔石を拾ってジロウに売却したので、金貨を受け取っていた。
 大きな魔石を拾うとそれなりにいい値段になると知り、山の中を隈なく探索している模様。
 今の所、衣服にお金がかからないので貯蓄出来ているようだけれど、使う頃には意外な出費になるからなぁ。

 それでですよ。
 季節は秋に移っているので、生活面では布団を準備したいと思ってます。
 いや、これがまた驚きな事に私が認識している寝具が無いの。
 夏だから開放的に寝ているかと思ってたんだけどね?
 布団が高級品だった。
 衣類事情が落ち着いたと思ったら、安眠事情が降ってきたわけですよ。
 
 そして食事面。
 これが今の私の悩みどころ。
 このところ山から良い感じの香りが漂ってくるんです。
 秋といえばキノコ、元猪のせいか鼻が利くから、キノコ採りをしたい誘惑に駆られています。
 結界魔法を使って村のすぐそばの山に入ったら怒られるかなー?
 大きな籠を借りたいし、マサに相談してみようかな。


 学び舎が休みの日の朝、意を決してマサに相談する。
「マサさん、大きな背負い籠を貸してもらう事は出来ますか?」
「籠?あるけど何に使うんだ?」
「キノコが採れそうなので、危なくない場所で採りたいなと思って・・・。」
 腕を組んで唸り始めるマサ。
「キノコはなぁ、毒があるから難しいんだよなぁ。」
 あー確かに、下手をすると食中毒や火傷などの大怪我、死亡案件になる採取物だ。
「私、鑑定魔法があるので見分けられます。」
「おっ?そうだったのか?じゃあ、いいか。絶対に魔獣がいるような場所に入るんじゃないぞ。」

 やった!許可が出た!
 こんなに大きな籠で大丈夫か?と聞かれたけれど、一つ二つしか採れなくても許してくださいねと冗談を言って借りた。
 籠を借りられたらこっちのもの。
 結界魔法を使ってこっそり山の中に入り、ニオイに導かれ、鑑定で確認してインベントリにキノコを入れていく。
 夢中になってどんどん入れると、香りが強くて丸い形のキノコがあった。
 これはもしや・・・鑑定するとトリュフだった。
「うわー、トリュフといえば高級食材じゃない?・・・でも、普段の食事でこれって出番がないんじゃ・・・。洋食文化の教会関係者だったら食べる?売れそうだったら売るのもありかも?採れるものはとっておこう。」
 すぐに売れなくてもインベントリに寝かせておくのも有りかもしれない。
 ふっふっふっふと、捕らぬ狸の皮算用が脳内を占める。
 
 身体強化と結界と自分の嗅覚と鑑定を駆使し、お昼までみっちりと採取した。
 村に戻る直前に背負い籠にキノコを入れようと思ったけれど、入りきらないほど採れていて驚いた。
 数日に分けて渡すしかないなぁ。

「ほぉ、こんなに収穫できたのか!しのはキノコ採りの名人だったんだなー。」
「まだあったので、また後で採りに行っても良いですか?」
「何!そんなにあるのか?近所にも配らないとな。」
 うんうん。
 
 昼食後ジロウの所へ、ザルに入ったキノコを持っていくと、秋の味覚を喜んでくれた。
 いつも通りに付与をして、代金を受け取った後、再び籠を借りて山へ行く。
 午前中とは違う場所でせっせとキノコ狩りをし、適度な時間で切り上げた。
 インベントリから籠に移すと、やはりいっぱいになったので、近所に配る。

 夕飯は焼きキノコにキノコ汁、キノコご飯とキノコ尽くしを堪能できて満足。
 秋の間中、私はキノコ採りに邁進した。
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