うり坊、浄化で少女になった

秋の叶

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村の居候

上着と枕

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 章の項目を追加しました。
 設定の際、話が前後したり、一時的に非公開にするなど、色々とご迷惑をおかけしました。

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 文字伝達の魔道具は、結果的にどちらも採用になった。
 石板にチョークのようなもので書くか、木の板に墨やインクで書くかの違いになる。
 墨やインクの代金を考えると、石板タイプの方が好まれる気配だけれど、現段階で日常的に準備できるものが墨なんだよね。
 次の通信を書きたい時は洗浄で消せばOK。

 そんな事情もあって、両方作る事になった。
 魔道具は各種三組ずつ作る事になったので、合計で銀貨一枚と銅貨八枚を受け取る。
 他に目覚まし時計の魔道具付与の代金として、五個分の小銀貨三枚。
 マッサージの魔道具付与代を三個分、小銀貨三枚。
 呼び出しの魔道具の付与代として、五組分の小銀貨六枚。
 合計で銀貨2枚と小銀貨二枚と銅貨八枚になる。

 毎日コツコツと働けば、五日で金貨一枚が確実に稼げるようになった。
 ちなみに、呼び出しの魔道具の付与は私が行っているけれど、魔道具を作っているのは別の職人さんだ。
 一人で全部抱え込んでも追い付かないし、分散して色んな人が関わるとそれぞれ収入が得られて良い。
 半月くらい様子を見て、他の付与師が魔法を付与出来るようになったら、呼び出しの魔道具に関しては村の中でほぼ行き渡ったこともあり、完全に任せても良いんじゃないかという話になっている。
 その場合は収入が減るけれど、その頃にはある程度貯蓄出来ているから問題ない。はず。
 また何か考えるかもしれないしね。

 フットマッサージの魔道具は宿屋や富裕層で大人気だそう。
 製作が面倒だろうけれど、単価が高いのでジロウはマホと共にせっせと作っている。
 順調に結婚資金が貯まって、現在は村の中に新居兼工房を建築中なのだそうだ。
 一階に工房と駐車場、二階がプライベート空間になると教えてもらった。
 幸せそうでなによりです。
 新居の備えとして、結界の付与をした魔石を贈った。
 キノコ採りをしていた時に、大きな魔石を拾って保管しておいたのを使った。
 災害があっても耐えられる家づくりになるはず。
 

 颯は爪で書き込んだ部分に土で色を付けた文字を頑張って書いて伝達してくれる。
 私からの返事を読み終わったら洗浄で消して、修復魔法で道具を整えているそうだ。
 魔法の練習になっているというので、ついでだから学び舎で学んだ文字を紙に書いて渡した。
 この世界の文字も今までと少し違うから、知っておくと後で役に立つはず。
  
 
 シクゼンの革屋に上着や靴を注文して十日ほど経過したので、再び行ってみた。
「お嬢ちゃん、いらっしゃい!両方とも出来てるぞ。」
「上着だけじゃなくて靴もですか?嬉しいです。」
 両手をぽんと叩いてジャンプする。
 子供っぽい仕草だけれど、見た目は子供だから許してほしい。
 
 早速仕上がった物を試着する。
 上着は指定した通り、バサッと着られるケープのようなレインポンチョのような作りだ。
 長さはふくらはぎ辺りまであるけれど、身長が伸びたら裾の折り返し部分を伸ばせるように加工してもらっている。
 着た瞬間から暖かくて、思わずにんまりしてしまった。

 靴はワラビーにしてもらった。紐を結ばなくてもいいデザインにしてもらったので、個人的にとても楽。
 焦げ茶色の落ち着いた色で、歩きやすそう。

 店内を見ると靴の見本がいくつかあった。
 先日転写して渡した型で作っていたようだ。

「お嬢ちゃん、どうだ?問題は無さそうか?」
「はい!しっかりと仕上げてくださってありがとうございます。」
「そうか、では預かり証を受け取ろう。」 
 木の板に書かれた文字を洗浄で消して、取引が終了した。

「新しい靴はかなり好評だよ。客が増えて他の職人にも一緒に作ってもらっているぞ。」
「それは良かったです。また何かあったらお願いしても良いですか?」
「おう、いつでもいいぞ。」

 革のお店を出た後は、布団屋へ行く。
 何を買うかって?枕です。
 思いっきり忘れてたんだよね。枕の事。
 布団の値段にびびって思考から飛んでいたというのもあるけれど、寝具と言えば枕も必須だよね。
 
 挨拶をして店に入ると、高級品を買った子供を覚えていたのか、お店の旦那さんがにっこりと笑顔で迎えてくれた。
「おや、お嬢ちゃん、今日は何かお探しかい?」
「枕が欲しいんですけど。」
「枕はお嬢ちゃんにはいらないんじゃないかい?買うなら木材加工所だよ。」
 ・・・。
 比較的安価で一般的な物って木の枕だったり、そば殻やもみ殻で作るくくり枕だったか。
 あれは辛い。
 今までどうしていたかって?何も使わずに雑魚寝ですよ。

「えっと、綿の枕を作りたいので、綿を売っていただくことは出来ますか?」
「綿で作る枕だって?」
 目を丸くした旦那さんが、商機を捉えたのか、しのに詰め寄る。怖い。
「これくらいの大きさの袋を作って、中に綿を詰めたいんです。」
 そう説明すると、時間が有るか聞かれたので、有ると答える。
 旦那さんは店番を他の人に交代し、私を連れて作業場へ移動した。
 作業場の一画で布団用の布を渡される。
「これで必要な大きさに切って作ってみてくれるかい?」
 
 まさかの実地である。
 裁縫道具を借りて布を切り、長方形の袋を縫っていく。
 手芸魔法のありがたさを実感しながら、チクチクと縫い、袋をひっくり返して用意してもらった綿を詰めて袋を閉じ、完成した。
 ぽんぽんと形を整えて、旦那さんに許可を貰って横になり、枕に頭を乗せて感触を確かめる。
「こんな感じです。」
 起き上がって言うと、顎に手を当てて唸っている旦那さん。
「使う布の量は・・・綿の量は・・・。」
 ぶつぶつと脳内でそろばんを弾いている気配。
 
 少しして、キランと目を光らせたような気がした。
「お嬢ちゃん、今後、これを売ってもいいかい?」
「売ってくれるんですか?」
「あー、今作ったものはともかく、ここで同じ物を作って売ってもいいかい?」
「良いんじゃないですか?」
「お嬢ちゃんの権利を買い取る形でもいいのかい?」
 この流れはあれか、商標とか特許の流れか。面倒だな。
「登録についてはお任せします。私が権利を主張する事はありません。」

 個人的には枕のデザインが増えると更に嬉しいので、大きさや形、中に入れる素材の話をした。
 試作品を他の職人さんが縫い始める横で、旦那さんは更なる商機にほくほくしていて、完成した枕を三つ現物支給してもらう事で話し合いが終わった。
 
 ふふっ、安眠指数が上がりそう。
 これで衣類、履物、寝具が揃った。

 帰宅したしのがマサとキヨに枕を渡すと、またもや『お金を使って!』と叱られたのは言うまでもない。
 考案した報酬としてただで貰ったと伝えたら謝られたが、心配してくれてありがとうございます。

 ジロウに事の顛末を話したら、新居に布団と枕を準備したのはそれから少し後の事。


 翌日は朝から強い風が吹いていた。
 山の木が強風で回転するような勢いで揺れている。
 ごうごうとそこら中から聞こえる大音量に鼓動が速くなる。
「しの、嵐の気配だから今日は学び舎は休みだ。」
 朝ご飯を食べながらマサが言う。
「この天気、嵐だったんですね。怖くてどうしようかと思ってました。」
「これからもっと酷くなるだろうから、戸締りをしっかりして家に籠るぞ。」

 マサが言っていた通り、強風に加えて大雨が降ってきた。
 ドォー!っとバケツをひっくり返したどころじゃない勢いの雨の音と、風による家の揺れが怖すぎて、布団を引きずってマサとキヨのそばに行き、布団にもぐって小さくなっていた。
 家が壊れたらどうしよう・・・。村が損壊したら嫌だな。
 復旧が大変なだけじゃなく、人的被害が出るのも嫌だ。
 まるごと守れる何か・・・あ!結界!
 
 私はありったけの魔力で結界魔法を使った。
 限界まで魔力を使ったせいか、そのまま意識が暗転した。


 翌日は台風一過の良い天気。
 村に嵐の影響はなかったが、山の中や周辺では倒木や飛来物があった。
 建物の損壊は修復魔法で順番に行われていて、結界魔道具が設置された家は全く問題が無かったそうだ。
 魔法のある世界は復旧が早くて便利だとつくづく感じたけれど、気象衛星による天気情報も欲しいと思う。

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