うり坊、浄化で少女になった

秋の叶

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教会の下宿人

休日

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 朝は結界魔法の付与をし、日中は学院で勉強、学院の後にソーギで魔石の付与をして、夕飯後にアンから個人授業を受ける。
 空いた時間に一人だったり、蓮と一緒だったりで行ける地域を拡大していく。
 もちろん道路の魔道具には忘れずに魔力を入れている。
 そんな日々が数日過ぎた。

 今日は休日です。
 付与の仕事はあるけれど一日自由時間です。
 朝食後の仕事で代金を受け取り、部屋に鍵をかけてソーギに転移した。

「おはようございます蓮さん。」
「しのちゃんおはよう。」
 
 挨拶の後は日課の仕事をして代金を受け取る。
 その後はジェドに転移して、ジロウから預かった魔道具と、時計の魔道具師から受け取った目覚ましの魔道具、蓮が作った髭剃りの魔道具を売りに行く。
 魔道具店が潰れないか心配になるほどの金貨を受け取っていた。

 とはいえ、魔道具店では文字伝達の魔道具も、髭剃りの魔道具もかなり話題になっていたようで、店を営む者や富裕層が『まだ入荷しないのか』と問い合わせに来るほどだったという。
「これでお客さんに売る事が出来る。」
 そう言ってほくほくしつつも、この魔道具店にとってマッサージの魔道具や呼び出しの魔道具も新しい品なので、ますますお店は人気になるのかもしれない。
 商売繁盛でなによりです。

 定期的な販売をしてくれないかと言われていたけれど、この先、颯のホテル建築が本格稼働したらそちらに掛かりきりになりそうな気配なので、約束できないと伝えて店を出た。
 非常に残念そうな顔の店主だったけれど、来週あたりまた来ると思うよ。

 魔道具店に品物を売り終わったら仕立屋さんに行く。
 鼻の下に髭のあるおじ様が蓮の顔を見て『出来上がっていますよ。』と笑顔で言う。
 ベージュのインバネスコートを羽織り、きちんと仕立てられている事を確認して品物を受け取った。
 コートよりも軽い上着も欲しいそうで、今回新たに注文したのはペプラムジャケット。
 ウエスト部分がちょっとだけ絞られた感じのジャケットは蓮の雰囲気によく似合いそう。
 型紙を仕立屋に渡して、グレーの生地で作ってもらう事に決定した。
 同じ生地の細身のズボンと、濃い茶色、黒のストレートのズボンも注文していた。
 細身のズボンは無さそうだったので、こちらも型紙を渡した。
 次からのお客さんは選択肢が増えている事だろう。


 ジェドでの用事が終わったら公衆トイレからカンガへ転移する。
 なんと、この地域にはゴム製品があったんですよ。
 といっても、思っていた品ではなかったのでどうするか?
 進化させるしかないでしょう。
 そんな話になりまして、事前に資料を見てもらった上で蓮に一緒に来てもらい、工場(こうば)の機械をブラッシュアップしちゃえという野望です。

 プレゼンに関しては大人の蓮に丸投げしました。
 子供の私がしゃしゃり出てはまとまる話もまとまらないからね。
 その場にいても違和感と不信感が出そうなので、町の中で別行動をする。
 この地域って織物も盛んなので、見ているだけでも楽しい。
 私が作る服に使うのはもったいないかな?
 でも学院の課題で何か作る予定だった気がするから、買っておけば使えるかも?
 着物用に牛首紬と、寝巻用に着心地の良さそうな布を選んで購入する。
 金貨が消えていったけれど、しっかり仕事をしているから良しとしよう。

 買い物が終わって外に出て文字伝達の魔道具を確認する。
 プレゼンが終わってこれから機械のブラッシュアップに着手すると書かれていたので、付与魔法の出番になりそうだから合流する事にした。

 元々の知識と事前勉強と、趣味とは言え物づくりの経験と、ここ最近の実績で魔道具作成の腕を上げている蓮は大型の機械を一気に組み上げていた。
 一番古い機械を新しく作り変えている最中だった。
 私の顔を見ると大きな魔石を指さす。
 これに付与をしろという事ですね。
 古い機械に設置されていた大きな魔石を手に取り、付与していた効果を消すための浄化をする。
 颯や蓮が人になる時に消費したくらいの魔力が使われて浄化が終わり、その後、新しい機械のための付与をして戻す。

 三時間ほどで魔道具作りが終わった。
 大物なので長時間かかるけれど、これが今までの世界だったら数時間どころか何日もかかる作業だ。
 魔法の便利さよとつくづく感心する。

 試運転し、動きに問題が無いか確認して蓮の仕事が終了。
 魔道具作成の報酬をもらい、最初の品をいくつか購入して帰る事になった。
 今後の連絡用に文字伝達の魔道具を渡されて、工場の責任者が仰天していた。
 機械を増やすか、また別物を作るかは今後次第。

 周辺の魔道具に魔力を入れてからお昼ご飯を食べ、食事が運ばれてくる前に颯に連絡を入れて、食べ終わったら公衆トイレからハマへ転移する。
 待ち合わせ場所に行くと颯が立っていた。
「こんにちは颯さん。ご無沙汰しています。」
「こんにちは颯君。」
「よっ!久しぶり。二人とも元気そうだな。」
 
 一旦颯の家に転移し、お互いの近況を報告しながら手作業をする事になった。
 ホテルの建築予定地はすでに確定していると言うから驚いた。
「建物は俺が建てちゃえばすぐなんだけどさ、それ以外が揃えるのに時間がかかるからなぁ。シーツ一枚、布団一組だって、数を揃えたら相当な量だろう?料理人とスタッフも教育しないとすぐに揃うはずも無いから、これからだよ。」
 いや、たかだか一週間ほどでそこまで話が進んでいる方が驚きですよ?
 昔取った杵柄だとしても、凄い。
 呆気にとられつつも、事前に依頼されていた転写した資料を渡す。
 蓮からは建築時も建築後もあれば使えるでしょうと照明の魔道具を三十個ほど渡していた。
 
 ホテル用の帳面に颯が何を受け取ったか書き込んでいるのを見ながら、分割で払うのか、後からまとめて払うのか謎だけれど、膨大な金額のやり取りになる事を考えてぞくっとした。
 ついでとばかりに大きな魔石を渡され、建築中の目隠し兼結界の付与を頼まれたので付与をして蓮に渡し、魔道具にしたものを颯が受け取る。
 出来上がってから驚いてもらう仕様らしい。
 この魔道具はホテルが完成したら建物の結界魔石に変更予定だ。

「あ、そうだ、ホテルの屋上に俺達が使える住居を作るつもりだが、アパート形式が良いか戸建て形式が良いか教えてくれないか?」

 なんですと?

 たった数日でとんでもない規模に話が飛んで、更に住居ですって?
 貴方本気ですか。
 そうですか、それなら広めのアパート方式を希望します。
 各自プライベート空間って大事だからね。
 そこから間取りの話になって、それも紙に書いて渡す。
 
 ホテルの外側が出来る頃には三階建てのアパートが完成していて、颯はそこで寝泊まりして建築に集中するっぽい。
 むしろ先にアパートを作って作業のたびにインベントリに格納するようだ。
 ホテル建築の頃には魔道具師の蓮もそこに隔離されそうな気がする。
 私は・・・教会の仕事が終わっているのだろうか?
 アパートに必要な魔道具の数を書き出し、魔石を準備して出来る範囲の付与をしておいた。
 
 私はともかく、蓮はこの勢いで課題が積み上げられて鍛えられているんだろうなぁ。
 人間年齢では一番上のはずなのに、なんだか不憫な・・・。

 ついでにホテル客室に必要な冷暖房、照明、風呂&シャワー、目覚ましの魔道具、水差しの魔道具、浄化の魔道具、冷蔵冷凍の小型魔道具、昇降機の数をざっと確認し、誰にどれくらい仕事を振るか話していた。
ホテルオリジナルデザインにしたいというので、最初の一つは蓮が作り、それを見本に各所に割り振るそうだ。
 蓮が倒れませんように・・・あ、回復と治癒を時々二人にかけるようにしよう。

 ベッドは颯が作るとしても、シーツやタオル、室内着やスリッパ、布団なども大量に発注しなければいけない。
 建築に関係ない部分だけれど、全部プロデュースして引渡し、今後のこの世界の快適性を上げたいのだそうだ。
 
 ・・・うん。色々不満がたまっていたのが爆発中なんだね。
 なんとなく理解したよ。

 話し合いがある程度終わり、私は颯を連れてジェドに戻った。

 ソーギの下着店に蓮がゴムを持って行ってくれたお陰で、ゴムを使った製品がようやく出来そうな気配。
 私も自分の分は紐を外してゴムを入れて完成させた。

 やっと、やっと目指していたパンツが出来た!



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