うり坊、浄化で少女になった

秋の叶

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教会の下宿人

住居完成

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 言語理解のお陰で、宗教の授業がとても分かりやすくなった。
 虫食いで文字を読んでいくより、最初から最後まで読める方が理解しやすいものね。
 ずっと謎に感じていたこの世界の教会の役割というか、信仰が少しだけ判明したかも。

 まず、神様と言われているのがアナンケという名前の唯一神で女神様だった。
 村にもあった知らない女神さまの像が、その女神様らしい。
 ベールをかぶった女性の像という認識にしかならないけれど、神様だと言われればそうか。と納得してみる。

 女神様が創造してこの世界を創り、人間や動物には魔石(魂)を埋め込み、その後は生物の運命や秩序を見守っている。
 秩序に従い、正しい行いで命が終わると、浄化によって消えた魂は輪廻転生し、残った魔石は後の命を育む糧となる。
 輪廻転生の輪から外れる事になるのは恐ろしい事と教えられる。
 祈りのお作法、両手共に人差し指と親指で輪っかを作るような形にし、知恵の輪のように組み合わせ、残った指は軽く握る。あれは輪廻転生を表してたんだって。

 教会は魔法をこの地に与えてくれた女神様に感謝し、布教する団体のようだけれど、無宗派で育った私から見ると、政治的な何かが間に挟まって一つの団体になったように思われてならない。
 純粋に信仰している人と、別の思惑があって信仰している人とでは大きな溝がありそうなんだけど。
 考え過ぎかなぁ?

 個人的には『物語』として読んだり聞いたりするのは好き。
 巻き込まれるのは遠慮したいかな?
 ・・・すでに巻き込まれている気がしているけれど。

 で、教会は魔法と共に女神様の姿と教えを広めていて、各地に勢力を拡大した。
 宣教する人の性格によっては過激な地域もあるようだけれど、現在この国の教会の代表は穏健派で、女神様の使途として、回復と治癒、浄化(洗浄)、防御(結界)、真贋(鑑定)、時空(修復)、生活魔法を広めている所なのだそうだ。
 力づくで広めたら反発が多そうだもんね。

 世界でも、この国でも大なり小なり戦争があったのだけれど、教会の介入による大規模な浄化で攻撃性が低くなり、話し合いによって解決していくのが常になったんだって。
 浄化の威力が凄いな。
 大規模浄化が出来る人は限られているらしいけど。

 船で別の国に辿り着いたところで布教しても、現地の人の魔力が少ないと魔法が広がらない、そうなると布教もままならない。
 魔法という奇跡のような現象を目にした方が信仰心をぐっと掴みやすいだろうし、魔法が使えると実感したら使えなかった頃には戻れなくなる。
 魔道具を介して魔法に触れても、魔力が少ないと何度も使えない。
 根本的に魔力を増やして行かないと、女神様から授かった魔法が使えないのは問題だ。
 そうして各地に拠点(教会)を建てつつ、人員を派遣してその国に足りないものを補助しつつ、広めている。

 この国の代表がなんとフェリクスだった。
 偉い人なんだろうな?とは思っていたけれど、この国においての教会のトップだったのか。
 ジェドにきた当初、私に謝罪していた様子を思い出すと確かに穏健派なんだろうな。
 クレマンが穏健派だと聞いたら首を傾げるしかなかったもの。

 そんなこんなで授業では創世記が書かれた本を延々と読んでいる事を理解できた。
 ありがとう言語理解。
 これ、他の国の言葉も翻訳可能なのかな?
 隣の大陸に行って何か仕入れたり出来る?


 一週間ほど経過し、ジロウ達の魔道具と連の魔道具を再びジェドで販売し、蓮の服が仕立て上がり、毎朝の強化徒歩時間では、ジェツィゼンからオミ、オミからジャマシイロ、ジャマシイロからオサッカ、オサッカからイズミへ移動したところだ。
 さて次はどこを回ろうか?と考えている頃、颯からアパートが出来たと連絡があった。
 
 早いな。

 蓮を連れてハマで待ち合わせし、颯の案内でホテル建築予定地へ移動する。
 結界魔道具で隠避されているようで、外側からは何も見えない。
 颯が転移の魔道具を使って三人で転移すると、三階建ての住宅が見えた。
 一階は蓮、二階は颯、三階が私だ。

 魔道具師の蓮の家は玄関を入ってすぐの所に作業用の大きな部屋がある。玄関前というか建物横にも空きスペースがあって、屋内に入らない道具を作る時にはそこで作業できるようになっていた。
 反対側の建物横は颯が建築材料を置いたり加工する場所になっている。
 颯の部屋も玄関を入ってすぐが作業スペースになっていて、既に道具類が揃っていた。
 私の部屋は玄関を入ってすぐが応接兼仕事部屋になっている。
 大きなテーブルを作ってもらったので、魔石を大量に置いても大丈夫だ。
 
 各自の寝室にはセミダブルサイズの木製ベッドが置かれていて、畳が敷かれている。
 マットレスの歴史もかなり現代になってからの物なので、快適な寝心地のためには作りたいんだけれど、いかんせん材料がない。
 布団が出来ただけ御の字なんだろう。
 書き物机兼ドレッサーにもなる机と椅子がある。
 男性も身だしなみのチェックをするから、機能重視でデザインしてもらった。
 鏡って用が無い時は閉じておきたいし、使いたい場面は限られているから。

 リビングには本棚やその内作る事になるかもしれない家電が置けるスペースもある。

 クローゼットやパントリーも広めにしっかりと確保されているし、浴室やトイレ、洗面所やキッチンなどの水回りも狭く感じない。
 コンロの魔道具は三つ横に並んでいるので使いやすい。

 この建物を三人とも使わなくなった場合は、そのまま売りに出す事まで話し合っている。
 なんたって年齢がバラバラだし、異世界に来て将来設計を立てようにもまだ分からないしね。

 それにしてもこの短期間でよく建てたものだ。
 もっと大きな物を作ろうとしているのだから、これくらい出来ないとダメなのか。
 
 隠避している部屋に入るために、蓮にも転移の魔道具を持ってもらう事になり、付与をした魔石を渡す。
 ハマまで移動したら、自分の部屋に移動するくらいなら問題なく使えるだろう。

 私の部屋のリビングで作業をしながら今後の話をする。
「ホテルを建築しても寝具やリネン、カーペットも重要だと思うけれど、揃いそう?」
 この世界に来て自分の使う物を揃えるだけでも難儀したから、気になっていたので颯に聞いてみる。
「それなんだよ。製造している地域の機械の性能を上げたいのと、どこからか揃えないといけないから相談したかった。」
 大きな魔道具となると物によっては颯と蓮が合作した上で仕上げる事もある。
「私に出来る物であれば協力するけれど、この前のゴムの機械みたいに、生産のための何かしらの土台がある地域だと実行しやすいわよね。」

 そういえば、徒歩で拡大している地域がイズミだったので、製造に関する資料を作成し、必要な材料を持ってそこへ三人揃って出かける事にする。

 イズミで目当ての店に入り、プレゼンするのは颯と蓮に任せる。
 子供の私は付与が終われば今回も人材派遣係だ。
 空いた時間は行ける地域の拡大をする。
 時々文字伝達魔道具を確認しながらキノクニ方面を進んでいると、交渉が終わったと連絡が入ったので合流する。

 タオル製造が一気に進化する事になった。
 これが出来れば派生してタオル、バスタオルだけじゃなく、パジャマやガウンに発展するからホテル関係の備品が充実するはず。

 寝具のメインである布団をどうするかという話になる。
 綿を大量に輸入してもらってそれを使う話が出ていたけれど、ちょっと気になった事がある。
「この国では一般の人がアヒルは食べないみたいだけれど、外国って食べるじゃない?文明的にまだ羽毛布団がメジャーじゃなかったら羽が余っていないかな?」
「「あっ!」」
「全ての部屋が同じ仕様、同じ価格帯ではないんでしょう?グレードの高い部屋だったら羽毛布団を使うのもアリだったりしない?というか、布団があるだけありがたいけれど、羽毛布団があるなら私も使いたい。軽くて暖かいもの。」
 思いっきり私情を混ぜた。

 羽毛を入手するためには船で海外に行かなければいけない。
 隣の大陸に行くには天候にもよるけれど片道数日で行けるそうなので、私の夏休みに行く。
 それまでに検索した機械の図を転写して資料を作り、颯と蓮で魔道具化する事が決定した。



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