うり坊、浄化で少女になった

秋の叶

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教会の下宿人

魚釣り

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 日に日に暖かさが増し、ツツジが綺麗に咲いている。
 休日でもせっせと仕事をこなしているので、相変わらず教会では自由に行動させてもらっているし、食費もちゃんと渡している。
 見学者から外れてしまったので、学費も支払おうと思ったら『子供の教育環境を整えるのは大人の義務です。』ときっぱり言われてしまい、納得した。
 子供のこの姿では何も言えない。

 教会での仕事が終わると、部屋に鍵をかけてアパートに転移し、颯と合流したらソーギの蓮の所へ行く。
 今日は蓮の提案でナガサチに行くのだ。

 話によるとナガサチの港からシナ国のジョーカイに定期船が出ているという。
 船が丈夫じゃないと万が一、沈没や転覆をしたら諸々無くなる。だから船を確認に行こうと蓮から相談があった。
 
「おはようございます。蓮さん。」
「おはよう。」
「しのちゃん、颯君おはよう。そうだ、出かける前に一つ報告よ。」
 にこにこと笑う蓮から何か報告があるらしい。
「ジロウさんの所の奥様、おめでたですって。」
「うわっ!本当ですか?」
 私は手をパンっと叩いて喜びの声をあげる。
「まじか!何かお祝いしないとな。」
「そう言い出すと思ったから、三人で何かプレゼント出来たらいいなと思っているのよ。」

 そこで以前考えていた候補を挙げてみる。
 ベッドメリーでしょ、積み木でしょ、ガラガラでしょ、あとマタニティドレスでしょ、それからと言ったらストップをかけられた。
 結果、ある程度大きくなっても使えるベビーベッドにベッドメリーを付けるのは蓮。
 積み木にガラガラを颯。
 マタニティドレスを私が作って贈ろうという話に落ち着く。
 子供用のテーブルや椅子は案をジロウに伝え、ジロウが作ったら良いんじゃないかという話まで出た。
 十二月か年明けの一月に出産になりそうだから、マタニティドレス以外にも暖かい上着があった方が良さそう。

 またもや苦手なはずの裁縫でプレゼントを作ろうとする私は、この世界にいる限り、裁縫から逃げられないようだ。
 なんだろう、毎回自分で自分の首を絞めている気がしてならない。

 異国語を話しながらジロウの分の仕事と相談が終わったのでナガサチへ転移する。
 蓮が跳躍魔法で時々ナガサチに来ていたらしく、今日はプレゼンが必要ないとの事。
 現地に行ったら停泊している船を確認して魔法で一気に仕上げる事になった。

 船は蒸気船ではなく魔動船だ。
 魔石が動力になっているから環境に優しい。
 ナガサチはクジラ漁が盛んなので、船に使われている魔石はクジラから取れた特大の魔石になる。
 魔獣も巨大化する傾向にあるけれど、クジラの食事量の方が圧倒的だものね。
 今まで見た魔石は魔獣の猪や熊の物が最大だと思っていたけれど、クジラの魔石が更に大きかった。
 しみじみと納得する。
 
 私は必要な機能を魔石に付与をし、蓮が魔道具化したものを颯が船に取り付けていく。
 付与が終わった私は暇だったので、二人と別れてナガサチから先の地域に行って転移で移動出来る範囲を広げる事にした。
 一旦シクゼンの手前に転移し、そこからボンゴを目指して歩く。
 ボーゼンを通過し、ボンゴに入ったところで文字伝達の魔道具にメッセージが書かれていたので、ナガサチに戻る。

 停泊していた二隻の大型船のリニューアルが完了していた。
 ほへぇ。
 思わず下から見上げちゃったよ。
 ドックでもないのに海から引き揚げて作業していたんだね。驚いた。
 魔法でそっと海に戻され、魔魚の衝突も、悪天候も、うっかりどこかから攻撃されても耐えられる。綺麗に仕上がった船を見て船主や船員が喜んでいる。
 今度乗せてもらう約束をして、代金を受け取った。

 地上の建物も大事だけれど、船も結界魔道具があった方が良いよね。
 貴重な人員も積み荷も守る事ができるもの。

 さぁ帰ろうかと思ったところで、颯が折角だから九州をぐるっと飛行魔法で巡って、転移のための地図を埋めようと提案してくれた。
 結界魔法で三人をステルス化して空の旅をする。
 その間私は颯の背中で異国語をせっせと話して二人に聞いてもらうのだった。

 途中の港町でお昼ご飯を食べていると、颯がエゾチでの経験を話してくれた。
「塀のための穴に落ちた魔獣を、開拓の人達が解体したら俺の能力が少し上がった気がするんだよ。」
「そういえば叔母夫婦も同じことを言ってました。」
「魔獣はともかく、魔魚の場合はどうなのかしら?」
 蓮の疑問にピシャーン!と天啓を得たような気がした。
「魚を釣って解体します?最後は美味しく食べたらOKでしょうし、魔石が取れたら使えますよね。」

 ご飯が終わってまたもや三人は結界で姿を隠し、上空に飛ぶ。
「結界魔法は離れていると使いづらいから・・・颯さん、上空で魚群を見つけたらそっと海面に近づいてもらえますか?」
「OK、二人共しっかり掴まってくれ。」
 颯の遠見魔法が活躍する瞬間が来た。

 上空で海面をじっと見て、ここだ!というポイントにそっと近づく。
 そこで私は箱型の結界を海面に出して、魚群があると思われる場所を包囲する。
 箱型の結界ごと人がいない場所へ転移。

 海水と一緒に引き揚げた結界の中には、みっちりと魚がいた。しかも大きい。
 颯から借りた道具でまずは一匹締めてみる。
「あっ・・・。」
 身体の内側からむくっと力が沸くような、もぞもぞした感じがする。

 続けて魚を取り出し、蓮に渡すと同じように締める。
「あらっ・・・。」

 道具を貸してくれた颯にも魚を取り出し、締めてもらう。
「おっ!この前より多い気がするぞ。」
 魔獣や魔魚は自分で止めをさすと能力が上がりやすいという見解になった。

 三人で順番に魔魚を締め、締めた魔魚はインベントリに入れていく。
 カツオ、アジ、トビウオ、アオリイカといくつかの種類を取っては締めてインベントリに入れた。
「大量だから箱に入れて配るしかないね。」
 能力アップの面白さに目覚めて夢中になり、はっ!と我に返って呟けば、他の2人も同意した。
「ジロウさんの所はもしかしたらマホさんがつわりで辛いかもしれないから、直接持っていかないようにして、マサさんの家にまとめて渡してもらえますか?量があれば村の中で配ると思うので。」
 颯は颯でホテル関係の人にお土産として持って行く分を選んで箱に詰め、インベントリに入れる。
 
 蓮もソーギでお世話になっている魔道具師さんや布のお店、ミヨちゃんの家の下着店に届けてくれるそうだ。
 
 私は教会に持って行くわけにはいかないので、アパートで塩焼きを作って食べるためにインベントリに入れておいた。
 はぁ、大漁大漁。


 蓮を村に送り、ジロウの仕事の受け渡しと魚の配達をしてもらってからソーギに送り届ける。
 颯をアパートに送り、私はアパートの自分の部屋のキッチンで魚を焼いた。
 自分の部屋だと身長に合わせて遠慮なく台が置けるのが良い。

「塩焼きってシンプルだけど美味しいんだよね。」
 数匹まとめて焼いて一匹だけ食べ、残りはインベントリに入れてお弁当にした。

 塩焼きを食べた後は片付けとニオイ消しも兼ねて洗浄し、ジェドに転移して布屋さんを巡る。
 マタニティドレスに良さそうな布を二枚ほど選び、ショール用の綿の糸も追加する。
 母乳対策でブラジャーが必要じゃないか?と思い立ち、それを作るための布も購入した。
 昔、出産した知り合いが難儀していたような気がするんだよね。

 ホテルの備品作りで忙しいはずだけれど、お祝い事って嬉しいし気分転換にもなる。
 手芸魔法の腕が上がっているけれど、気に入ってもらえるかどうかはまた別の話。
 喜んでくれたらいいな。


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