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教会の下宿人
レギンスと人化
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プライベート(?)ではホテルが完成して一区切りついたところだけれど、私の日常に変化はない。
毎朝教会で魔石に結界魔法を付与して、学院に行って学んでいる。
冬になっている事もあり、お正月休みというか冬休みの話が出ている。
以前の世界の宗教と違うから、クリスマス休暇という単語は出てこなかった。
二週間ほど休みになるなら、帰省しても良いんじゃない?
またもやアンを通してフェリクスに確認してもらい、帰省の許可を貰った。
今回も休みの前には付与の数を増やして行くから、多分問題ないはず。
夏休み中に船旅を経験し船の価値と安全性をつくづく感じた私達は、この国の沿岸部を回って船の補強というか結界魔道具設置を兼ねた魔改造に乗り出している。
品物の運送に陸も利用されているけれど、船も大活躍しているからね。
以前の世界と違って、本州部分と橋で繋がっていないもの。
そもそも、本州と九州を結ぶ関門海峡は、トンネルが出来たのが昭和の前期、本州と四国を橋で繋ごうと構想が出たのが明治時代で、実際に完成したのが昭和後期。
先人の沢山の知恵と苦労の末に出来た物を、あって当たり前と感じて過ごしていたのが平成以降に生まれた世代だ。
これ、魔法で実行したらトンネルなんて一気に掘り進められるんじゃない?
結界の魔道具を多用したら工事による人的被害も少なそうだし・・・その後の維持も楽。
私は専門外だから口を出すつもりが全く無いけど、颯が後で何か言い出すのかは謎。
言い出したら協力するつもり。
物流が活発になったら欲しいと思った品を選べる環境になるもの。
私は選びたい派なんだよ。
この人!と感じた船長には、舵の形の治癒魔道具と、錨の形の回復魔道具を譲渡している。
どちらも船内に飾っても違和感が無いはず。手のひらサイズの置物だ。
海の上では病気になっても怪我をしてもすぐに対応できない事が多い。
急激に悪化するような症状なら尚更だ。
船内の限られた人だけが道具の効果を知るようにと伝えれば、両手を握って感謝されていた。蓮が。
私は子供なので交渉の場にはほとんど出ない。
「付与をしてくれた人がいたので、魔道具にしたからどうぞ。」
そういって渡している。
「魔法という便利なものを知って使える事に感謝して、お返しをしたいの。」
この世界に来てからずっと感じていた私の言葉を聞いて、颯も蓮も賛成してくれた。
「毎日大量に配り歩くわけじゃないし、少しずつなら負担もそんなにないし良いんじゃないか?」
そう言ってくれたのがありがたい。
先日は教会に麻の花の魔道具を三つ、ガーベラの花の魔道具を三つ、アンモビウムの花を模った浄化の魔道具を三つ置いてきた。
アンモビウムは花の形が蓮の花に似ているというか、菊やダリアのような印象というか、人によっては目玉焼きのようだと表現する花で、ドライフラワーに向いているんだって。
山の上に設置している蓮の花と分けるけれど、似たものをという感じでこのデザインに決まった。
フェリクスが判断して各教会に置いてくれたらいいと思う。
地震や噴火のような災害は同じような頃に起こるかな?と思って予言のようなものを置いてきたので、その周辺の教会に優先して置いてくれたらいいな。
長い前置きはこの辺で終わってですね、今は冬なんですよ。
寒いんですよ。
昨年作ったセーターを着て、長めに作っていた裾を少し伸ばしたジャンパースカートを着て、長い靴下をガーターベルトで止めているんです。
ポンチョのような上着も愛用中です。
そう、ガーターベルトですよ。
私はこれを卒業したい!
実用目的だけれど、装着の手間を出来る限り省きたいんだよぉ。
切実に訴える私を見て、颯は『またか。』と言うし、蓮は『え、そんな事になっていたの?』と驚いていた。
普段、下着(?)事情は話さないもんね。
改めてこの世界に来てからの服の事情を話したら、とっても共感してくれたよ。
それに男性だって寒さが厳しかったらレギンスを履きたいよね?
股引はあるんだよ?
でもせっかくゴムが使えるようになったんだから、そっちがいいよね?楽だよね?
着物が好きで着ている人を否定しているわけじゃないんだよ?
私だって機会があったら着てみたいなーって思ったりもする。
でも、二十四時間、三百六十日ずっと着物は私には辛いんです。
ノーパンも無理だったんです。それで洋服に振り切ったんだよ。
初日の体験が確実にトラウマになっています。
あ、この世界、ひと月は三十日計算でした。
そんなこんなで立体編みの魔動機械で作られたレギンスやタイツが欲しい。
知ってる?昔のストッキングってシームといって両足の後ろ足首からふくらはぎ、ももの所まで縫い目があったんだって、その後にシームレスストッキングといって縫い目のないストッキングが開発されたけれど、当初は素足のように見えて恥ずかしいって思われた時代だったとか。
それでも海外で評価されたら日本国内でもブームになったとか。
ストッキングの良し悪しはともかく、その技術でレギンスを作って欲しいと切実に思うわけですよ。
そしたらガーターベルトを使わなくても足が暖かい。
ズボンはもう少し成長が落ち着いたら・・・あれ?
私、そこそこ稼げるようになっているから、毎年買い替えても大丈夫になっていたりする?
・・・。うん、それはそれ、これはこれにしよう。
スカートもズボンも選べる。これに尽きるね。
立体縫製が主流になったら、補正下着じゃないけれど、ブラとタンクトップが一体型になった下着が作れるようになるかも。
以前はおばちゃんだった私にとって、ブラジャーよりもそんな下着が楽だったから、大きくなったらあれが欲しいなぁ。
私が学院に行っている間、颯と蓮が候補地を決めるためにあちこち下見をしてくれる事になった。
学院が終わり文字伝達の魔道具を見て叫びそうになり、慌てて声を飲み込む。
『人になるかもしれないカモシカに会ったわ。』
蓮からのメッセージだった。
学院の帰りにハマのアパートに移動し、そこで合流する。
「今度はカモシカだって?」
颯の言葉に頷く蓮。
まずは移動しましょうと、蓮の持つ転移の魔道具で三人揃って転移した。
私が行った事のない山の頂上に浄化の魔道具が設置されている。
叔母夫婦が昔設置したもののようだ。
そこにカモシカがぽつんと立ち止まってこちらをじっと見ている。
可愛い。
カモシカって鹿じゃないんだよね。牛の仲間なの。
そのカモシカが口を開いた。
「えっと、初めまして。私、高山栞と申します。」
自己紹介をしてくれたので、私達も挨拶する。
話によると、蓮が跳躍魔法で移動していた際に浄化の魔道具を見かけたので、魔力を補充するつもりで降りたのだそう。
着地し近くにいたカモシカと目が合った。
カモシカはじっとしている事が多いので、気にせず浄化の魔道具に近づき、魔力を入れる。
「魔力がしっかり補充されたら、今後も安泰ね。」
そう言ったら後ろから声が掛かった。
「あの、それって魔道具なんですか?」
聞こえるはずのない言葉が聞こえたので、ぐるりと振り向いてカモシカがしゃべった事に気が付いた蓮は、質問に答えつつ私達にメッセージを送ったんだって。
栞は私が元猪で、颯が元フクロウ、蓮が元猿と聞いて驚いていた。
更に現代日本の記憶があると聞くと、目を見開いたまま固まってしまった。
まずは鑑定をしても良いか聞いて、了承をもらって鑑定する。
名前:カモシカ(高山栞)
年齢:一歳(※)
魔法:生活魔法、調理魔法、鑑定魔法、インベントリ
栞曰く、春までは母親のカモシカと行動を共にしていたが、夏になる頃には独り立ちする事になってこの山の辺りに移動してきた。
カモシカは縄張り意識が強く、同性でも一緒に過ごす事が難しいので、『大きくなったらお別れよ』と言い聞かされて育ったのだそうだ。
こちらの山に移動して山頂の石で出来た浄化の魔道具が気になって鼻先で触れたら、様々な記憶がよみがえり、言葉を話せるようになったという。
人に会う事が無いし、凶暴な魔獣から逃れつつ過ごしていての今日である。
冬に出会ったら悠長に待っていられないので、蓮に事情を説明してもらう事にして、私と颯は急遽魚釣りに出かけた。
魚群を見つけて結界魔法で魚を捕獲し、蓮と栞がいる場所へ転移する。
そこで栞に洗浄魔法をかけてから、角を利用して魚を締めていく事になった。
スパルタ式でごめん。本当にごめん。
颯と蓮が魚の頭と尾をそれぞれ持ち上げて、栞の角の部分に持って行きグサッと突っ込む。
それを何度も繰り返し、十匹ほどこなしたところで周辺も含めて洗浄した。
じゃあ次は浄化かなと思ったところで、服の問題を思い出す。
どれくらいの年齢の人の姿になるのか分からないので、インベントリから下着一式と、ホテル用に作っていたバスローブを渡す。
颯と蓮には後ろを向いてもらって、浄化。
ぐぐんと魔力を消費すると、カモシカの姿がぼやけたかと思ったら、点滅を始め、一瞬暗くなった後に人の姿が浮かび上がった。
冬の夕方なので辺りはほぼ闇になっているけれど、小さな照明魔法に浮かび上がる白い影。
急いで渡した衣類を着てもらって颯と蓮に合図する。
「おっ、人間に戻ったな。」
「無事に戻って良かったわね。」
ほっとする二人と、ストレートの肩甲骨まである黒髪を揺らしながら頷く栞。
通常時であればバスローブ姿の女性を凝視したら失礼なのだけれど、皆さん通った道というか、裸より断然ましだよねと実感があるので、あまり気にしないのであった。
恥じらいは何処へ行った。
聞けば栞も元はそれなりの年齢だったらしく、現在の年齢を鑑定したら二十歳と表示されていた。
「カモシカのままだったら次の秋辺りから繁殖期に入っていたかもしれない。」
そんな話をするので、間に合って良かったなと思う。
残っている魚を栞に締めてもらい、能力が上がったところでハマの私のアパートの部屋に転移した。
毎朝教会で魔石に結界魔法を付与して、学院に行って学んでいる。
冬になっている事もあり、お正月休みというか冬休みの話が出ている。
以前の世界の宗教と違うから、クリスマス休暇という単語は出てこなかった。
二週間ほど休みになるなら、帰省しても良いんじゃない?
またもやアンを通してフェリクスに確認してもらい、帰省の許可を貰った。
今回も休みの前には付与の数を増やして行くから、多分問題ないはず。
夏休み中に船旅を経験し船の価値と安全性をつくづく感じた私達は、この国の沿岸部を回って船の補強というか結界魔道具設置を兼ねた魔改造に乗り出している。
品物の運送に陸も利用されているけれど、船も大活躍しているからね。
以前の世界と違って、本州部分と橋で繋がっていないもの。
そもそも、本州と九州を結ぶ関門海峡は、トンネルが出来たのが昭和の前期、本州と四国を橋で繋ごうと構想が出たのが明治時代で、実際に完成したのが昭和後期。
先人の沢山の知恵と苦労の末に出来た物を、あって当たり前と感じて過ごしていたのが平成以降に生まれた世代だ。
これ、魔法で実行したらトンネルなんて一気に掘り進められるんじゃない?
結界の魔道具を多用したら工事による人的被害も少なそうだし・・・その後の維持も楽。
私は専門外だから口を出すつもりが全く無いけど、颯が後で何か言い出すのかは謎。
言い出したら協力するつもり。
物流が活発になったら欲しいと思った品を選べる環境になるもの。
私は選びたい派なんだよ。
この人!と感じた船長には、舵の形の治癒魔道具と、錨の形の回復魔道具を譲渡している。
どちらも船内に飾っても違和感が無いはず。手のひらサイズの置物だ。
海の上では病気になっても怪我をしてもすぐに対応できない事が多い。
急激に悪化するような症状なら尚更だ。
船内の限られた人だけが道具の効果を知るようにと伝えれば、両手を握って感謝されていた。蓮が。
私は子供なので交渉の場にはほとんど出ない。
「付与をしてくれた人がいたので、魔道具にしたからどうぞ。」
そういって渡している。
「魔法という便利なものを知って使える事に感謝して、お返しをしたいの。」
この世界に来てからずっと感じていた私の言葉を聞いて、颯も蓮も賛成してくれた。
「毎日大量に配り歩くわけじゃないし、少しずつなら負担もそんなにないし良いんじゃないか?」
そう言ってくれたのがありがたい。
先日は教会に麻の花の魔道具を三つ、ガーベラの花の魔道具を三つ、アンモビウムの花を模った浄化の魔道具を三つ置いてきた。
アンモビウムは花の形が蓮の花に似ているというか、菊やダリアのような印象というか、人によっては目玉焼きのようだと表現する花で、ドライフラワーに向いているんだって。
山の上に設置している蓮の花と分けるけれど、似たものをという感じでこのデザインに決まった。
フェリクスが判断して各教会に置いてくれたらいいと思う。
地震や噴火のような災害は同じような頃に起こるかな?と思って予言のようなものを置いてきたので、その周辺の教会に優先して置いてくれたらいいな。
長い前置きはこの辺で終わってですね、今は冬なんですよ。
寒いんですよ。
昨年作ったセーターを着て、長めに作っていた裾を少し伸ばしたジャンパースカートを着て、長い靴下をガーターベルトで止めているんです。
ポンチョのような上着も愛用中です。
そう、ガーターベルトですよ。
私はこれを卒業したい!
実用目的だけれど、装着の手間を出来る限り省きたいんだよぉ。
切実に訴える私を見て、颯は『またか。』と言うし、蓮は『え、そんな事になっていたの?』と驚いていた。
普段、下着(?)事情は話さないもんね。
改めてこの世界に来てからの服の事情を話したら、とっても共感してくれたよ。
それに男性だって寒さが厳しかったらレギンスを履きたいよね?
股引はあるんだよ?
でもせっかくゴムが使えるようになったんだから、そっちがいいよね?楽だよね?
着物が好きで着ている人を否定しているわけじゃないんだよ?
私だって機会があったら着てみたいなーって思ったりもする。
でも、二十四時間、三百六十日ずっと着物は私には辛いんです。
ノーパンも無理だったんです。それで洋服に振り切ったんだよ。
初日の体験が確実にトラウマになっています。
あ、この世界、ひと月は三十日計算でした。
そんなこんなで立体編みの魔動機械で作られたレギンスやタイツが欲しい。
知ってる?昔のストッキングってシームといって両足の後ろ足首からふくらはぎ、ももの所まで縫い目があったんだって、その後にシームレスストッキングといって縫い目のないストッキングが開発されたけれど、当初は素足のように見えて恥ずかしいって思われた時代だったとか。
それでも海外で評価されたら日本国内でもブームになったとか。
ストッキングの良し悪しはともかく、その技術でレギンスを作って欲しいと切実に思うわけですよ。
そしたらガーターベルトを使わなくても足が暖かい。
ズボンはもう少し成長が落ち着いたら・・・あれ?
私、そこそこ稼げるようになっているから、毎年買い替えても大丈夫になっていたりする?
・・・。うん、それはそれ、これはこれにしよう。
スカートもズボンも選べる。これに尽きるね。
立体縫製が主流になったら、補正下着じゃないけれど、ブラとタンクトップが一体型になった下着が作れるようになるかも。
以前はおばちゃんだった私にとって、ブラジャーよりもそんな下着が楽だったから、大きくなったらあれが欲しいなぁ。
私が学院に行っている間、颯と蓮が候補地を決めるためにあちこち下見をしてくれる事になった。
学院が終わり文字伝達の魔道具を見て叫びそうになり、慌てて声を飲み込む。
『人になるかもしれないカモシカに会ったわ。』
蓮からのメッセージだった。
学院の帰りにハマのアパートに移動し、そこで合流する。
「今度はカモシカだって?」
颯の言葉に頷く蓮。
まずは移動しましょうと、蓮の持つ転移の魔道具で三人揃って転移した。
私が行った事のない山の頂上に浄化の魔道具が設置されている。
叔母夫婦が昔設置したもののようだ。
そこにカモシカがぽつんと立ち止まってこちらをじっと見ている。
可愛い。
カモシカって鹿じゃないんだよね。牛の仲間なの。
そのカモシカが口を開いた。
「えっと、初めまして。私、高山栞と申します。」
自己紹介をしてくれたので、私達も挨拶する。
話によると、蓮が跳躍魔法で移動していた際に浄化の魔道具を見かけたので、魔力を補充するつもりで降りたのだそう。
着地し近くにいたカモシカと目が合った。
カモシカはじっとしている事が多いので、気にせず浄化の魔道具に近づき、魔力を入れる。
「魔力がしっかり補充されたら、今後も安泰ね。」
そう言ったら後ろから声が掛かった。
「あの、それって魔道具なんですか?」
聞こえるはずのない言葉が聞こえたので、ぐるりと振り向いてカモシカがしゃべった事に気が付いた蓮は、質問に答えつつ私達にメッセージを送ったんだって。
栞は私が元猪で、颯が元フクロウ、蓮が元猿と聞いて驚いていた。
更に現代日本の記憶があると聞くと、目を見開いたまま固まってしまった。
まずは鑑定をしても良いか聞いて、了承をもらって鑑定する。
名前:カモシカ(高山栞)
年齢:一歳(※)
魔法:生活魔法、調理魔法、鑑定魔法、インベントリ
栞曰く、春までは母親のカモシカと行動を共にしていたが、夏になる頃には独り立ちする事になってこの山の辺りに移動してきた。
カモシカは縄張り意識が強く、同性でも一緒に過ごす事が難しいので、『大きくなったらお別れよ』と言い聞かされて育ったのだそうだ。
こちらの山に移動して山頂の石で出来た浄化の魔道具が気になって鼻先で触れたら、様々な記憶がよみがえり、言葉を話せるようになったという。
人に会う事が無いし、凶暴な魔獣から逃れつつ過ごしていての今日である。
冬に出会ったら悠長に待っていられないので、蓮に事情を説明してもらう事にして、私と颯は急遽魚釣りに出かけた。
魚群を見つけて結界魔法で魚を捕獲し、蓮と栞がいる場所へ転移する。
そこで栞に洗浄魔法をかけてから、角を利用して魚を締めていく事になった。
スパルタ式でごめん。本当にごめん。
颯と蓮が魚の頭と尾をそれぞれ持ち上げて、栞の角の部分に持って行きグサッと突っ込む。
それを何度も繰り返し、十匹ほどこなしたところで周辺も含めて洗浄した。
じゃあ次は浄化かなと思ったところで、服の問題を思い出す。
どれくらいの年齢の人の姿になるのか分からないので、インベントリから下着一式と、ホテル用に作っていたバスローブを渡す。
颯と蓮には後ろを向いてもらって、浄化。
ぐぐんと魔力を消費すると、カモシカの姿がぼやけたかと思ったら、点滅を始め、一瞬暗くなった後に人の姿が浮かび上がった。
冬の夕方なので辺りはほぼ闇になっているけれど、小さな照明魔法に浮かび上がる白い影。
急いで渡した衣類を着てもらって颯と蓮に合図する。
「おっ、人間に戻ったな。」
「無事に戻って良かったわね。」
ほっとする二人と、ストレートの肩甲骨まである黒髪を揺らしながら頷く栞。
通常時であればバスローブ姿の女性を凝視したら失礼なのだけれど、皆さん通った道というか、裸より断然ましだよねと実感があるので、あまり気にしないのであった。
恥じらいは何処へ行った。
聞けば栞も元はそれなりの年齢だったらしく、現在の年齢を鑑定したら二十歳と表示されていた。
「カモシカのままだったら次の秋辺りから繁殖期に入っていたかもしれない。」
そんな話をするので、間に合って良かったなと思う。
残っている魚を栞に締めてもらい、能力が上がったところでハマの私のアパートの部屋に転移した。
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