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教会の下宿人
新しい魔法とケーキ
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十二月に入ると毛布もレギンスも試作を経て商品化し始めている。
最初から大量に作るわけではないので、少数ずつ作成中。
機械の数がそんなに無いから、手仕事が機械化した感じです。
手仕事で一日一枚だったものが二枚とか三枚になる程度で押さえ中。
材料の綿花の刈り取りの時期が秋なので、今から材料が尽きるような生産をしてはいけない。
栽培を促しつつ、地道に毛布を作っている。
ちなみに、綿花栽培の農場には刈り取った後の乾燥するための魔動機械も導入した。
晴れている日は天日干しで良いけれど、秋雨前線や台風が多い時には機械が頑張る。
レギンスは私と栞が二枚ずつ、毛布は全員が一枚ずつ購入。
試作品も含めて私は各プラス一枚受け取っている。
マサやキヨにお土産に毛布を持って行こうかな?と思ったけれど、掛布団の時に『これ以上わしらに金を使うんじゃないぞ』って約束させられたからダメだ・・・。
本当にダメかな?
逆の立場だったら・・・うん、子供に貰ったら大人として不甲斐ない気分になるね。
自粛しておこう。
ジロウは・・・稼いでいるから商品を紹介するだけで大丈夫かな。
輸送だけ請け負えばいいかもしれない。
ホテルに設置する魔道具がとんでもない数になったため、私の周辺の魔道具師はひぃひぃ言いながら作って納品した。
頑張った分、収入もぐぐんと上がり納税する事になって涙目になっていた。
フェリクス曰く名誉な事らしいよ?ドンマイ。
栞は仕事の時はズボンと腕まくりのシャツにエプロン。腰に冷暖房の魔道具を装着。
休みの日はセーターとスカートや時々着物。
セーターは私が手芸魔法を駆使して一気に編みました。
下着のブラジャーも暫定的に私が作ってから、ソーギのミヨの家に蓮が案内し、そこで選んで購入してもらった。
欲しいタイプについては型紙を転写して持っていってもらったので、今度行った時には出来上がっているかもしれない。
靴はハマの靴屋に注文して作ってもらい、鞄はハマで小型のフラップリュックを型紙付きで注文し、ハンドバックも同じく型紙付きで注文。
上着もハマの服飾店でチェスターコートを注文。
代金は私と颯と蓮が三人で出し、栞には料理を提供してもらった。
インベントリに入れておけば、休日のお昼ご飯や遠征時の御飯の心配がなくなったし、何なら教会のご飯を持ち帰って味見をしてもらうのもありだ。
私が何を食べているか気になっていたようだ。
この国が日本に似ていたから今まで味に文句が出なかったし、米が無くて絶望したりも無かったんだけど、栞が作ってくれた食事に三人で大喜びしたよ。
調味料が充実したらもっと幅が広がると聞いた時には、是非とも手に入れねば!と揃って意気込んだ。
それから、生活魔法で今まで取り組んでいなかった木板を使った器作りをしてみた。
栞が調理をしていて『食器が足りない』と言い出した時、その場で颯と蓮が作り出したのを見て私も覚えようと思ったの。
マサやキヨの家で使っていた器も木で作ったものが多かった。
最初は真っすぐ輪切りしか出来なかったけれど、ちょっとずつ彫刻刀で削るかのように角が落とせるようになって、何度か加減を間違えてバキっと板を割る。
作り続けているとだんだん器の形になり、一枚のお皿が出来上がった時は不恰好でも感動した。
そこからヤスリをかけたような形に整えられるようになって、一つ一つを作るのに時間がかからなくなっていく。
お皿の次はお椀を作って、その次はコップを作った。
更に慣れてくると箸を作り、スプーンを作り、フォークを作った。
すべて強化によるコーティング付きだ。
「フォークが作れるようになったんなら、もう十分じゃないか?」
颯からお墨付きをもらったようだ。
普段魔法で形を作るのは結界くらいだったので、食器のような小さくて複雑な形を作る事に慣れると、魔法の使い方が上手くなるかもしれない。
制作系の技術が上がったらどこかに放り出されてもある程度自力でどうにかなりそう。
・・・まあ、そんな事態になったら転移で帰ってくるだけなんだけどね。
木の板である程度の形が出来るようになったのであれば、金属も同じように出来るのでは?と考え、今度は蓮に習う。
栞が使う調理道具を教えてもらって、それが作れるようにボウルやおたま、泡だて器にすりおろし器と形を作っていく。
形が出来ても品質が微妙なので、仕上げは蓮が物質を変化させてくれた。
調理器具が充実したら栞は感激して、特に手に入らないのではないかと思っていたシリコンのスパチュラには小躍りしていたよ。
最終的に蒸籠にも手を出し、水を入れる鍋と共に作った。
これも栞に進呈したので、料理の幅が広がるかもしれない。
「しのちゃんって、この世界に一番最初に来たんですよね。それでもまだ覚える事があったんですね。」
しみじみと栞は言う。
「うーん、知らない事、出来ない事の方が多いと思います。最初は必要に迫られて、追い詰められた状態で作るものが多かったから。」
人化による素っ裸事件を思い出して『あぁ・・・。』と微妙な返事をする栞。
たった一人で何もない所に裸で放り出されたら、男女関係なく詰むよね?
下着改革は必要不可欠だったから最優先しただけで、他は快適性を求めた結果である。
物作りを頑張った結果、新しい魔法が沸いた事を話し、結界の魔道具への魔力注入を説明する。
颯も蓮も結界魔法を覚えていないけれど、魔力が徐々に上がっていると伝え、栞も積極的に塀や道路の魔道具に魔力を入れると決意していた。
蒸篭のついでに笊も作った。
竹の素材の物と、蓮に物質変化でステンレスにしてもらった物。
栞に大きさを確認してもらい、三種類ずつ。
出来上がったところで違和感があったので、自分を鑑定してみる。
魔法:言語理解、生活魔法、回復魔法、治癒魔法、浄化魔法、結界魔法、鑑定魔法、検索・閲覧魔法、転写魔法、付与魔法、手芸魔法、工作魔法、転移魔法、インベントリ
「うわぁ、工作って・・・。」
三人がどうしたどうした?と聞くので、鑑定結果を伝える。
「木材と金属と竹で色々作った結果がそれか!」
「努力の結果ねぇ。」
「また新しい魔法が沸いたんですか?」
それぞれ颯、蓮、栞の反応だ。
「手芸魔法を覚えた時も、布、革、糸で色々仕上げた結果だったけれど、今回もですね。皆さんも今から作りますか?パンツとか靴下とか室内履きを。」
三人は顔をふるふると横に振って『面倒臭い。』と表情で訴えたあと、ぷっと吹きだした。
「しのちゃんの努力って、魔法に反映しているのが凄いけれど、作成系の下位互換風味なのがなんだか・・・らしいというか。ねぇ?」
蓮に突っ込まれた。
「選びたい派の性格がそのまま出てますよね。」
がっくりと頭を下げてしみじみと実感した。
新しい魔法といえば、栞が言語理解を覚えられると思うので、私達と会う時には異国語を話す事に決定した。
十二月と言えばクリスマス。
クリスマスと言えばクリスマスケーキ。
食べたいなと思っても、食べられない品だったのだけれど、私達の食の救世主とも言える栞が登場した。
「この世界の今の状態だと、生クリームがまだないかも?」
生クリームの工業的な製造は大正時代の終わり頃だったと栞は言う。
そう言われたら作るしかないよね?
冷凍冷蔵の魔道具が既にあるから、保管は何とかなる。
高級品扱いだけれど、アイスクリームは既にあった。
となると乳製品は確保できるはず。
「そういえばエゾチの開拓で牛を持って行ったらしいぞ?農場か牧場かとにかく広い敷地を準備したからそのうち増えるんじゃないか?」
颯が開拓した時の話を教えてくれた。
待てばいずれ食べられるのか。
今入手できる材料で出来たりしないかな?
「ゼラチンがあれば、牛乳からでも柔らかいクリームを作れるけれど・・・。」
なんですと?
ゼラチンと言えば動物の皮や骨を煮詰めて作るアレですか。
それは何とかなるとしても、果物は・・・蜜柑?
イチゴは絶対にないよね。
最初は観賞用だったっていうもの。
品種改良と栽培技術向上で、食用の苺をハウス栽培するようになったのが昭和時代。
それを考えると甘いイチゴは手に入らないはず。
うわーイチゴのハウス栽培を推し進めたくなってきたよ。
せめてレモン果汁を使う水のケーキ。
あれに生クリームを添えて食べるだけでもいい。
と思ったらベーキングパウダーどころか重曹が無い気配。
レモンがどこにあるかも分からない。
苦渋の決断でカステラに生クリームを添える事になった。
日本では織田信長が初めてカステラを食べた人と紹介されていた。
この世界では誰が最初だったのか分からないけれど、ジェドで見かけた。
数日後、カステラに蜜柑と簡易生クリームでデコレーションしてクリスマス会をしたのだった。
-----------------------------
いいねやお気に入り登録ありがとうございます。
1つの話に1人10回押せるいいねを、めいっぱい押してくださった方がいらしたようで驚きました。
ありがとうございました。
とても励みになっています。
読んでくださる全ての方に感謝を。
最初から大量に作るわけではないので、少数ずつ作成中。
機械の数がそんなに無いから、手仕事が機械化した感じです。
手仕事で一日一枚だったものが二枚とか三枚になる程度で押さえ中。
材料の綿花の刈り取りの時期が秋なので、今から材料が尽きるような生産をしてはいけない。
栽培を促しつつ、地道に毛布を作っている。
ちなみに、綿花栽培の農場には刈り取った後の乾燥するための魔動機械も導入した。
晴れている日は天日干しで良いけれど、秋雨前線や台風が多い時には機械が頑張る。
レギンスは私と栞が二枚ずつ、毛布は全員が一枚ずつ購入。
試作品も含めて私は各プラス一枚受け取っている。
マサやキヨにお土産に毛布を持って行こうかな?と思ったけれど、掛布団の時に『これ以上わしらに金を使うんじゃないぞ』って約束させられたからダメだ・・・。
本当にダメかな?
逆の立場だったら・・・うん、子供に貰ったら大人として不甲斐ない気分になるね。
自粛しておこう。
ジロウは・・・稼いでいるから商品を紹介するだけで大丈夫かな。
輸送だけ請け負えばいいかもしれない。
ホテルに設置する魔道具がとんでもない数になったため、私の周辺の魔道具師はひぃひぃ言いながら作って納品した。
頑張った分、収入もぐぐんと上がり納税する事になって涙目になっていた。
フェリクス曰く名誉な事らしいよ?ドンマイ。
栞は仕事の時はズボンと腕まくりのシャツにエプロン。腰に冷暖房の魔道具を装着。
休みの日はセーターとスカートや時々着物。
セーターは私が手芸魔法を駆使して一気に編みました。
下着のブラジャーも暫定的に私が作ってから、ソーギのミヨの家に蓮が案内し、そこで選んで購入してもらった。
欲しいタイプについては型紙を転写して持っていってもらったので、今度行った時には出来上がっているかもしれない。
靴はハマの靴屋に注文して作ってもらい、鞄はハマで小型のフラップリュックを型紙付きで注文し、ハンドバックも同じく型紙付きで注文。
上着もハマの服飾店でチェスターコートを注文。
代金は私と颯と蓮が三人で出し、栞には料理を提供してもらった。
インベントリに入れておけば、休日のお昼ご飯や遠征時の御飯の心配がなくなったし、何なら教会のご飯を持ち帰って味見をしてもらうのもありだ。
私が何を食べているか気になっていたようだ。
この国が日本に似ていたから今まで味に文句が出なかったし、米が無くて絶望したりも無かったんだけど、栞が作ってくれた食事に三人で大喜びしたよ。
調味料が充実したらもっと幅が広がると聞いた時には、是非とも手に入れねば!と揃って意気込んだ。
それから、生活魔法で今まで取り組んでいなかった木板を使った器作りをしてみた。
栞が調理をしていて『食器が足りない』と言い出した時、その場で颯と蓮が作り出したのを見て私も覚えようと思ったの。
マサやキヨの家で使っていた器も木で作ったものが多かった。
最初は真っすぐ輪切りしか出来なかったけれど、ちょっとずつ彫刻刀で削るかのように角が落とせるようになって、何度か加減を間違えてバキっと板を割る。
作り続けているとだんだん器の形になり、一枚のお皿が出来上がった時は不恰好でも感動した。
そこからヤスリをかけたような形に整えられるようになって、一つ一つを作るのに時間がかからなくなっていく。
お皿の次はお椀を作って、その次はコップを作った。
更に慣れてくると箸を作り、スプーンを作り、フォークを作った。
すべて強化によるコーティング付きだ。
「フォークが作れるようになったんなら、もう十分じゃないか?」
颯からお墨付きをもらったようだ。
普段魔法で形を作るのは結界くらいだったので、食器のような小さくて複雑な形を作る事に慣れると、魔法の使い方が上手くなるかもしれない。
制作系の技術が上がったらどこかに放り出されてもある程度自力でどうにかなりそう。
・・・まあ、そんな事態になったら転移で帰ってくるだけなんだけどね。
木の板である程度の形が出来るようになったのであれば、金属も同じように出来るのでは?と考え、今度は蓮に習う。
栞が使う調理道具を教えてもらって、それが作れるようにボウルやおたま、泡だて器にすりおろし器と形を作っていく。
形が出来ても品質が微妙なので、仕上げは蓮が物質を変化させてくれた。
調理器具が充実したら栞は感激して、特に手に入らないのではないかと思っていたシリコンのスパチュラには小躍りしていたよ。
最終的に蒸籠にも手を出し、水を入れる鍋と共に作った。
これも栞に進呈したので、料理の幅が広がるかもしれない。
「しのちゃんって、この世界に一番最初に来たんですよね。それでもまだ覚える事があったんですね。」
しみじみと栞は言う。
「うーん、知らない事、出来ない事の方が多いと思います。最初は必要に迫られて、追い詰められた状態で作るものが多かったから。」
人化による素っ裸事件を思い出して『あぁ・・・。』と微妙な返事をする栞。
たった一人で何もない所に裸で放り出されたら、男女関係なく詰むよね?
下着改革は必要不可欠だったから最優先しただけで、他は快適性を求めた結果である。
物作りを頑張った結果、新しい魔法が沸いた事を話し、結界の魔道具への魔力注入を説明する。
颯も蓮も結界魔法を覚えていないけれど、魔力が徐々に上がっていると伝え、栞も積極的に塀や道路の魔道具に魔力を入れると決意していた。
蒸篭のついでに笊も作った。
竹の素材の物と、蓮に物質変化でステンレスにしてもらった物。
栞に大きさを確認してもらい、三種類ずつ。
出来上がったところで違和感があったので、自分を鑑定してみる。
魔法:言語理解、生活魔法、回復魔法、治癒魔法、浄化魔法、結界魔法、鑑定魔法、検索・閲覧魔法、転写魔法、付与魔法、手芸魔法、工作魔法、転移魔法、インベントリ
「うわぁ、工作って・・・。」
三人がどうしたどうした?と聞くので、鑑定結果を伝える。
「木材と金属と竹で色々作った結果がそれか!」
「努力の結果ねぇ。」
「また新しい魔法が沸いたんですか?」
それぞれ颯、蓮、栞の反応だ。
「手芸魔法を覚えた時も、布、革、糸で色々仕上げた結果だったけれど、今回もですね。皆さんも今から作りますか?パンツとか靴下とか室内履きを。」
三人は顔をふるふると横に振って『面倒臭い。』と表情で訴えたあと、ぷっと吹きだした。
「しのちゃんの努力って、魔法に反映しているのが凄いけれど、作成系の下位互換風味なのがなんだか・・・らしいというか。ねぇ?」
蓮に突っ込まれた。
「選びたい派の性格がそのまま出てますよね。」
がっくりと頭を下げてしみじみと実感した。
新しい魔法といえば、栞が言語理解を覚えられると思うので、私達と会う時には異国語を話す事に決定した。
十二月と言えばクリスマス。
クリスマスと言えばクリスマスケーキ。
食べたいなと思っても、食べられない品だったのだけれど、私達の食の救世主とも言える栞が登場した。
「この世界の今の状態だと、生クリームがまだないかも?」
生クリームの工業的な製造は大正時代の終わり頃だったと栞は言う。
そう言われたら作るしかないよね?
冷凍冷蔵の魔道具が既にあるから、保管は何とかなる。
高級品扱いだけれど、アイスクリームは既にあった。
となると乳製品は確保できるはず。
「そういえばエゾチの開拓で牛を持って行ったらしいぞ?農場か牧場かとにかく広い敷地を準備したからそのうち増えるんじゃないか?」
颯が開拓した時の話を教えてくれた。
待てばいずれ食べられるのか。
今入手できる材料で出来たりしないかな?
「ゼラチンがあれば、牛乳からでも柔らかいクリームを作れるけれど・・・。」
なんですと?
ゼラチンと言えば動物の皮や骨を煮詰めて作るアレですか。
それは何とかなるとしても、果物は・・・蜜柑?
イチゴは絶対にないよね。
最初は観賞用だったっていうもの。
品種改良と栽培技術向上で、食用の苺をハウス栽培するようになったのが昭和時代。
それを考えると甘いイチゴは手に入らないはず。
うわーイチゴのハウス栽培を推し進めたくなってきたよ。
せめてレモン果汁を使う水のケーキ。
あれに生クリームを添えて食べるだけでもいい。
と思ったらベーキングパウダーどころか重曹が無い気配。
レモンがどこにあるかも分からない。
苦渋の決断でカステラに生クリームを添える事になった。
日本では織田信長が初めてカステラを食べた人と紹介されていた。
この世界では誰が最初だったのか分からないけれど、ジェドで見かけた。
数日後、カステラに蜜柑と簡易生クリームでデコレーションしてクリスマス会をしたのだった。
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