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大陸を移動する猪
村の回復
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私の名前を聞いて更に怪訝な顔をしている女性に、ちょっと失礼します。と言ってから、家中を丸ごと洗浄した。
今まで魔法を見ずに過ごしていた人にとって、照明や水、洗浄の魔法は分かりやすくて衝撃的だ。
怪我の治療も分かりやすいけれど、怪我をしている場面に当たる確率って低いよね。
せいぜい私が最初に魔道具を使ってもらった時のように、蚊に刺されまくった時くらいだ。
「家の中には貴女以外にどなたかいらっしゃいますか?」
唖然としている彼女に確認するように聞くと、ふるふると首を振る。
「私だけだ。」
「そうですか、ちょっと中に入れていただけますか?」
「あ・・・ああ・・・。」
勢いに押された感じで戸口から体をずらすので、するりと中に入る。
寝込んでいる人や倒れている人は容赦なく治療して水分補給をションに任せて次へ行けるけれど、元気な人の場合は説明が必要だ。
椅子に腰かけた彼女に、体調に変化が無いか聞きながら治癒と回復の魔法をかけ、木の器にお湯を出して渡す。
ついでに今までの状況を聞けば、昔から『流行り病の時は家の中に籠れ。』と言われていたらしく、具合の悪い人が多くなったところで外になるべく出ないようにしていたらしい。
それでもトイレは各家には無く、共同トイレで用を足すしかない。
吐しゃ物や下痢で汚れが酷くなったからと掃除するとしても、水をざばっとかけて流すだけ。
不衛生な状態のトイレを共有しているのでは感染しないはずがない。
トイレまで間に合わずに路上にまき散らす人もいるから、村中のニオイが酷くなる。
栞は洗浄の範囲を広げている事だろう。
お湯を飲んで少し落ち着いた彼女はようやく名前を『フェイ』と名乗ってくれた。
勝手に鑑定して、勝手に名前を呼ぶわけにもいかないので声を掛けやすくなった。
手伝いをお願いしたら了承してくれたので、次の家に行く前に栞のいる場所へ案内し、ここから回復用の水を受け取って少しずつ飲ませるのだと説明する。
次の家には経口補水液を持って一緒に行き、戸口を叩いて容赦なく家に入り、座り込んでいる人を見て家中を丸ごと洗浄、治癒、回復していく。
私のやる事に目を白黒させながらも、魔法でベッドへ運んだ人に経口補水液を飲ませる役目を思い出して少しずつ飲ませていた。
具合が悪くてベッドで寝ている人があまりいなかった理由は、共用トイレに行こうとして、もしくは戻ってきて力尽きる人が多いのではないかと予想してみる。
家の中を浄化し、フェイに次の家に行くと声を掛けて私は移動した。
今回も動ける人に協力してもらいながら次々と魔法で治療していく。
颯と蓮も鑑定しながら魔道具で治療している。
一時間ほど走り回り、ようやく一区切りつける事ができた。
水分補給の係になった人に洗浄魔法を伝え、村の中の洗浄をして回る。。
全ての物事を私達が行う事は無い。
なるべく自分達の力で綺麗にして復旧して、後に繋げて欲しいから。
日が暮れる頃、颯と蓮は一部のトイレを交換し、栞はお粥の準備をしている。
私はフェイに鑑定魔法について話した。
「さっきの綺麗にする魔法だけじゃなくて、鑑定?魔法って・・・。」
今日何度目かの思考停止に陥っているので、メッセンジャーバックから魔石を取り出してそれを鑑定してもらう。
『ヴァイパーの魔石:魔力(抜けかかっている)。魔石の魔力効率--。』
彼女の目にこの情報が見えているなら鑑定成功だ。
問題は文字が読めるかどうかなんだよなぁ。
こればっかりは覚えてもらうしかない。
なんたって彼女が付与出来る事によって、周辺の村の魔道具充実度が格段に上がるのだから。
木板に転写した絵や文字を渡し、課題を積み上げてみる。
たった半日で状況が目まぐるしく変化しているので、頭の中の整理が追い付かないだろうけれど、じっくりと見る事ができれば夢じゃないとわかってくれるはず。
夜、四人揃ってアパートで食事が終わってから話をする。
「しのちゃんってあんな状態の所をずっと巡っていたのね。」
「最初の村から三つ目まではもうちょっとましだったんですよ?」
「いや、村と村の間の道にある休憩所であの状態だろ?そんなに変りないんじゃないか?」
「聞いていたのと見るとでは違うわよね。この前は思わず全部破壊して作り直しちゃったけど、村に着いてからは自制したわ。」
三人がしみじみと私を労う。
「うーん・・・。程度の差はあるんですけど、具合が悪い人って間に合わない事があるじゃないですか。前の世界で病院勤務時にはトイレの扉を開けたら惨状が広がってたなんて事に何度か遭遇していたんですよね。それを見て驚いている時間が有ったら、まずは対処しないと他の患者さんへの影響もあるので。この世界は魔法でいっぺんに洗浄できるから助かります。」
「貴女、意外にハードな職場だったのね。」
「あ、医療事務なので直接患者さんを診たりはしないですよ。ただ、受付なので診察室や処置室に入る前の患者さんに対応するのでそれなりに。」
「昔取った杵柄ってところか。」
「顔色も変えずに容赦なく事に当たる姿が、子供とは思えませんでした。」
おばさんだからね。
「この国って奥に行くほど魔道具の数が少なく感じるわよね。」
「教会の人も進めなかったんじゃないですか?」
「なによりもこの地域の誰かの紹介が無ければ、聞く耳も持たれなかったんじゃないか?」
「あぁ確かに、ジョーカイでアヒルの羽根を交換してもらう時も知り合い行脚みたいな感じでしたよね。こっちに来てからも攫われるか、知り合いに案内されてでしたし。そうじゃないと難しいのかも。」
明日からまた頑張ろう。
そう言って就寝した。
翌朝になると動ける人が増えてきた。
今回も回復した人から順番に生活魔法を覚えて、実践する。
栞が覚える内容を分担するように、数人のグループに分ける。
魔道具作成の魔法を持っていた男性に木のピッチャーを作る指導をしているのは蓮だ。
颯は塀を作りに行った。
フェイには生活魔法の他に付与の仕方も覚えてもらう。
今まで出来なかった事が出来るようになると楽しいらしく、フェイはするすると覚えていった。
ピッチャーを作っていた男性と合流し、村の中にあった魔獣の魔石から小さいものを選んで水の魔法を付与したものをピッチャーに嵌め込んで仕上げる。
『ピッチャー:木製の水差し、水の魔力を付与した魔石が使われている。魔石の魔力効率はごくわずか。』
「魔道具の魔力は後で村の皆さんの補充練習に使えるので、このままの状態で完成ですね。売り物にする場合はきっちり補充してから販売して下さい。」
「えっ!これ、売れるんですか?」
新人魔道具師とフェイが二人同時に驚いた声を発する。
「水差しの魔道具は陶器で作られている事が多いんですけれど、他の国ではありふれているから今では売買が少ないながらも、新しく建てた家や家族が増えると購入する人がいます。何よりこの村の周辺では足りないと思うので、需要はあるんじゃないでしょうか?」
私の言葉に目を見開いている。
「この辺の村でお金よりも品物で交換しているなら、付与魔石と他の村の魔石を交換するのもありでしょうし、双方で話し合ったらいいんじゃないかしら?ジョーカイのような街に売りに行く場合は、売れ筋を作って持って行くと良いわよ。」
蓮の言葉に目からうろこが落ちていくような思いをしている二人だった。
まずは村の中の魔道具を充実させたいよねと照明の魔道具やコンロの魔道具も作っていく。
照明の魔道具もガラスが無いので、木製のランプ作りを指導していた。
『ランプ:木で出来た照明道具、光の魔力を付与した魔石が使われている。魔石の魔力効率はごくわずか。』
「少し離れた村では芸術的な品が作られ始めたけれど、ここではまず村の人が使える物を揃えないと話にならないわね。」
加工が得意な人を全員集めて蓮のスパルタが始まった。
数日経過する頃には多くの人が回復し、生活魔法が使えるようになって魔道具が揃い始めた。
付与魔法師と魔道具師が揃っていると順調だね。
大人が村の外を洗浄したり、子供達が衣類を修復したり、高齢者も自身が移動する周辺を修復してはしみじみと感想を語る。
「ああ・・・昔はこんな色だったなぁ。汚れていくのは当たり前だと思っておったが、自分達で綺麗に整えられるもんだったんだなぁ。」
強化魔法を覚えた男性はフェイが付与した魔石を持って、隣村やその先へ出かけ、付与されていない魔石と交換する事にしたらしい。
何十年もため込んでいた魔獣や家畜の魔石がようやく日の目を見たのかもしれない。
ちなみに、亡くなった方の魔石は村の一画に放置されていた。
人の魔石は取り扱いが違うので、教会にまとめて持って行くかこのまま保存するか聞いてみた。
「死んだら穴に埋めてたからなぁ・・・今更どうするって聞かれても分からねぇ。」
墓地区画のようなものがあったけれど、魔石を取り出すことなく埋めていたっぽい。
誰かが亡くなって新たに穴を掘った際、むかーしの誰かの魔石が骨と共に出てきたら、骨だけ埋め戻し、魔石をまとめていたんですって。
今後は病気の怖さもあるので火葬を進めると共に、教会の人が来ることがあったら色々聞いてみたら良いのではないかと伝える。
村の中の活気が戻ってくる合間、颯はジョーカイの教会に何度か足を運んでいた。
そこでは初回こそ不審者を見る目で見られていたらしいけれど、フェリクスからの手紙と魔道具を届けた後からは笑顔で出迎えられているとの事。
教会が無い地域の村の状況を、ジョーカイの教会の魔道具からフェリクスへ伝える。
フェリクスからは今後、人を送ると話があった。
今まで教会の活動を阻んでいた状況が変化し、この時代からシナ国で魔法と共に教会の影響が一気に広まっていく事になる。
ジョーカイでの感染の拡大については、五月の異常な暑さも相まって感染者が増えると懸念されていた。
しかし、人の移動が活発ではなかった事、告知と魔道具による対応が早かったこともあり、各国の港で食い止められ、数か月で終息し世界的な感染に至らずに済んだ。
一部のアヒル農家では『蜜柑のお守りが良かった。』と話が出ていたため、ジョーカイ周辺では蜜柑の置物が流行したという。
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読んでくださる全ての方に感謝を。
今まで魔法を見ずに過ごしていた人にとって、照明や水、洗浄の魔法は分かりやすくて衝撃的だ。
怪我の治療も分かりやすいけれど、怪我をしている場面に当たる確率って低いよね。
せいぜい私が最初に魔道具を使ってもらった時のように、蚊に刺されまくった時くらいだ。
「家の中には貴女以外にどなたかいらっしゃいますか?」
唖然としている彼女に確認するように聞くと、ふるふると首を振る。
「私だけだ。」
「そうですか、ちょっと中に入れていただけますか?」
「あ・・・ああ・・・。」
勢いに押された感じで戸口から体をずらすので、するりと中に入る。
寝込んでいる人や倒れている人は容赦なく治療して水分補給をションに任せて次へ行けるけれど、元気な人の場合は説明が必要だ。
椅子に腰かけた彼女に、体調に変化が無いか聞きながら治癒と回復の魔法をかけ、木の器にお湯を出して渡す。
ついでに今までの状況を聞けば、昔から『流行り病の時は家の中に籠れ。』と言われていたらしく、具合の悪い人が多くなったところで外になるべく出ないようにしていたらしい。
それでもトイレは各家には無く、共同トイレで用を足すしかない。
吐しゃ物や下痢で汚れが酷くなったからと掃除するとしても、水をざばっとかけて流すだけ。
不衛生な状態のトイレを共有しているのでは感染しないはずがない。
トイレまで間に合わずに路上にまき散らす人もいるから、村中のニオイが酷くなる。
栞は洗浄の範囲を広げている事だろう。
お湯を飲んで少し落ち着いた彼女はようやく名前を『フェイ』と名乗ってくれた。
勝手に鑑定して、勝手に名前を呼ぶわけにもいかないので声を掛けやすくなった。
手伝いをお願いしたら了承してくれたので、次の家に行く前に栞のいる場所へ案内し、ここから回復用の水を受け取って少しずつ飲ませるのだと説明する。
次の家には経口補水液を持って一緒に行き、戸口を叩いて容赦なく家に入り、座り込んでいる人を見て家中を丸ごと洗浄、治癒、回復していく。
私のやる事に目を白黒させながらも、魔法でベッドへ運んだ人に経口補水液を飲ませる役目を思い出して少しずつ飲ませていた。
具合が悪くてベッドで寝ている人があまりいなかった理由は、共用トイレに行こうとして、もしくは戻ってきて力尽きる人が多いのではないかと予想してみる。
家の中を浄化し、フェイに次の家に行くと声を掛けて私は移動した。
今回も動ける人に協力してもらいながら次々と魔法で治療していく。
颯と蓮も鑑定しながら魔道具で治療している。
一時間ほど走り回り、ようやく一区切りつける事ができた。
水分補給の係になった人に洗浄魔法を伝え、村の中の洗浄をして回る。。
全ての物事を私達が行う事は無い。
なるべく自分達の力で綺麗にして復旧して、後に繋げて欲しいから。
日が暮れる頃、颯と蓮は一部のトイレを交換し、栞はお粥の準備をしている。
私はフェイに鑑定魔法について話した。
「さっきの綺麗にする魔法だけじゃなくて、鑑定?魔法って・・・。」
今日何度目かの思考停止に陥っているので、メッセンジャーバックから魔石を取り出してそれを鑑定してもらう。
『ヴァイパーの魔石:魔力(抜けかかっている)。魔石の魔力効率--。』
彼女の目にこの情報が見えているなら鑑定成功だ。
問題は文字が読めるかどうかなんだよなぁ。
こればっかりは覚えてもらうしかない。
なんたって彼女が付与出来る事によって、周辺の村の魔道具充実度が格段に上がるのだから。
木板に転写した絵や文字を渡し、課題を積み上げてみる。
たった半日で状況が目まぐるしく変化しているので、頭の中の整理が追い付かないだろうけれど、じっくりと見る事ができれば夢じゃないとわかってくれるはず。
夜、四人揃ってアパートで食事が終わってから話をする。
「しのちゃんってあんな状態の所をずっと巡っていたのね。」
「最初の村から三つ目まではもうちょっとましだったんですよ?」
「いや、村と村の間の道にある休憩所であの状態だろ?そんなに変りないんじゃないか?」
「聞いていたのと見るとでは違うわよね。この前は思わず全部破壊して作り直しちゃったけど、村に着いてからは自制したわ。」
三人がしみじみと私を労う。
「うーん・・・。程度の差はあるんですけど、具合が悪い人って間に合わない事があるじゃないですか。前の世界で病院勤務時にはトイレの扉を開けたら惨状が広がってたなんて事に何度か遭遇していたんですよね。それを見て驚いている時間が有ったら、まずは対処しないと他の患者さんへの影響もあるので。この世界は魔法でいっぺんに洗浄できるから助かります。」
「貴女、意外にハードな職場だったのね。」
「あ、医療事務なので直接患者さんを診たりはしないですよ。ただ、受付なので診察室や処置室に入る前の患者さんに対応するのでそれなりに。」
「昔取った杵柄ってところか。」
「顔色も変えずに容赦なく事に当たる姿が、子供とは思えませんでした。」
おばさんだからね。
「この国って奥に行くほど魔道具の数が少なく感じるわよね。」
「教会の人も進めなかったんじゃないですか?」
「なによりもこの地域の誰かの紹介が無ければ、聞く耳も持たれなかったんじゃないか?」
「あぁ確かに、ジョーカイでアヒルの羽根を交換してもらう時も知り合い行脚みたいな感じでしたよね。こっちに来てからも攫われるか、知り合いに案内されてでしたし。そうじゃないと難しいのかも。」
明日からまた頑張ろう。
そう言って就寝した。
翌朝になると動ける人が増えてきた。
今回も回復した人から順番に生活魔法を覚えて、実践する。
栞が覚える内容を分担するように、数人のグループに分ける。
魔道具作成の魔法を持っていた男性に木のピッチャーを作る指導をしているのは蓮だ。
颯は塀を作りに行った。
フェイには生活魔法の他に付与の仕方も覚えてもらう。
今まで出来なかった事が出来るようになると楽しいらしく、フェイはするすると覚えていった。
ピッチャーを作っていた男性と合流し、村の中にあった魔獣の魔石から小さいものを選んで水の魔法を付与したものをピッチャーに嵌め込んで仕上げる。
『ピッチャー:木製の水差し、水の魔力を付与した魔石が使われている。魔石の魔力効率はごくわずか。』
「魔道具の魔力は後で村の皆さんの補充練習に使えるので、このままの状態で完成ですね。売り物にする場合はきっちり補充してから販売して下さい。」
「えっ!これ、売れるんですか?」
新人魔道具師とフェイが二人同時に驚いた声を発する。
「水差しの魔道具は陶器で作られている事が多いんですけれど、他の国ではありふれているから今では売買が少ないながらも、新しく建てた家や家族が増えると購入する人がいます。何よりこの村の周辺では足りないと思うので、需要はあるんじゃないでしょうか?」
私の言葉に目を見開いている。
「この辺の村でお金よりも品物で交換しているなら、付与魔石と他の村の魔石を交換するのもありでしょうし、双方で話し合ったらいいんじゃないかしら?ジョーカイのような街に売りに行く場合は、売れ筋を作って持って行くと良いわよ。」
蓮の言葉に目からうろこが落ちていくような思いをしている二人だった。
まずは村の中の魔道具を充実させたいよねと照明の魔道具やコンロの魔道具も作っていく。
照明の魔道具もガラスが無いので、木製のランプ作りを指導していた。
『ランプ:木で出来た照明道具、光の魔力を付与した魔石が使われている。魔石の魔力効率はごくわずか。』
「少し離れた村では芸術的な品が作られ始めたけれど、ここではまず村の人が使える物を揃えないと話にならないわね。」
加工が得意な人を全員集めて蓮のスパルタが始まった。
数日経過する頃には多くの人が回復し、生活魔法が使えるようになって魔道具が揃い始めた。
付与魔法師と魔道具師が揃っていると順調だね。
大人が村の外を洗浄したり、子供達が衣類を修復したり、高齢者も自身が移動する周辺を修復してはしみじみと感想を語る。
「ああ・・・昔はこんな色だったなぁ。汚れていくのは当たり前だと思っておったが、自分達で綺麗に整えられるもんだったんだなぁ。」
強化魔法を覚えた男性はフェイが付与した魔石を持って、隣村やその先へ出かけ、付与されていない魔石と交換する事にしたらしい。
何十年もため込んでいた魔獣や家畜の魔石がようやく日の目を見たのかもしれない。
ちなみに、亡くなった方の魔石は村の一画に放置されていた。
人の魔石は取り扱いが違うので、教会にまとめて持って行くかこのまま保存するか聞いてみた。
「死んだら穴に埋めてたからなぁ・・・今更どうするって聞かれても分からねぇ。」
墓地区画のようなものがあったけれど、魔石を取り出すことなく埋めていたっぽい。
誰かが亡くなって新たに穴を掘った際、むかーしの誰かの魔石が骨と共に出てきたら、骨だけ埋め戻し、魔石をまとめていたんですって。
今後は病気の怖さもあるので火葬を進めると共に、教会の人が来ることがあったら色々聞いてみたら良いのではないかと伝える。
村の中の活気が戻ってくる合間、颯はジョーカイの教会に何度か足を運んでいた。
そこでは初回こそ不審者を見る目で見られていたらしいけれど、フェリクスからの手紙と魔道具を届けた後からは笑顔で出迎えられているとの事。
教会が無い地域の村の状況を、ジョーカイの教会の魔道具からフェリクスへ伝える。
フェリクスからは今後、人を送ると話があった。
今まで教会の活動を阻んでいた状況が変化し、この時代からシナ国で魔法と共に教会の影響が一気に広まっていく事になる。
ジョーカイでの感染の拡大については、五月の異常な暑さも相まって感染者が増えると懸念されていた。
しかし、人の移動が活発ではなかった事、告知と魔道具による対応が早かったこともあり、各国の港で食い止められ、数か月で終息し世界的な感染に至らずに済んだ。
一部のアヒル農家では『蜜柑のお守りが良かった。』と話が出ていたため、ジョーカイ周辺では蜜柑の置物が流行したという。
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