うり坊、浄化で少女になった

秋の叶

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大陸を移動する猪

閑話 ???

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 短いですが、閑話になります。
 メラニーの上役にあたる人の視点です。

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 教会は女神の教えを広めると共に、人々に魔法を伝授している。
 様々な土地へ渡り、言葉の違い、気候の違い、習慣の違いを乗り越えて根気よく布教して行った。
 生活を整える一助となる魔法は多くの人々に受け入れられ、そのお陰もあって私たちの活動は排除されることが少なかった。

 私達が住んでいる国から海を越え、この地に辿り着いた時も今までと同じように布教して行くものだと思っていた。
 ところが、この国は少々難しかった。
 言葉の難解さもさることながら、他国との軋轢もあったようで我々を受け入れる土壌が皆無だった。 
 それでも信仰心を持って接すれば必ず思いが届くと諦めずに対話を試みた。

 三種類の魔道具は布教時に必ず持って行く道具としていた。触れるだけで灯りが点き、水が湧き、清潔になる。
 彼らがその魔道具を見た時はかなり驚いていた。
 だが、彼らの猜疑心はかなり強く、魔法を使うための言葉を伝えても覚えてもらう事が叶わなかった。
 柔軟な思考を持つ子供達は私達から隠され、頑なに理解を拒まれ続ける。

 地域を変えたら少しは変化があるかと、国の奥まで歩んでみたが道のりが険しく遠い。
 一人、二人と同士が脱落していった。
 この国での布教は無理なのだろうか?

 私達は引き返し、港町では辛うじて言葉を受け入れる人々がいて、本国との交渉も可能なほどになった。
 港から国の奥まで少しずつ信仰が広がる事を願ってやまない。


「司教様、次はどちらへ向かわれるのでしょう?」
「メラニー、今度はこの大陸から近い所にある海に囲まれた国だよ。」
「信仰が広まるでしょうか?」
「既に以前の者達が渡っているからね。」
 私の言葉を聞いて若い信徒は、ほっと安心した様子を見せている。
 
 布教は過酷な環境下で行われることが多く、そんな中で女性のメラニーはよく頑張っていたと思う。
 先の土地での活動は私を含め男性でも音を上げる者が多かった。
 単なる拒絶だけではなく、恨みや怒りといった感情も多く見えた。
 広範囲で浄化魔法を使うべきかと考えるほどであったが、戦争ではない状況下での使用は憚られた。
 負の感情を向けられ続けるのは心身を苛む。
 次の国で希望がある事を願うばかりだ。


 海に囲まれた国は言葉が難解なものの、比較的温厚な人々が多かった。
 他国からの脅威を海が阻んでいた影響もあるのかもしれない。
 ここでは落ち着いて女神の教えを広げる事ができた。
 それと共に気がかりなのは先の大陸だ。
 必要な所へ手が差し伸べられないのは残念な事だと諦める自分と、まだ何か出来る事があるのではないかと行動しようとする自分がいる。
 行動しようとする自分は女神の使徒を求め始め、どうにかして顕現させる事ができないものかと考えていた。

 古の文字、古の記号、そして魔法。
 それらを組み合わせ、この世界に召喚する事ができた時こそ、あの国にも女神の教えが広まるのではないか?
 だが、召喚した人物の人生はどうなる?
 否応なく呼び寄せて良いものだろうか?
 たった一人では孤独だ。対となる使徒と一緒に呼び出したのであれば、快く女神の教えを受け入れてくれるだろうか?

 私が別の国へ呼び出されたのだとすれば、例えばかの国へ呼ばれたとすれば・・・受け入れる事が難しいかもしれない。
 そんな事を使徒に任せるのは人道的にあってはならないのではないだろうか?

 諦め悪く書き記し、まとめた本を二冊作った。
 対になる本は片方を燃やせば、もう片方にも火が点くようになっている。
 私が暴走しないように、戒めるものとしてメラニーに片方を持たせた。
「この先、私の行いが良くないものだと判断した時にはこの本を燃やしなさい。もしくは、私が亡くなった後は他の者が惑わされぬよう君がこちらの本を回収するか、君が持っている本を燃やしてくれないか。」
 きょとんとした顔をしながらも、メラニーは素直に頷き応じてくれた。
 
 その後、私はジェドという街で司祭を続けたが、メラニーにはナガサチ方面の布教を任せる。
 数年後、メラニーは連絡を絶ち行方が分からなくなった。
 腰を据えて布教する事になったのか、魔獣に襲われたのか・・・別の考えがあったのか。
 彼女が無事で、元気で、自由に過ごせている事を女神に祈る。


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