うり坊、浄化で少女になった

秋の叶

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寄宿舎住まいの伝道師

お祝い

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※地震の表現があります。
苦手な方はご注意ください。

 夏休みが終わる数日前に帰国し、ハマのアパートで日時の調整をする。
 ジョーカイから転移でひゅんっと帰って来るけれど、船に乗っている事になっているから数日の猶予が出来るのだ。
 海外へ行く前にマサやキヨの所に立ち寄って一泊し、その次の日にジョーカイへ行って、帰りは直接ハマのアパートに戻った。

 そこで海外の様子を報告しながら付与の仕事をこなし、三人の近況も聞く。
「また結婚の話が出たのか。ロリコンが多いんじゃないか?」
 颯がかなり呆れているし、蓮や栞も深く頷いている。
「日本でも昔は若くして結婚していたじゃない。そんな感じじゃないかな?」
 私が言えば栞も口を開く。
「物語の中ではあるけれど、源氏物語の光源氏は十二歳で、奥さんの葵上は十六歳で夫婦になっていた描写があるものね。」
「唱歌でもあったわね。『十五でねえやは嫁に行き』って、子守りを担当していた人が嫁いで連絡が途絶えたって描写だったわね。」
 蓮が子守りと姉を間違えやすくて有名な歌の話をする。
 時代や国によって違うものだなとつくづく感じる。
 
 日本でも少し前までは女性の結婚年齢が十六歳のままだった。
 やっと変更になったのは2022年になってからだ。

 女性の服装についても話題に上がった。
「目出し帽的なアレだろ?」
 颯がニュースになりそうな物言いをする。
「昔、本気であのファッションを検討したなぁ。」
 私の発言に三人がぎょっとした。

 そんなに驚く事かな?と思いつつ、理由を話す。
「日に当たるとかぶれやすくなった時期があってね、日傘って風がある時に壊れやすいし持ちにくいじゃないですか。帽子も同じく風で飛ぶし・・・。それでいっその事全身を覆ったら便利!と思って、真剣にどれを着るか選んでいた時期があったんです。」
「あぁ・・・。」
 宗教的な理由ではなく、身体的な理由と聞いてほっとされた。

 サリーだとトイレが大変そうだったし、ヒジャブのように顔を出して髪の毛や首元を覆うヘッドスカーフか、ヒジャブとセットで使うヴェールのニカブか、目元がメッシュになっていて全身を黒いヴェールで覆うブルカか。
 ゴミを出しにちょっと外へ出ただけで、手の甲が水ぶくれのような湿疹になって痒かったんだよ。

 朝早めに出勤して、職場の近くで時間を潰して、仕事が終われば暗い時間なので安心して帰宅していた頃が懐かしい。
 その症状も数か月で落ち着いてくれたから良かったけれど。そういえばあの時、叔母が治癒を掛けてくれたんだった。
「今は平気なの?」
 栞が心配そうに聞く。
「紫外線カットも兼ねて結界を使っているせいか、大丈夫ですね。結界をしなかったらどうなるかは分かりません。そもそも前の体と違いますし。」
 それもそうかと一安心する。

 そして重大発表があった。
 なんと栞がおめでただった。
 予定では来年の四月あたりに出産になるらしい。
 家の増築は必要ないけれど、妊婦用や赤ちゃんグッズを増産しなくては。
「はい!私、寄宿舎で時間のある時にベビー服を縫います!マタニティドレスも任せてください!」
 右手を上げて宣言し、ベビーベッドや積み木は颯に任せる事にした。

 お祝いモードの中ではたと思い出す。
「そういえば、家族計画的な品ってこの世界普及しているの?パンツのゴムに困っていたくらいだからまだだったりする?工場作る?」
「ちょっ!子供がなに・・・あー、元がそうだもんなぁ。」
 慌てた後にげんなりと何か納得する颯と、微妙な顔つきの蓮と栞夫婦。
 そんな顔されても病気の予防も兼ねて必要だよね?

 ちょっと調べたら魔獣の革や角で作られた何かがあったと判明し、全員でドン引きした。
 角なんてもう武器じゃないの?
 衛生的なものを作りましょう、そうしましょうと最優先で計画されたのだった。
 魔道具万歳!
 試作品はジロウとマホ夫婦に渡して感想を聞けばいいよね?ダメ?
 二人の間には女の子も生まれている。
 私がシナの国にいる間の出来事だったけれど、お祝いを作って颯から渡してもらったよ。

 結果的に家族計画の品も進化を早めてしまうのだった。

 年末の会合はソーギの蓮夫婦の家に集合する事にし、栞はなるべく転移しない事を決定して私は大量に布やゴム、スナップボタン、綿を買いこんでから寄宿舎に戻った。
 ついでに面ファスナー(某メーカーのマジッ〇テープ)を作るための機械や工場を作って欲しいとお願いした。

 寄宿舎での自由時間中、せっせとベビー用品を作る私を見て、周囲はまた何を縫い始めたのかと見学する。
「友達に赤ちゃんが生まれるので、準備をしているの。」
 そう話せば、皆さんや宣教師達も興味津々。
 見た事のないロンパースやお食事エプロン、布ナプキンのように作ったおしめやパンツのように立体的に作った布のおむつカバーにも驚かれる。
 唸れ!私の手芸魔法。こういう時に活躍してこそだ!
 そんな感じでせっせと作っていると、将来のためにと寄宿舎のお姉さま達まで作り始めたので、子供もいないのにベビーグッズフィーバーがやってきた。

 え?皆さん勉強は?
 これはこれで今しか学べない?そうですか。

 洗浄魔法があるからこそ布のおしめも取り扱いが楽で、ゴミが出ないのが良い。
 そのためこの世界ではティッシュが無いんだよね。
 鼻水が出てもハンカチでかんで洗浄すればいいし、化粧水を顔に使う時にはシルクの布を使って終わったら洗浄する。
 書き物用の紙は進化するけれど、使い捨てのトイレットぺーパーやティッシュは見当たらない。

 先にマタニティドレスやブラジャーは渡していたけれど、おくるみやケープ、ブランケットの大きめの品を作って完成する頃には冬になっていた。


 冬休みに一式をプレゼントすると、種類と量に驚かれる。
 サイズを少しずつ変えているものもあるから、それなりの量になるよね?
「各サイズを作るのが面倒だから、着物にしようかと思っていたけれど、かなり助かるわ。ありがとう。」
 栞がしみじみと言っていたのが印象的。

 その頃にはお腹もだいぶ大きくなっていたので、安産を願って治癒と回復の魔法も掛けた。
 二人は魔道具を持っているけれど、一応ね。

 颯は乳幼児から使えるバギーを作っていたので、どうせならそれも登録してどこかで量産してもらおうという話になる。
 ここでもタイヤに使うゴムの入荷が大事な事となった。
 大量生産を切実に求む。
 

 年が明けると私は十五歳、颯は二十四歳、蓮は三十歳、栞は二十六歳になった。


 梅の季節には大きな揺れに襲われた。
 下から突き上げられるようなドンッという音と共にゆさゆさガタガタと建物が揺れる。
 身体も前後左右に振り回される感じがした。
 結界の魔道具が仕事をしているのか、それ以上の被害にはならなかった。

 揺れが落ち着き、寄宿舎の皆で無事を確かめ合った後、外に出る。
 学院は高台にあるのでハマの街並みや港を見渡せるのだけれど・・・工場か何かの煙突が何本も倒壊しているのが見えた。
 建物は魔法で修復したり撤去が出来るけれど、人への被害が少ない事を願うしかない。
 教会が近いから、対策に出る人がいるはず。
 寄宿舎の皆で無事を祈った。

 この地震をきっかけに世界初の地震学会が結成された。

 教会で設置を進めていた建屋の魔道具設置が功を奏し、重要な建物の損壊は免れたが、今後は全ての建物に結界の魔道具を嵌め込むことを目指すという。
 これに伴い、各家庭での火の取り扱いも、薪を使わずに魔道具を中心に使用するよう義務付けられ、薪や炭を取り扱う所では結界の魔道具が優先して置かれた。

 私の付与の仕事も一回に三十個行うようになり、せっせとこなしている。


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