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第二話
しおりを挟む(……エフェリーネ様?)
「ありがとう。ところで、貴女は何故赤いドレスを着ているのかしら?」
「え?」
「今日のお茶会に赤いドレスの令嬢は私以外、貴女だけよ?ご覧になって」
エフェリーネ様が参加している令嬢達の方へ視線を向けるとアンシェラも見回す。
「あれ?本当だわ、すごい偶然ですねっ!」
「偶然かしら?皆様、今日は赤いドレスをお選びにならなかったのはどうしてかしら?」
一人のご令嬢が声を上げる。
「頂いた招待状に、参加者は赤以外のドレスを着用という記載があったからです、エフェリーネ様」
「そうですね。ドレスコードが赤以外のドレス、となっていたから皆様は赤以外のドレスを纏っているのです。特定の色を着ないように書いてあるという事は、その色は主催者が着るから、と暗に伝えているのですよ?」
エフェリーネ様は微笑みを浮かべてアンシェラに伝える。
「えー!だって私そんな事知らなかったから……」
「そうでしょうね。私は貴女に招待状を送っていませんもの」
「じゃあ仕方ないですよね!」
パァッと明るい表情を見せるアンシェラ。
「何が仕方ないのかしら?」
「え?だって知らなかったら色が被っちゃう事もありますよね?だから仕方ないでしょ?」
「知らなければ被ってしまう事もあるでしょう。ですからそういった事が起こらないように、招待したい方へお届けした招待状に記載しているのです。それを知らないと仰るなら、貴女は招かれざる客という事ですわ」
エフェリーネ様の言葉にやっと何か感じたのか、周りの令嬢達に目を向けるアンシェラ。
冷ややかな目で見る方、眉を顰める方、見るのも嫌と言わんばかりに目を逸らす方。
少なくとも、好意的な目をしている方は一人として居ません。もちろん私を含めて。
「え、私、除け者にされてるの?酷い!いじめだわっ!」
「いいえ、虐めてなどいません。私は最低限のマナーも知らない方はお茶会にお呼びしませんの。ところでそのドレス、本当に貴女の物なんですか?」
「私のですー!カスペル様が私に贈ってくれたんだもの!」
あ、また空気が凍りました。
カスペル様というのは、私の婚約者の侯爵家の嫡男です。
私の婚約者が何故、私の妹にドレスを贈るのでしょう。
つまりはそういう事です。
原因はアンシェラが誘惑したからですが、カスペル様は私の婚約者でありながら、アンシェラに入れ込んでいるのです。
「そうですか。ですが、本来は貴女の物ではなかったのでは?そのドレス、マダムウルジュラの物ですよね?マダムの仕事は完璧です。体の一部であるかのように体に馴染みますのに、少々胸元にゆとりがあり過ぎるようですわ。逆に腰の辺りは少し窮屈そうですけれど」
見た瞬間分かってはいたけれど、アンシェラが纏っているドレスには見覚えがあった。
私がマダムに採寸をしてもらい、カスペル様から贈られるはずだったドレスだったから。
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