【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴

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第四話

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 あのお茶会から半年。

「あれから、もう半年も経つのね」
 
 あの日、帰宅してお父様にカスペル様との婚約をアンシェラと交代させて欲しいと話した。
 先に戻っていたアンシェラからも話を聞いていたようで、なんとか許してもらえた。
 ところがその数日後、侯爵家が爵位を取り上げられ、婚約が白紙になった。
 財務大臣を務めていた侯爵は、かなり前から国庫の財産を横領しており、我が家との婚約話以前から内密に調査されていたらしい。
 カスペル様自身は何も知らなかったようで、貴族籍を失って平民となるだけで済んだものの、貴族の暮らししか知らない彼が生きていけるかはわからない。
 貴族籍を失った後、一度我が家にカスペル様が訪ねて来た。敷地の外から柵越しに、だけれど。
 あまりに外から叫ぶものだから、嫌々アンシェラも対面したようだった。

「アンシェラ‼︎僕と一緒に来てくれるだろ⁉︎」

 今や侯爵家の嫡男であった見る影も無く、柵にしがみ付きすがる様な表情で呼びかける。
 
「っふざけないで!行くわけないじゃない‼︎」
「アンシェラ……そんな事言わないでくれ。お腹の子と三人で暮らそうよ!」
「……そうよ、私のお腹の中に貴方の子供がいるのよ⁉︎どうしてくれるのっ⁉︎私に平民の子を産めって言うの⁉︎」

 そして驚いた事に、アンシェラがカスペル様の子を身籠っていた事がわかった。
 思えば、お茶会で着ていたドレスの腰回りが窮屈そうだったのは、妊娠していてコルセットを巻けなかったからだったのね。

「アンシェラ、どうしたんだ?あんなに僕の事を愛してるって言ってたじゃないか⁉︎」
「“侯爵家のカスペル様”をね!平民のカスペルなんて何の価値も無いわ‼︎」
「……そんな。……そうだ、クリスティナ……っクリスティナー‼︎やっと気づいたよ!やっぱり君が僕の運命の人だーっ‼︎」
「――⁉︎はぁ⁉︎私がダメならお姉さま⁉︎ちょっと‼︎この平民を家に近付けないでちょうだい‼︎」
 

 婚前のアンシェラが妊娠していた事を知った両親は大激怒し絶縁を告げた。

「お父様!なんでそんな事を言うの⁉︎」
「お前の我が儘にはかなり目を瞑ってきたが、もう限界だ。外であのバカ息子と大声で言い争ったそうだな?まさか身篭っていたとは。この事はすぐに広まる。姉の婚約者を奪い、婚前にも関わらず妊娠。結婚するはずだった男は平民になり、腹の子は堕すには育ち過ぎている。醜聞まみれになったお前は、もうまともな結婚相手は望めない!」
「そんな事無い!私はこんなに可愛いんだから、私と結婚したい人はいくらでもいるもん‼︎」
「貴女をこんな事になるまで甘やかしてしまった私達にも非があるわ、ごめんなさいねアンシェラ。癇癪を起こすからと、叱る事をやめてしまった……。だからね、これから学んでいけばいいのよ?」
「お母様――」
「貴女には修道院に入ってもらうわ」
「えっ?」
「大丈夫よ。厳しい所だと聞くけど、素晴らしい所とも聞くわ。お腹の子は産まれたら里子に出してくれるそうだから安心してね」
「嫌よ修道院なんて行きたくない!」
「もう決まった事だ」
「やだやだやだっ‼︎」
「体に気をつけてね、アンシェラ」
「いやあぁぁぁぁあっ‼︎」

 そうしてアンシェラは遠く離れた修道院へ送られて行った。
 アンシェラの様子は、たまに送られてくる修道院からの手紙で知る事が出来る。
 厳しい院長の指導の元、大人しく過ごしているそうだ。

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