ダメ男に費やす時間は無い

聖 りんご

文字の大きさ
27 / 31
ショートストーリー

Special♡Thanks!~孝宏の新しい恋~

しおりを挟む
親に実家を追い出された俺は与えられたアパートの一室でギリギリの生活をしていた。

それもこれも全部真奈のせいだ。
慰謝料を請求してくるなんてがめついっ!貯金はほぼゼロだし会社でも白い目で見られるし最悪だ…。
俺の人生終わった……。
ダメだ…飲まずにやってられない。しかし金もない。

適当に街をフラフラしていると繁華街に入ったようで客引きがちょいちょい声をかけてくる。
鬱陶しいから無視してるのに歩く度に代わる代わる勧誘されてイライラが増していく。

「あの~。」

「だ~ウザイ!勧誘なら話しかけんなっ!!」

「え?あ、違くて…鍵落としたから…。」

声をかけてきた女が両手を胸の前で組む。手をみると俺の鍵が鍵につけていたストラップが見えている。

「あ、その…すんません。ありがとう。」

「い、いえ…」

よく見ると女は派手な格好をしているが中々可愛い。
この辺の店の子っぽい。

「あの…じゃあ私行きますね。」

ハニカミながら手を振って背を向けようとする女の手を、俺は無意識にとっていた。
女は驚いた顔をしているが、俺も負けないくらい驚いてる。

「あ、いや…アレだ。お、お礼!拾ってもらったお礼をしないと。」

「え?全然気にしないで下さい。大したことしてませんし。それに私お店に戻らないといけないので。」

「あ、そうだ店!少しだけ飲みたい気分だったんだ。店近いなら案内してくれないか?」

「え?お店はすぐそこですけど…いいんですか?」

「ああ。君と話したくなったんだ。」

女はよっぽど嬉しいのか両手で俺の右手を掴み無邪気に礼を言った。何だかこんな顔久しぶりにされたな……。

「こんなカッコイイお兄さんとお店入ったら皆に自慢出来ちゃうね!」

「え?あ、そう??なんか照れるな。そいや君の名前は?」

「しずかって言います!」

しずか…なんか可愛い名前だな。一緒にいると落ち着くって言うかこの子俺がいないとダメなんじゃね?
よしっ。変な男が近寄らないか見貼ろう。この無邪気な笑顔は俺が守るっ!!

FIN
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

あのね、好きよ、だけど・・・

陽紫葵
恋愛
いつも片想い・・・

一夜の男

詩織
恋愛
ドラマとかの出来事かと思ってた。 まさか自分にもこんなことが起きるとは... そして相手の顔を見ることなく逃げたので、知ってる人かも全く知らない人かもわからない。

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜

小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。 でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。 就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。 そこには玲央がいる。 それなのに、私は玲央に選ばれない…… そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。 瀬川真冬 25歳 一ノ瀬玲央 25歳 ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。 表紙は簡単表紙メーカーにて作成。 アルファポリス公開日 2024/10/21 作品の無断転載はご遠慮ください。

天才棋士からの渾身の溺愛一手

鳴宮鶉子
恋愛
天才棋士からの渾身の溺愛一手

処理中です...