女子2人で鉄道旅をしています

湯郷五月

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第22.5章 とあるお泊まりのお話

とあるお泊まりのお話②

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 そのことに気付いたのは脱衣所に着いてからだった。当たり前のことだが、お風呂に入るためには服を脱がなければならない。裸にならなければ入ることができないのだ。

 自分の服を脱ぎ始めてから気付いた。あれ? これ、ひばりも服を脱いでるんじゃないか、と。ひばりもまた、私と一緒に裸になり、私と一緒に湯船に浸かることになるのではないか、と。

 それに気付いた瞬間、猛烈な羞恥心が私を襲い始めた。いや、女同士で何を言ってるんだと言われるかもしれないが、ひばりは特別なのだ。なんというか、神聖であり、神々しく、女神様のような存在なのだ。

 そのひばりが私の前に素肌を晒す……? それはあまりにも刺激的すぎる。想像するだけで脳の血管が全て破裂してしまいそうだ。

 もうこうなってしまってはダメだ。とてもひばりを直視できなくなってしまい、心臓は口からまろび出そうなほど大暴れ。なんとかお風呂だから誤魔化せているが、きっと全身真っ赤なはずだ。妙に熱く感じるのは、大浴場の熱気だけが理由ではない。

「あの、みずほさん?」

「ひゃい!?」

 どうにかこうにか全身を洗い終え、湯船に浸かってみたは良いものの、ひばりは当然私の隣にやってくる。私の気なんか知らないで、距離を詰めてくるのだ。

「もしかして、大浴場とか苦手だったかしら?」

 いや、そういうわけではないのだが。あの、それより、肌が触れあっております。そっちの方が大問題です。ひばりさんの柔らかな感触がダイレクトに伝わってきて、健康によろしくありません。

「流石に友達同士でも肌を見せるのが苦手な人はいるものね。無理に誘ってしまって申し訳ないわ」

「イヤ、ベツニ、ソウイウワケジャ、ナインデ。ダイジョウブ、デス」

 さくらとならこうはならない。ひばりが特別なのだ。そんなこと当人に言えるわけないんだけど。

「もしかして、さくらさんもそうなのかしら?」

「いや、あいつはそういうの気にしないよ」

 ふと、さくらの名前が出て、正気に戻れた気がする。

「秩父行ったときかな。一緒に温泉入ったし」

「まあ、そうなのね。……うん?」

 ふと、小首を傾げるひばり。

「みずほさんも一緒に入ったのよね?」

「うん。そうそう、あのときは登山帰りのおばちゃんと一緒でね」

「だとしたら……」

 もやった天井に一度視線を送ってから、私に目を向けた。

「みずほさんがそわそわしてるのは、何故?」

 ……あ。

 いかん、私はなに口を滑らせてるんだ。これじゃあ、まるでひばりに原因があるように聞こえてしまうじゃないか。いや、実際そうなんだけど。でも、バレるのはまずい。

 ひばりの純粋な視線が私を射抜く。ああ、彼女は別に怒ってるわけでもないし、不満を顕わにしてるわけでもない。単純に疑問に思ったことを尋ねてるだけなんだ。

 だけど、本当のことは口が裂けても言えない。子供から「赤ちゃんはどうやって産まれるの?」と聞かれたような気分だ。

 それに、なんというか、こう、蒸気と温泉に当てられて濡れたひばりは、普段とは趣が変わり、艶めかしく映った。

 頭に巻いたタオルから覗く金色の髪先は、しっとりと水分を含んで光っている。こぼれ落ちた水滴が、ツヤのある頬を伝って流れ落ちた。

 唇は水分を含んで、口紅を塗ってもいないのに輝くようなハリをしたためる。雪のように白い柔肌は、絹のようにきめ細かく、水分を弾いて水玉を浮かべていた。

 そして、何より、流石欧米の血が入っているというべきか、豊満な乳房が嫌と言うほど主張を隠さない。湯面から覗いた谷間に向かって汗がしたたり落ちる。ゆらゆらと揺れる肢体は、時折そのシルエットをはっきりと投影した。

 形の良い乳房。贅肉の欠片も感じさせないくびれ。丸みを帯びた骨盤回り。モデルのように細長い手足。

 全てが特大の情報量で私に襲いかかる。何だか頭がくらくらしてきた。恐らく、お湯でのぼせたわけではない。私はひばりにのぼせ上がってしまったのだ。

「ご、ごめん! 私、先に出るね!」

 とてもじゃないが、その場にいることなどできなかった。浴場を飛び出した私は、まともに体を拭くこともせずに、速攻で着替えて飛び出したのであった。
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