3 / 9
3
しおりを挟む「ねぇ、ふーみん」
「……何? 猿彦くん。あとその呼び方、やめてくれる?」
「えー? や・だ♡」
「…………」
こいつ…、この人気のある廊下を歩いている状態でこの俺が暴言を吐けないことをいいことに言いたい放題言いやがって。あとで覚えてろよ…? 死ぬよりも辛い目に合わせてやる。
にっこりと笑いながらそう思っていると何となく気持ちを汲み取ったのか、ビクリと肩を揺らした馬鹿が目を泳がせながら気を逸らすように話題を切り出した。
「そ、それよりもさー、聞いた? あの噂」
「……噂?」
「そー! あの臥龍院(がりゅういん)先輩がついにこいつに堕ちたって、う・わ・さ・!」
「…………は? あの人が…?」
この学園では、肩書きが全てだ。
家柄、能力、美貌、そして、役職。
各委員会の長、生徒会、風紀委員会、そのトップが有する力たるや、凄まじいものがある。
だからここに通う生徒はその椅子を狙って死に物狂いになる。が、俺はその席に座っている奴らに負けていると思ったことは一度もない。
確かに能力値は高いだろう。一般人からしてみれば、あやつらもそれなりに凄いのだろうが、まぁ当たり前だが俺には到底及ばないし、言ってしまえばまだこの俺の隣を歩いている馬鹿の方がまだマシというもの。
しかし、そんな俺が唯一敵わないと思わされた人物が一人いる。
それが、学園始まって以来の逸材と謳われる、臥龍院 知桜智(がりゅういん ともちさ)その人だ。
その人は、
「ふーみん? 話聞いてる? ふーみんってば」
「……はぁ、聞いてるよ猿彦くん。何?」
「いや、学食着いちゃったからさ、どうする?」
「…それ、今更じゃない? てか、こうなった原因は君なんだけどな?」
「あはは、ごめんよ。悪かったとは思ってるけどさ、待ちに待った王道くんが……アンチだけど、来たんだから絡まなきゃ損ってもんだよ!」
「……………はぁ」
この腐れ幼馴染は『腐男子』とかいうやつらしく、男同士がいちゃついているのを見て興奮するという理解し難い性癖がある。
今まで俺がそれに巻き込まれたことがなかったから特に問題視してなかったが…まぁ俺は心が広いからな。今回のことは許してやるが、カタがついてからきっちり迷惑料を徴収しよう。
それくらいあってもいいだろうと思う程、このクソ猿に振り回されるのは苦痛なのだ。
クソ猿に堕ちた教師や生徒は目の敵にしてくるし、それなりに付き合っていた奴らも遠目から気の毒そうに見ているだけ。立場的にも力的にも抵抗できず、振り回される俺に嬉々として近寄ってくるのはこの馬鹿だけ。
………憂鬱だ。
22
あなたにおすすめの小説
ポメった幼馴染をモフる話
鑽孔さんこう
BL
ポメガバースBLです! 大学生の幼馴染2人は恋人同士で同じ家に住んでいる。ある金曜日の夜、バイト帰りで疲れ切ったまま寒空の下家路につき、愛しの我が家へ着いた頃には体は冷え切っていた。家の中では恋人の居川仁が帰りを待ってくれているはずだが、家の外から人の気配は感じられない。聞きそびれていた用事でもあったか、と思考を巡らせながら家の扉を開けるとそこには…!※12時投稿。2025.3.11完結しました。追加で投稿中。
代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。
知らないうちに実ってた
キトー
BL
※BLです。
専門学生の蓮は同級生の翔に告白をするが快い返事はもらえなかった。
振られたショックで逃げて裏路地で泣いていたら追いかけてきた人物がいて──
fujossyや小説家になろうにも掲載中。
感想など反応もらえると嬉しいです!
同僚の吸血鬼は今日も憂う
ユーリ
BL
しまった、血液パックを切らしたーー吸血鬼であることを隠して仕事をするが貧血で倒れてしまったところを同僚に助けられるも、思わずそのたくましい首元に噛みついてしまいーー
「今の俺が幸せなのがその証拠だ」溺愛系攻×さみしい吸血鬼受「僕は恋人は作りたくない」…誰にも迷惑をかけたくないからひっそり生きてるはずなのに…なんでキミはいつも隣にいるの?
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)
turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。
徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。
彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。
一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。
ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。
その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。
そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。
時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは?
ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ?
読んでくださった方ありがとうございます😊
♥もすごく嬉しいです。
不定期ですが番外編更新していきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる