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しおりを挟む「相席しても、いいかな?」
「……………臥龍院、先輩…」
ーーーその人は、まさに完璧そのものだった。
勉学も運動も常人の斜め上をいく素晴らしさでこなし、それでいてそれを鼻にかけたような態度も取らず、誰にも好かれるくらい人当たりがいい。
『完璧』、まさにその言葉をそのまま体現したかのような、偉人の素質を持って生まれた人だった。
「……ダメ、かな?」
「……………いえ、どうぞ」
「知桜智! 昨日振りだな!」
「ふふ、そうだね。みなみの横に座っても?」
「あぁ! いいぞ!」
………悔しいが、俺はこの人に勝てた試しが一度もない。
首席で合格したと報告を聞いて、浮き足立った気持ちで入学した俺を待っていたのは、そんな予想もしなかった現実だった。
初めてだった。誰かに負けるというのが。
「知桜智は何食べるんだ!?」
「俺はお弁当があるから、」
「それなのに学食にきたのか? あ、そうか! そんなに俺に会いたかったんだな!?」
「………はは。まぁね」
「……………ねぇ、ふーみん。俺は悪い夢でも見てるのかな」
「さぁ、君がそう思うならそうなんじゃない?」
「だってあの臥龍院先輩が、あの臥龍院先輩が……っ!」
「……………うるさいよ、もう」
「こんな、こんなのは萌えじゃないッ!」
「……………」
この完璧超人に勝とうと、どれだけ努力をしても駄目だった。親や周りの奴らはそれでも凄いと褒め称えるが、出来て当然のものを褒められても、微塵も嬉しくなかった。
もっと、完璧に。もっと、高みへ。
そう、どれだけ手を伸ばしても、この俺が、この人の足元にも及ばなかった。
この学園に入って何度挫折しそうになったか、数えたくもない。
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