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第一部「ブレナード反逆編」
第18話:暴かれた証言と、微笑む黒幕
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王宮地下、尋問室。
重厚な石造りの小部屋に、尋問官と王宮警護兵、そして私とアレクシスが立ち会っていた。
対面の椅子に縛られたのは、王宮副長・バルド。
かつて王の身辺を補佐してきた忠臣の名を、今や誰も口にしなくなっていた。
「……レイナ・アルセリナ。君は本当に、強くなった」
目の下に隈を浮かべた男が、皮肉げに笑った。
だが私は冷たい視線を崩さなかった。
「あなたが私の命を狙う“協力”をしたと聞いて、強くならずにいられますか?」
アレクシスが短く口を開いた。
「言え、バルド。何の見返りで、ブレナード家に通じた?」
沈黙。
そして、短いため息。
「……忠誠だよ」
「王への?」
「いいや。“王家”ではない。“国家”への忠誠だ」
彼の声は、まるで信仰を語るかのようだった。
「王政は腐りかけていた。貴族の傀儡、民の声も届かず、ただ古き名門が栄える体制――ブレナードは、それを正すと言った。……真の革命だと」
「そのために、命を奪っても?」
「“犠牲”なくして変革はない」
私は歯を食いしばった。
父が犠牲になり、私が標的にされ、今なお誰かが“正義”と呼ぶ仮面の下で命を奪われようとしている。
「父はどこに?」
「……生きている。だが、“口を開けば”消される立場だ。私に言えるのはそこまでだ」
アレクシスの剣が鞘の中でわずかに鳴った。
尋問官が制止する。
「これ以上の尋問は王妃陛下の許可を。ですが、確かに“協力者”の証言は得られました。これで“証拠”は整います」
私たちは部屋を後にした。
その背に、バルドの嗤う声が響いた。
「……君たちは、“王家の内側”をまだ知らない。気をつけることだ、侯爵夫妻」
* * *
その日の午後。
王妃陛下の執務室で、私たちはこれまでの証拠と証言を報告した。
「……ブレナード家は、まことしやかに改革を唱えつつ、実のところ“王位簒奪”の準備を進めていたのでございます」
私がそう口にすると、王妃は静かに目を閉じて頷いた。
「陛下も、既にその可能性には気づいておりました。だが……内部に協力者がいる以上、表立って動けなかった」
「ならば、我々が動きます」
アレクシスが一歩前に進む。
「王宮の“清浄”のため、正式に我が家に“粛清の任”をお与えください。ブレナードの陰謀を阻止し、王政を正す剣として」
王妃は瞳を開いた。
「……その覚悟、しかと見届けました。レイナ・アルセリナ。そして、アレクシス・グランデ。王家はあなた方に正式に“討伐の命”を託します」
静かに、印章の押された文書が差し出される。
それは、政治的な意味において、“戦争の開始”を意味していた。
* * *
その夜。
ブレナード家の私邸にて。
エレーヌ・ブレナードは、一通の書簡を手にしていた。
> 《副長、捕縛。供述あり。王家は動き出す》
それを読み終えたあと、彼女は何事もなかったかのように微笑んだ。
「……では、“次”の計画に移りましょう」
傍らに控える男が頭を下げる。
「すでに、“彼女”は王都に入りました。公爵家筋を名乗っており、誰も疑っておりません」
「よろしい。もう“アルセリナ”の名は不要。次は“王妃の座”そのものを――奪ってみせます」
蝋燭の火が、パチパチと音を立てる。
その炎の中で、エレーヌは微笑みながら静かに囁いた。
「さあ、“正義”を知らぬ者たちに、革命の口づけを」
重厚な石造りの小部屋に、尋問官と王宮警護兵、そして私とアレクシスが立ち会っていた。
対面の椅子に縛られたのは、王宮副長・バルド。
かつて王の身辺を補佐してきた忠臣の名を、今や誰も口にしなくなっていた。
「……レイナ・アルセリナ。君は本当に、強くなった」
目の下に隈を浮かべた男が、皮肉げに笑った。
だが私は冷たい視線を崩さなかった。
「あなたが私の命を狙う“協力”をしたと聞いて、強くならずにいられますか?」
アレクシスが短く口を開いた。
「言え、バルド。何の見返りで、ブレナード家に通じた?」
沈黙。
そして、短いため息。
「……忠誠だよ」
「王への?」
「いいや。“王家”ではない。“国家”への忠誠だ」
彼の声は、まるで信仰を語るかのようだった。
「王政は腐りかけていた。貴族の傀儡、民の声も届かず、ただ古き名門が栄える体制――ブレナードは、それを正すと言った。……真の革命だと」
「そのために、命を奪っても?」
「“犠牲”なくして変革はない」
私は歯を食いしばった。
父が犠牲になり、私が標的にされ、今なお誰かが“正義”と呼ぶ仮面の下で命を奪われようとしている。
「父はどこに?」
「……生きている。だが、“口を開けば”消される立場だ。私に言えるのはそこまでだ」
アレクシスの剣が鞘の中でわずかに鳴った。
尋問官が制止する。
「これ以上の尋問は王妃陛下の許可を。ですが、確かに“協力者”の証言は得られました。これで“証拠”は整います」
私たちは部屋を後にした。
その背に、バルドの嗤う声が響いた。
「……君たちは、“王家の内側”をまだ知らない。気をつけることだ、侯爵夫妻」
* * *
その日の午後。
王妃陛下の執務室で、私たちはこれまでの証拠と証言を報告した。
「……ブレナード家は、まことしやかに改革を唱えつつ、実のところ“王位簒奪”の準備を進めていたのでございます」
私がそう口にすると、王妃は静かに目を閉じて頷いた。
「陛下も、既にその可能性には気づいておりました。だが……内部に協力者がいる以上、表立って動けなかった」
「ならば、我々が動きます」
アレクシスが一歩前に進む。
「王宮の“清浄”のため、正式に我が家に“粛清の任”をお与えください。ブレナードの陰謀を阻止し、王政を正す剣として」
王妃は瞳を開いた。
「……その覚悟、しかと見届けました。レイナ・アルセリナ。そして、アレクシス・グランデ。王家はあなた方に正式に“討伐の命”を託します」
静かに、印章の押された文書が差し出される。
それは、政治的な意味において、“戦争の開始”を意味していた。
* * *
その夜。
ブレナード家の私邸にて。
エレーヌ・ブレナードは、一通の書簡を手にしていた。
> 《副長、捕縛。供述あり。王家は動き出す》
それを読み終えたあと、彼女は何事もなかったかのように微笑んだ。
「……では、“次”の計画に移りましょう」
傍らに控える男が頭を下げる。
「すでに、“彼女”は王都に入りました。公爵家筋を名乗っており、誰も疑っておりません」
「よろしい。もう“アルセリナ”の名は不要。次は“王妃の座”そのものを――奪ってみせます」
蝋燭の火が、パチパチと音を立てる。
その炎の中で、エレーヌは微笑みながら静かに囁いた。
「さあ、“正義”を知らぬ者たちに、革命の口づけを」
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