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第16話:迎えに来た──もう一度、お前を隣に
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宿舎のドアが、控えめにノックされた。
こんな場所を知っているのは、数えるほどしかいない。
けれど、足音だけで分かった。
胸の奥に響くような、真っすぐな気配。
「……開いてるよ」
ドアノブがゆっくりと回り、見慣れた顔が姿を現した。
「──来た」
その言葉は、どこか呆れたようで、嬉しそうだった。
「……やっと見つけた」
陽翔は、ほんの少しだけ目元をゆるめた。
けれど、すぐにまっすぐな声で言った。
「迎えに来た。約束通り」
透真は返事をしなかった。
けれど、その場から逃げようとはしなかった。
陽翔はゆっくりと歩み寄り、ひざを折って透真と視線を合わせる。
「透真。
あの日、お前は“俺の力になる日が来たら、迎えに来い”と言った」
「……ああ」
「だったら言わせろ。
お前はもう、俺にとって“支えられる側”なんかじゃない。
隣に立ってくれるだけで、俺は前を向ける。
お前の存在が、俺の原動力だ」
「──陽翔」
「番であることを、誇れ。
俺は、誰よりもお前を誇りに思ってる」
言葉の途中で、透真の目に涙が滲んだ。
「……ずるいよ、そういうの。
俺、何度も逃げたのに……」
「逃げてない。向き合っただけだ。
だから今、こうして俺が迎えに来られた」
陽翔は、そっと手を差し出した。
「──一緒に帰ろう、透真。
“俺の隣”へ」
一秒。二秒。
沈黙のあと、透真はそっとその手を取った。
小さな指先の熱に、陽翔の手がしっかりと応える。
気づけば、身体が自然と引き寄せられていた。
言葉はもう、いらなかった。
ただ、抱きしめる。
確かにここにいると、互いの温度で確かめるように。
透真の小さな囁きが、陽翔の胸元に染み込んだ。
「……俺、帰るよ。お前の隣に」
「──ああ。
今度は、二度と離さない」
その翌日、透真は公式記者会見に出席し、
陽翔の“法的番”として正式に認定された。
賛否の声はあった。
けれど、二人の姿は何よりも揺るがなかった。
──これが、“番を選んだ未来”の形だ。
こんな場所を知っているのは、数えるほどしかいない。
けれど、足音だけで分かった。
胸の奥に響くような、真っすぐな気配。
「……開いてるよ」
ドアノブがゆっくりと回り、見慣れた顔が姿を現した。
「──来た」
その言葉は、どこか呆れたようで、嬉しそうだった。
「……やっと見つけた」
陽翔は、ほんの少しだけ目元をゆるめた。
けれど、すぐにまっすぐな声で言った。
「迎えに来た。約束通り」
透真は返事をしなかった。
けれど、その場から逃げようとはしなかった。
陽翔はゆっくりと歩み寄り、ひざを折って透真と視線を合わせる。
「透真。
あの日、お前は“俺の力になる日が来たら、迎えに来い”と言った」
「……ああ」
「だったら言わせろ。
お前はもう、俺にとって“支えられる側”なんかじゃない。
隣に立ってくれるだけで、俺は前を向ける。
お前の存在が、俺の原動力だ」
「──陽翔」
「番であることを、誇れ。
俺は、誰よりもお前を誇りに思ってる」
言葉の途中で、透真の目に涙が滲んだ。
「……ずるいよ、そういうの。
俺、何度も逃げたのに……」
「逃げてない。向き合っただけだ。
だから今、こうして俺が迎えに来られた」
陽翔は、そっと手を差し出した。
「──一緒に帰ろう、透真。
“俺の隣”へ」
一秒。二秒。
沈黙のあと、透真はそっとその手を取った。
小さな指先の熱に、陽翔の手がしっかりと応える。
気づけば、身体が自然と引き寄せられていた。
言葉はもう、いらなかった。
ただ、抱きしめる。
確かにここにいると、互いの温度で確かめるように。
透真の小さな囁きが、陽翔の胸元に染み込んだ。
「……俺、帰るよ。お前の隣に」
「──ああ。
今度は、二度と離さない」
その翌日、透真は公式記者会見に出席し、
陽翔の“法的番”として正式に認定された。
賛否の声はあった。
けれど、二人の姿は何よりも揺るがなかった。
──これが、“番を選んだ未来”の形だ。
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