Ωの花嫁に指名されたけど、αのアイツは俺にだけ発情するらしい

春夜夢

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第54話:選び取る未来と、始まりの記者会見

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大型ホールの中央、記者たちのフラッシュが弾ける。
 壇上に並ぶのは、制度研究機関の主任たちと──

「本日は、“番制度”に関する臨時見直し案の公表会見となります」

 そして、隣に立つ透真と陽翔。
 制度を揺るがす数値を持った「番のカップル」として、特例的に登壇を許された。


---

「緋月透真です。今日は、ひとつだけ伝えたいことがあります」

 透真はマイクを握ると、堂々と正面を見据えた。

「俺は“番制度”に選ばれたわけじゃありません。
 自分の意思で、天瀬陽翔を選び、愛しました」


---

「番という言葉に縛られて苦しんでいる人がいるなら──
 “選び取る自由”が、そこにあると知ってほしい」


---

 その言葉に、場内がざわめく。
 記者たちが一斉に手を挙げ、質問が飛び交った。

「番制度を否定する立場なのか?」

「共鳴率100%超えの詳細を──!」


---

 陽翔は透真の背にそっと手を添え、前へ出る。

「制度を全否定するつもりはない。だが、“それだけ”が幸せの形じゃない」

「俺たちは“番”であると同時に──意思で結ばれた“恋人”だ」


---

 眩しいライトの下、ふたりは互いに視線を交わした。
 会場のざわめきが遠のくような静寂の中、透真がそっと言った。

「俺はこの人と、恋をして、愛して、夜を共にした。
 制度があってもなくても、その事実は変わらない」


---

 その言葉が、会見を締めくくる最大の一撃となった。

 後日──SNSでは、

> 『番制度を超えたカップルが現れた』
『選び取った愛こそが本物?』
『制度の終わりの始まり』



 など、賛否両論の嵐。


---

 だが、透真は静かに微笑んでいた。
 部屋に戻ってすぐ、陽翔がそっと抱きしめてくれたからだ。

「大丈夫。どんな声があろうと、
 お前を守るのは──俺だけだ」

「うん。俺も、あんたの隣にいられるなら、怖くない」


---

 ふたりは手を取り合い、未来を見据える。
 番制度が崩れようとも──ふたりの愛は揺るがない。
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