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第55話:甘い休日と、届いた招待状
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記者会見から数日──
世間の騒がしさとは裏腹に、透真と陽翔は静かな朝を迎えていた。
カーテン越しの陽光、淹れたてのコーヒー、そして寄り添う体温。
その全てが、“恋人同士の朝”を形づくっている。
---
「……起きたばかりなのに、そんな顔で見られたら……」
「どんな顔?」
「好きって言ってる顔」
---
透真が照れくさそうにコーヒーを啜ると、陽翔は小さく笑って口元を拭ってやった。
「好きだから見てる。それ以上でも、それ以下でもない」
---
午前中は、ふたりで近所の市場を歩いた。
いつもより少し奮発して買ったスイーツを家で食べたり、
買い置きのボードゲームで真剣勝負をしたり──
ありふれていて、かけがえのない、ふたりの時間。
---
「ねえ陽翔、こういう日が続けばいいのにね」
「ああ、続けよう。……俺たちが、“選んで”いけばいい」
---
その言葉が本当に好きだ、と透真は思った。
選ばれるのではなく、自分で選ぶ。
それは、透真が過去に失ってきた“自由”そのものだったから。
---
だが、その平穏を破ったのは──一通の招待状だった。
---
午後、ポストに届いていたのは、
制度上層機関からの封筒。
表面には、こう記されていた。
> 【制度改革特別会議】
“象徴番ペア”としての参画依頼
会場:首都第二区政策庁ホール
日時:明後日 午後三時
---
「……来たな」
陽翔が封筒を手に取り、封を切る。
中には招待状とともに、制度改革に向けた草案の一部が添付されていた。
そこには、“番”という概念の再定義、そして──
> 『制度の未来は、“選ばれる愛”から“選び取る愛”へ』
という、ふたりの言葉を引用した見出し。
---
「……俺たち、本当に巻き込まれていくんだな」
透真はそう呟きながらも、自然と陽翔の手を握っていた。
---
「巻き込まれるんじゃない。──進んでいくんだ、俺たちで」
陽翔のその声に、透真は静かに頷く。
「……行こう。逃げずに」
---
甘い休日の終わりに、ふたりは決意を新たにする。
愛を選んだ先に、また新たな“始まり”が待っているのだと知りながら──
世間の騒がしさとは裏腹に、透真と陽翔は静かな朝を迎えていた。
カーテン越しの陽光、淹れたてのコーヒー、そして寄り添う体温。
その全てが、“恋人同士の朝”を形づくっている。
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「……起きたばかりなのに、そんな顔で見られたら……」
「どんな顔?」
「好きって言ってる顔」
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透真が照れくさそうにコーヒーを啜ると、陽翔は小さく笑って口元を拭ってやった。
「好きだから見てる。それ以上でも、それ以下でもない」
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午前中は、ふたりで近所の市場を歩いた。
いつもより少し奮発して買ったスイーツを家で食べたり、
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ありふれていて、かけがえのない、ふたりの時間。
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「ねえ陽翔、こういう日が続けばいいのにね」
「ああ、続けよう。……俺たちが、“選んで”いけばいい」
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その言葉が本当に好きだ、と透真は思った。
選ばれるのではなく、自分で選ぶ。
それは、透真が過去に失ってきた“自由”そのものだったから。
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だが、その平穏を破ったのは──一通の招待状だった。
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午後、ポストに届いていたのは、
制度上層機関からの封筒。
表面には、こう記されていた。
> 【制度改革特別会議】
“象徴番ペア”としての参画依頼
会場:首都第二区政策庁ホール
日時:明後日 午後三時
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「……来たな」
陽翔が封筒を手に取り、封を切る。
中には招待状とともに、制度改革に向けた草案の一部が添付されていた。
そこには、“番”という概念の再定義、そして──
> 『制度の未来は、“選ばれる愛”から“選び取る愛”へ』
という、ふたりの言葉を引用した見出し。
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「……俺たち、本当に巻き込まれていくんだな」
透真はそう呟きながらも、自然と陽翔の手を握っていた。
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「巻き込まれるんじゃない。──進んでいくんだ、俺たちで」
陽翔のその声に、透真は静かに頷く。
「……行こう。逃げずに」
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甘い休日の終わりに、ふたりは決意を新たにする。
愛を選んだ先に、また新たな“始まり”が待っているのだと知りながら──
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