宝石精霊に溺愛されていますが、主の命令を聞いてくれません

真風月花

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七章

2、提案

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「エラ伯母さまは、王家の至宝である蒼氷のダイヤモンドを捜していました。あなたが残ることは危険です。それにラウルはあの子を守ってくれたでしょう? あなたが自分のために怪我をしたのを、ティルダードはちゃんと知っているはずです」

 だからこそ、わずか十才でありながら、自分を守ろうとしたラウルの盾になろうとしたのだから。
 
 だが、繋がりは断たれた。
 それが真実であるのは、ラウル自身が一番分かっているのだろう。

(だからなのですね。ティルダードのことをほとんど口に出さなかったのは)

 アフタルは、小刻みに震えるラウルの拳にそっと手を添える。ひんやりとしたその体温は、シャールーズと同じだ。
 この人と決めた相手に、不要とされる。それは、どれほどつらいことだろう。

「きっと理由があるはずです。ティルダード自身が、あなたと関係を断つことを望むとは、わたくしには思えません」
「いいえ……いいえ、アフタルさま」

 ラウルは首を振った。
 微かな希望に縋る方が、真実であった時により絶望を感じるからつらいのだと。歯を食いしばるラウルの表情が、そう伝えていた。

 ◇◇◇

 離宮に戻ったアフタル達は、談話室に集まった。

 考えなくてはならないことは、たくさんある。
 このままティルダードを、エラの傀儡にさせるわけにはいかない。
 弟をエラから救いだし、この離宮に迎え、ラウルとの契約について確認する。

 エラの不正を暴くこと。
 剣闘士を解放すること。

 カイとミーリャの説明では、サラーマからカシアへワインを輸出し、その帰りに空っぽになった荷馬車に国境の兵士を積んで戻っていたそうだ。

「人身売買ではないですか」

 湖を見渡せる談話室で話を聞いていたアフタルは、座っていた椅子から立ち上がった。
 カイは水平線をじっと見つめている。
 その先にあるはずのオスティアは、離宮からは見えない。

「女神フォルトゥーナの思し召しだと、言われた。女神を信じる俺らは、カシアでは……じゃま……もの?」
「異端ということですか」

 神を奉じない国というのは建前で、カシアではただ信仰を封じられているのが現状のようだ。
 信仰を捨てない者を辺境に追いやり、使い捨ての駒として利用しているのだろう。

「ワインの収益。人身売買にもお金は絡むでしょう。そしてわたくしが攫われた闘技場では、賭けが行われていました」

 カシアとエラ、双方に見返りがある。たとえ夫と死別してカシアの王家を離れても、まだエラにはあの国と太い繋がりがあるということだ。
 王宮に戻れば、エラの画策を掴めるのだろうが。

「……忍び込めないでしょうか」

 ぽつりとアフタルは呟いた。
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