乙女ゲームに転生するつもりが神々の悪戯で牧場生活ゲームに転生したので満喫することにします

森 湖春

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四章 一年目はるの月

47 はるの月30日、花まつり①

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 女神と妖精の力によって、農業国として成り立つオルディワ国。
 この国において、妖精に感謝を捧げる星まつりと、女神に感謝を捧げる花まつりはとても大切な祭事である。
 どの島でも、規模は違えど開催されるのが習わしだ。中でも、泉を有する島では泉の周囲を花で囲み、それはもう華やかな祭りになる。

 若者たちにとって、花まつりは異性との出会いの場であると同時に、告白やプロポーズに最適なイベントとされている。
 花まつりの日に成就すれば、末永く幸せになれるという言い伝えがあるのだ。

 イーヴィンが本島で暮らしていた頃は、ひと月以上前から準備していたものだ。
 家々を花で飾り、花の刺繍を施した民族衣装を縫い、広場に出店を並べて、誰もが花まつりを楽しみにしていた。

 まつりは、儀式のために泉へ向かう王侯貴族による絢爛豪華なパレードで始まる。鼓笛隊のファンファーレを合図に、広場では出店やダンスをする人々で賑わうのだ。

 昼過ぎになると花撒はなまきーーやぐらの上から花や菓子を撒いて、地上にいる人たちが拾うものも、恒例である。

 プティメルバ島は、本島と同じく、泉がある島である。
 花が好きだとされる女神のために、数日前から泉の周りを彩る花々を島民総出で摘み取り、シルキーの花壇からもたくさんの花を提供した。

 以前は櫓を設置していた泉に浮かぶ小島には、魔女が住み着いている。その為、花撒きのための櫓は、泉から少し離れた拓けた場所にファーガルの手で設置されることになっているらしい。

「ファーガル!気をつけてね!」

「オレが撒く役だから、頑丈なやつにしてくれー!」

 泉のほとりに花を撒きながら、イーヴィンはリアンと共にファーガルへ声援を送る。
 二人の声援に、無表情で手を振りながら応えるぶっきらぼうなファーガルに、名もなき村娘の数人が「はぅぅ」と目をハートにしていた。

 いつもだったら「ファーガルばっかりモテてズルイ!」と喚くリアンだが、花まつりの準備に集中しているのか、わりと大人しい。
 せっせと花を撒くリアンを見て、イーヴィンは意外と真面目な一面もあるんだなと思った。

 感謝祭のあと、イーヴィンはたびたびリアンの牧場を訪ねるようになった。リアンとファーガルと一緒に過ごすことは、弟たちと遊んでいた時のように気が楽だったのだ。

 花まつりの準備のあと、リアンの牧場にあるツリーハウスでお茶会をするのが定例になりつつある。
 ブラウニーはシルキーとは違い、気に入らない人がいても追い出したりしないらしい。イーヴィンをどう思っているのかは知らないが、彼女は何もしてこなかった。

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