乙女ゲームに転生するつもりが神々の悪戯で牧場生活ゲームに転生したので満喫することにします

森 湖春

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七章 二年目ふゆの月

90 ふゆの月30日、星まつり③

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『妖精と人間じゃ、生きる時間が違いすぎます。よしんば恋人になれたとしても、彼女はあっという間に歳を取って僕を置いていく。彼女が死ぬところなんて、想像するのも嫌なんですよ。それなら、どこぞの誰かと結婚して、遠いどこかで最期を迎えてくれた方がまだ幸せかもしれない。彼女がいつ死んだか知らないまま、僕は彼女の幸せを願いながら、この家で一人で生きていく。その方が、苦しい思いをしなくて済む』

 言い切ったシルキーに、妖精王は心底引いたようだ。
 端正な顔を凍りつかせて、『めんどくせ』と呟いている。

『シルキーよ。なんか、拗らせてるな、お前。女っぽいのは見た目だけかと思ったが……なぁ、好きな女が他の男のものになっても平気なのか?僕なら耐えられないぞ』

『いい歳して村娘リサにうつつを抜かして、女王に見捨てられているような方に言われたくありませんよ。大方、彼女が結婚してしまったから、未だ独身であるイーヴィンにちょっかい出しに来たんでしょう?残念でしたね、彼女はおそらくそのマキオとか言う奴のところですよ』

『そんなに腹が立っているなら、さっさとこいねがってモノにしてしまえばいいのに。お前がモノにしないなら、僕が手を出してしまうよ?』

『彼女に手を出してごらんなさい。女王に八つ裂きにされますよ』

『お前、可愛くないな』

『僕は男なので、可愛くなくて結構』

 女王と同じような応酬をしたなと思いながら、シルキーはツンとしてぴしゃりと答えた。
 そんな彼に、妖精王は諦めたように深々とため息を吐いて、苦く笑った。

『僕は妖精の王だからさ。君ら妖精はみーんな子供みたいに思っているわけだよ。子供の幸せを願うのは、親として当然のこと。だからね、何を言いたいのかと言うと。人間の寿命なんて高が知れているのだから、こうしている暇があったら、さっさと恋人なりなんなりになって満喫しないと損だと思うわけだ。大丈夫だよ、お前はとっても良い妖精だから。きっと彼女だって分かってくれている』

 ゆったりと辺りが薄暗闇になっていく。
 いつの間にか日を跨いで、夜明けを迎えていたらしい。
 うっすらと明らんでいく空を見上げながら、妖精王は『そろそろ帰るか』と呟いた。

『やれるだけやってみなさい。寂しくなったら、家を出て妖精の森に戻ってくればいい』

 妖精王の声は、春を告げる暖かな風と共にシルキーの耳へ届けられた。
 誰もいなくなったハーブ園で一人、シルキーはイーヴィンが帰るまで悶々と悩み続けたのだった。
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