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おっさん、感謝される
しおりを挟む「ガリウス、いつもありがとね」
「こないだは助かったよ。また寄らせてもらうよ」
「いや、気にしないでくれ。
これからも贔屓にしてくれると嬉しい」
村に入った瞬間に掛けられた声に俺は笑顔で応じる。
開拓村は人口が百人もいかない小規模な村だ。
だがその活気は余所とは比べ物にならない。
みんなバイタリティに溢れ、誰しもやる気に満ちている。
無理もあるまい。
何せ開拓すればするほど、そこは自分の資産になるのだ。
熱意が籠らない訳がない。
ただその反面無茶をする者もいる訳で――
怪我や疲労からくる体調不良者が少なからずいた。
なので俺は持参してきたポーションや、レンジャー知識を活用して採ってきた滋養強壮に効く薬草などを格安で卸したのである。
これが大変好評だった。
村に雑貨屋がなかった事もあって、今では何でも屋状態だ。
鍋の修理などに鍛冶スキルを活かした冶金。
獣の素材などに職人スキルを活かした加工。
器用貧乏っぷりをフル活用してお役に立てている。
入口から歩いてすぐ簡素なログハウスである我が家に着く。
小さいながらも今はここが俺の城だ。
家財道具がほとんど無かった俺だが村人の好意で家具や日用品は揃った。
なら今度は俺がそれに報いるのが筋であろう。
猪を下ろすと用意していたレンガを組みバーベキューの準備を始める。
すると目聡く村の子供たちが近寄ってきた。
「あ、おっちゃんだ!」
「おかえり~おっちゃん!
って、すげ~!! イノシシしとめたの!?」
「ああ、お前ら。
丁度良いとこに来たな。
ひとつ頼みたい事がある」
「なんだよー」
「なになに~?」
「これからこいつを焼いて、皆に振る舞う。
お前らは村の皆にその事を知らせ回って来い。
今夜は宴にするぞ、ってな。
駄賃は一番美味いところだ」
「ホントかよ!」
「やるやる~まかせて!」
俺の提案に元気いっぱい応じる子供たち。
まるで戦場の伝令の様な速さで駆け出して行った。
あの調子だとあっという間に広まりそうだな。
肩を竦めると俺は組み上げたレンガを土の基本魔術【硬化】で補強。
十分な強度に達したことを叩いて確認し、薪を乗せ【火焔】を発動。
焦げないよう火力に注意しながら猪を焼き始める。
香辛料を充分施したこともあり、すぐさま周囲に漂い始めるのは食欲を刺激する濃厚な香りだ。
芳香だけで分かる殺人的な美味さ。
もうすぐ野良作業から帰って来る者にはたまらないだろう。
皆の笑顔を思い浮かべながら俺は残った鮎に串を通すのだった。
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