勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

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おっさん、責められる

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「くっくっく……まさか私の手駒を一掃するとは、ね。
 何者かは知りませんが、そこの勇者達に並ぶ力はありそうだ……」

 絡みつく視線と共に俺を推し測ろうとする道化師。
 芝居じみた仕草で空を仰ぎ、何かを堪える様に慄き始める。
 奴からうっすらと闇のオーラらしきものが立ち昇っていく。
 揺れる陽炎。
 その先に待ち受けるのは間違いなく死の予兆。
 ふむ――このままだと確かに面倒だ。

「しかし私も魔神皇様にお仕えする13魔将の端くれ。
 死の戯れ、死戯のパンドゥールとしての真の力を――」
「いきなり魔現刃――【圧壊】!」

 ――なので面倒くさい事になる前に片付ける。
 解放した土の基本属性魔術から質量のみを特化させた超重量の斬撃。
 不可視の重量を纏ったその一撃は13なんちゃらを一撃で圧殺。
 放射状の亀裂が生じ、姿も見えない程奴がめり込んだ地面から足を引き――
 俺は皆の方へと安心するように笑い掛ける。

「よし」
「よし、じゃなぁ~~~~~い!!」

 最善最速の対処をした。
 なのに何故かシアに怒られる。理不尽だ。

「な、何故だ……?」
「ねちっこいけど一生懸命、自分のポリシーを話してたでしょうが!
 最後まで聞かずに何してんの!?」
「敵が隙だらけでべらべら喋ってるんだぞ!?
 どう考えてもチャンスだろ、あれは!」
「かと言って本当に攻撃する奴があるか!
 ほら――リアからも言ってやって!」
「ガリウス……」
「な、なんだよ……」
「悪役の前口上は浪漫――
 先制攻撃は確かに効率的。
 けど遮るのは――無粋の極み」
「ぐっ……しかし、だな」
「会話の機微を汲んで頂きませんと……
 大体ガリウス様、転移術も扱えないのにどうしてここに?」
「あれだけ派手に閃光や魔力を放てば、注意深い者ならすぐ気付くぞ。
 だから宴会を抜け出て駆け付けれたんだが」
「いえ、聞きたいのは来た理由ではなく――
 先程まで麓の村にいらっしゃっいましたよね?」
「ああ、ほらそれは――」
「それは?」
「走ってきた」
「はあ!?」
「理解不明」
「闇夜の山道を駆けて来られたのですか?
 わたくし達だって法術と魔術を駆使してここへ至ったのに」
「いや――面倒だから木の上を駆けてきた。
 風と土の基本魔術の応用だな。
 重さを軽減し風の障壁を足元に溜め幹の天辺を蹴りつける。
 挑戦するのは初めてだったし、不慣れのせいか連続発動で少し疲れたぞ」
「そんな誰でもコツを掴めば出来るよ風に言われても……」
「規格外」
「発想がおかしい、ですわ……」

 窮地を助けに来たのに随分と酷い言われようである。
 なので――俺も反撃する事にしよう。

「だいたいお前達こそ――
 いったいどういうつもりだったんだ?」
「――何が?」
「俺を追放しておいて、その後をこっそり尾けて来てただろう?」
「な、なんのことかな?
 ボク全然心当たりナイヨ……(゜д゜)ウン」
「誤魔化しても無駄だぞ。
 俺にバレないよう細心の注意を払っていただろうが……
 お前達は肝心なことを忘れてる」
「? 素朴な疑問。
 答えを知りたい」
「至極簡単なことだ。
 お前達は――自分の活躍に対する箝口令を引いてない。
 他人の事にかまけてそういうところが抜けてるんだよ。
 だから直接俺に伝わらなくとも、お前達が成し得た偉業は耳にする。
 道中聞いた事件の数々。
 囚われていた奴隷の解放、邪教信者及び盗賊団の壊滅。
 ワイバーンら有害妖魔の駆逐。
 悪事千里を走るとはいうが――逆に善行も同様だ。
 ほぼ無償でこれらを為して噂にならない訳がないだろう?
 だから俺の追放には何か理由があったんだろう……そう考え続けてきた」
「それは……」
「どうせお前達の事だ。
 自分らがいたら俺の足手まといになるとか思ったんじゃないのか?
 自分らがいない方が――俺が幸せになれる、とか」
「う”」
「図星」
「反論できません……」
「この阿呆。
 いいか――一度しか言わないからよく聞いておけよ。
 俺の幸せは、お前達と苦楽を共にすることだ。
 お前達が元気に成長していく姿を間近で見守るのが何より嬉しい。
 俺の幸せを――お前達が勝手に決めるな」
「おっさん……」
「ガリウス……」
「ガリウス様……」
「ああ、ほら泣くな泣くな。
 お前達に悪意があった訳じゃないのは分かってる。
 充分俺も休暇を楽しんだしな。
 ただ――今度はちゃんと俺にも相談してくれよ?」
「うん!」
「ん」
「了解しましたわ」

 感極まった三人娘が俺の下に駆け寄ろうとした時――

「やれやれ……くだらぬ御涙頂戴の三文芝居。
 いい加減聞き飽きましたので、そろそろ幕切れにしてほしいものですな」

 まるで運命を嘲るかのような薄笑いを交えたパンドゥールの声が――
 深さを増していく闇夜へと響き渡るのだった。
 
 


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